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A・C・クラーク 雑感

アシモフハインラインと並びSF御三家と言えばクラークです。論理性のアシモフ、ストーリーテラーとしてのハインライン、科学的知識の裏付けのクラークと言えるでしょう。勿論夫々に各々の要素は持っているのですが、特色を強いて言えばの話です。

クラークの作品は既知の膨大な科学的知識の裏付けのもとに未来や未知の環境を推測し、既知の細かな事実の積み上げから未知の全体像を構築します。読者にしてみれば全くのイマジネーションだけで構築された世界も魅力的ですが、科学的な裏付けのある推測され得る世界はリアリティーが違ってきます。

これは三者共に言えることなのですが、夫々の物語は人間という存在そのものや、人類という種などに対する深い思索に裏打ちされたテーマを抱えているようです。そうなると「純文学」やSFをも含んだその他の文学との区別はどういう意味を持つのだろうか、といつも同じところに行きつくのですが。表現対象の違いなのか、表現手段の違いなのか、その区別は読み手にとってはあまり問題ではないと思えて来るのです。

クラークの物語は何時も人類の行く末を見つめています。現代の科学の上に立った確固たる視線が読み手である私達に安心感をもたらしてくれ、その上で深い感動を与えてくれるのだと思います。

SFを読むうえで避けては通れない人です。

[投稿日] 2015年04月27日  [最終更新日] 2015年5月6日

おすすめの小説

おすすめのSF小説作家

従来のハードSF作家と言われる作家たちです。皆転売中の定番と言ってもいいかもしれません。勿論、代表的な作家だけであり、ほかにも多数の作家たちが控えています。
R・A・ハインライン
クラーク、アシモフと並ぶSF界三巨頭の一人。「宇宙の戦士」など。三人の中では一番エンターテインメント性に富んでいると思います。その作品は多数で特に後期の一部を除いては読みやすく、お勧めです。
アイザック・アシモフ
クラーク、ハインラインと並ぶSF界三巨頭の一人。論理性に富んだ文章で、ミステリー仕立ての作品も多く、「われはロボット」のような三原則を前提としたロボットものでは他の追随を許しません。
ラリー・ニーヴン
「リングワールド」などの属する「ノウンスペースシリーズ」はまさにバラエティに富んだ世界と言え、その世界の描写が科学的な裏付けを持っているのです。
ジョン・ヴァーリイ
「へびつかい座」から送られてきた種々の情報を利用して、各段の進化を遂げた人類の物語である「八世界」シリーズがあります。ハードSFの一方の旗手として人気を博しました。
ジェイムズ・P・ホーガン
「星を継ぐもの」に始まる「巨人の星」シリーズなど、スケールが大きく科学的な論証に多くを割いた描写は、印象としてはクラークに一番近いかもしれないと思っています。