A・C・クラーク 雑感
アシモフ、ハインラインと並びSF御三家と言えばクラークです。論理性のアシモフ、ストーリーテラーとしてのハインライン、科学的知識の裏付けのクラークと言えるでしょう。勿論夫々に各々の要素は持っているのですが、特色を強いて言えばの話です。
クラークの作品は既知の膨大な科学的知識の裏付けのもとに未来や未知の環境を推測し、既知の細かな事実の積み上げから未知の全体像を構築します。読者にしてみれば全くのイマジネーションだけで構築された世界も魅力的ですが、科学的な裏付けのある推測され得る世界はリアリティーが違ってきます。
これは三者共に言えることなのですが、夫々の物語は人間という存在そのものや、人類という種などに対する深い思索に裏打ちされたテーマを抱えているようです。そうなると「純文学」やSFをも含んだその他の文学との区別はどういう意味を持つのだろうか、といつも同じところに行きつくのですが。表現対象の違いなのか、表現手段の違いなのか、その区別は読み手にとってはあまり問題ではないと思えて来るのです。
クラークの物語は何時も人類の行く末を見つめています。現代の科学の上に立った確固たる視線が読み手である私達に安心感をもたらしてくれ、その上で深い感動を与えてくれるのだと思います。
SFを読むうえで避けては通れない人です。
[投稿日] 2015年04月27日 [最終更新日] 2015年5月6日