梶尾 真治

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徳間書店

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パート勤めの田村裕美は、五年前に結婚した夫の洋平と保育園に通う娘の亜美と暮らしている。ある日彼女は見ず知らずの他人、中野由巳という女性の記憶が自分の中に存在していることに気づく。その由巳もまた裕美の記憶が、自分の中にあることに気づいていた。戸惑いつつも、お互いの記憶を共有する二人。ある日、由巳が勤める会社に洋平が営業に来た。それは…。(「BOOK」データベースより)

 

記憶を共有する二人の女性の行動を描く、長編のサスペンスファンタジー小説です。

 

税理士事務所に勤務する田村裕美と、企画事務所に勤める中野由巳は、毎朝、自分は誰なのかを目覚めのとき確認する朝を迎えていた。

日常の生活に入ればもう一人のユミの記憶は薄れてしまうのですが、次第にもう一人の記憶がはっきりと残るようになってきました。

そして、中野由巳の前に一人の男が現れます。

 

記憶を共有する二人の女性という奇妙な設定で幕を開けたこの物語も、やはり熊本の街が舞台になっています。

ですから、熊本の街に住む私にとっては馴染みの名称ばかりの街並みなのです。梶尾真治の物語では普通のことですが、読み手としては何となくの親しみを感じてしまうのは無理もないことでしょう。

本書では、二人の間に共通する一人の男が現れ、この作者には珍しく、記憶の共有という現象にまつわる謎解きを中心とするサスペンス色豊かな物語が展開されるのです。

 

しかしながら、いつもの梶尾真治の作品と比べると何となくの違和感を感じてしまいます。人間へのやさしい視点でつづられる梶尾真治の文章の持つあたたかさが今一つ薄いと感じられるのです。

サスペンス色を前面に押し出している分だけ、描かれている人間への「想い」についての書き込みが足りなく感じるのでしょうか。

とはいえ、梶尾真治らしいロマンに満ちたタイムトラベルものであることに間違いはなく、読みやすい物語でもありました。

 

ちなみに、本書は2013年、NHKのBSプレミアムでテレビドラマ化されたそうです。しかし、DVD化はされていません。

[投稿日]2015年03月23日  [最終更新日]2020年6月15日
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