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道尾 秀介 雑感

まだ三作品しか読んでいないので、「おすすめ」の作家と胸を張っては言えません。

ただ、三冊を読んで、更に『「シャドウ」は「向日葵の咲かない夏」の読者への著者なりの解答』だとの作者の「ここだけのあとがき」に書いてあったところをみると、決して気楽に読める作家ということではなさそうです。「僕は決して陰惨な出来事が好きなわけじゃない。」と書いてはあるのだけれど、要は読み手がどう受け取るかであり、若干私の好みとは外れるかも。

しかしながら「笑うハーレキン」や「花と流れ星」はそんなに暗い作品では無かったところをみると、気楽に読める作家ではないけどそんなに重くもないと言ったところでしょうか。

でも、この作家の受賞、候補歴を見るとそうそうたる賞が並びます。賞が全てだとは言いませんが、それでもそれだけの評価を受けていることは間違いなく、各賞に見合うだけの質の作品を出している客観的な指標にはなると思われます。

「物語性豊かな作品世界の中に伏線や罠を縦横に張り巡らせる巧緻な作風」という(多分出版社の)紹介文があるので、サスペンス作家だとの観点でこの人の作品をもう少しは読んでみようかと思います。

[投稿日] 2015年04月20日  [最終更新日] 2015年5月23日
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