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アイザック・アシモフ 雑感
SF界の重鎮です。海外のSF御三家としてこの人とアーサー・C・クラーク、ロバート・A・ハインラインが挙げられます。強いて言えばの話ですが、クラークは一番SF的であり、ハインラインは一番エンターテインメント性に富み、アシモフが一番論理的だと言えると思います。
アシモフの名前を知らなくてもアシモフによって創られたと言われる「ロボット三原則」若しくは「ロボットは人間に危害を加えてはならない。・・・」から始まる文句は聞いたことがあるのではないでしょうか。または手塚治虫等の漫画で読んだことがあるかもしれません。
「夜来る」という今でも一番の名作と言われる短編で世に知られるようになったアシモフですが、その後ファウンデーションシリーズや前記のロボットものを発表します。最終的にはアシモフの殆どの作品は一つの未来史の中に位置づけられるようになりました。
ボストン大学で教鞭をとる傍ら創作活動も行っていて、SFというジャンルが認められるにつれ専業作家として活動を始めたそうです。一方、ミステリも書いていて、「鋼鉄都市」はロボットとミステリの融合した作品として高名ですし、後には「黒後家蜘蛛の会シリーズ」のような純粋なミステリーも書いています。
ハインラインもそうですが、別にSF好きと言わなくても前提となるSF的設定さえ受け入れることが出来る人ならば万人に受け入れられる作家ではないでしょうか。勿論著作活動が1940年以降の人なので舞台背景は古いと感じられるかもしれませんが、その事実は大きな障害にはならないと思います。まあ、SFが嫌いな人はその前提が駄目だという人が多いのでしょうが・・・。
[投稿日] 2014年12月29日 [最終更新日] 2015年5月3日
おすすめの小説
未来史を描いた作家一覧
ここでもほとんどの作品は古書以外は入手不可能です。近年のSFで年代記的なものを殆ど知らないので申し訳ないです。
このコーナーは夫々の作家の当該コーナーとかなり重なっています。
- ロバート・A・ハインライン
- 「未来史シリーズ 」 主に初期短編で構成されているのですが、そのうちに「メトセラの子ら」あたりから長命種族のラザルス・ロングの物語のようになってきて、「愛に時間を」「獣の数字」「落日の彼方に向けて」と続くのですが、それらのの作品の中には「異星の客」「月は無慈悲な夜の女王」との関連を書いてあるものもあり、よく分からないようになっています。
- レイ・ブラッドベリ
- 「火星年代記 」 他の年代記とは少々趣が異なります。26の短編で構成される年代記なのです。一つの長編と言えるかもしれません。ハードSFの対極にあり、かといってファンタジーとは言えないでしょう。詩情にあふれた文章が紡ぎだす火星の描写は是非一読の価値ありです
- ラリー・ニーヴン
- 「ノウンスペースシリーズ 」 人類が進出し、既知となった範囲の宇宙域のことを言います。おおむね地球から六十光年の範囲を指し、その年代は人類の太陽系の探査に始まり、他の恒星への植民を果たすまでの数千年にわたります。多くの地球外生命との接触や送り出された惑星の過酷な環境の中で生きる人類が描かれます。最大の見どころは「リングワールド」でしょう。
- コードウェイナー・スミス
- 「人類補完機構 」 全人類の利益のために働くための人類の統一組織。絶大な権力を持つがために失敗や過誤については死刑や不名誉を覚悟しなければならない。人類は動物を改造して作り出した下級民のサービスを受けて生活をしているという実にユニークな世界観を持った未来史です。
- ジョン・ヴァーリイ
- 「八世界シリーズ 」 二〇五〇年、地球では突然侵略してきた異星人により人類が滅びてしまう。生き残りの人類は水星、金星などの太陽系内の他の惑星若しくは衛星で生きるしかなかった。それが八世界である。ここでも人体改造や遺伝子操作の技術の発達により、クローンによる死からの復活や簡単な性転換などの世界観が描かれます。
- 光瀬 龍
- 「宇宙年代記シリーズ 」 各話は独立している短編集で、まさに年代記です。無名の人々の宇宙進出に捧げた活動を、過去を振り返る形で描写してあります。決して明るくはないのですが、詩情にあふれた文章でロマンあふれる物語として仕上がっています。
- 小川 一水
- 「天冥の標シリーズ 」 未知の社会の描写力がすごいです。確かにものすごいイマジネーションの世界で、少々読み通すのに力がいります。2014年1月現在で第六巻(文庫本九冊)まで出ています。全十巻の予定だと言いますから完結にはまだまだ暫くかかりそうです。
未来史とは言えないけど面白いシリーズもの
どの作品もSF史上名作と言われる作品ばかりです。
- クリフォード・D・シマック
- 「都市 」 ブラッドベリの詩情にあふれた文体と似たところのある文章だと思います。「田園」を思わせる文体とよく言われます。この作品も遠い未来に人類が死滅した後、後を継いだ者が人間について語る名作です。
- E・E・スミス
- 「レンズマン 」 古い作品(1937年~)ですが、今読んでも面白いと思います。銀河パトロール隊の認識票であるレンズを装着したレンズマンの、銀河全域を舞台にしたスペースオペラです。
- エドガー・ライス・バロウズ
- 「火星シリーズ 」 これまた古い作品(1917年~)です。バロウズは「ターザン」の作者としての方が有名かもしれません。主人公ジョン・カーターが幽体離脱し、火星の地で王女デジャー・ソリスと出会い、結ばれるまでを描く冒険物語です。荒唐無稽な話のようですが、これが面白いのです。映画化もされました。
- オースン・スコット・カード
- 「エンダーシリーズ 」 第一作「エンダーのゲーム」とそれ以降の作品との差が激しくて、全体を纏める紹介文など書けそうもない。と言っても出来が悪いというのではなくて内容が異なるのです。兵士の成長を描いた第一作とその後を描いた第二作以降、また、第一作を別な視点から描いた作品などバラエティーに富んでいます。でも、第一作、第二作と連続してヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞している程の作品です。面白くない筈がありません。映画化もされましたが、あの映像美のイメージは忘れてください。
- アーサー・C・クラーク
- 「宇宙の旅シリーズ 」 木星の傍に月で発見されたモノリスと同じモノリスが見つかった。デビッド・ボーマンを船長とするクルーは宇宙船ディスカバリー号で探査に向かうが、途中で人工知能HAL9000に障害が発生し、クルーが殺されてしまう。残されたボーマン船長は一人モノリスに向かうが・・・(2001年宇宙の旅より)。
- フランク・ハーバート
- 「デューン砂の惑星 」 砂に覆われ巨大な虫が支配する荒涼の惑星アラキス、通称デューンを舞台に、宇宙を支配する力を持つメランジと呼ばれるスパイスを巡る争いと、救世主一族の革命と世界の混迷を軸にした壮大なドラマが展開される(ウィキペディアより)。私は映画は見たのですが、原作は確か一巻を読んだあたりで挫折したと思います。でも、評判はかなり高いので載せておきます。全六巻。