『レーエンデ国物語シリーズ』とは
『レーエンデ国物語シリーズ』は、架空の国である聖イジョルニ帝国に存在する呪われた土地と言われたレーエンデ地方を舞台にした長編のファンタジー小説です。
巻ごとに主人公が入れ替わり、聖イジョルニ帝国からのレーエンデ地方の独立を果たそうとする試みを描き出した作品で、かなり惹き込まれて読んだ作品でした。
『レーエンデ国物語シリーズ』の作品
『レーエンデ国物語シリーズ』について
『レーエンデ国物語シリーズ』は、「革命の話をしよう。」という一文から始まる物語であって、剣と魔法の世界が描かれた王道のファンタジー小説のような始まりを見せながら、その実、巻ごとに年代が、そして主人公が変わりながらレーエンデ地方の独立を目指す革命の物語です。
そういう意味では、レーエンデという土地自体が主人公だというべきなのかもしれません。
それぞれの主人公は、レーエンデ地方の独立を勝ち取るために血と汗を流すのですが、その物語には喝采を送りたくなり、また涙を流すことになる冒険の話でもあります。
日本のファンタジー小説の第一人者といえば、まずは『守り人シリーズ』の上橋菜穂子の名が挙がると思います。
異世界を緻密に描きながらも文化人類学者としての知識を十二分に生かした物語づくりをされています。
このシリーズも他に類を見ない独特な異世界を緻密に構築した物語であり、他話で面白い作品でした。
本シリーズはこれらの作者たちの作品とは異なり、ひとつの地方の独立までの歴史を語る(ことになるだろう)物語であり、異世界の情景を細かに構築するというよりも、戦いや冒険自体に重きを置かれているようです。
第一巻の『レーエンデ国物語』は、後に「レーエンデの聖母」と呼ばれることになるユリア・シュライヴァを中心とした物語です。
レーエンデ地方の紹介を兼ねた作品であり、ユリアとトリスタンという若者との恋愛の要素もありながらも、ユリアの父親であるヘクトル・シュライヴァたちのレーエンデ地方の独立を目指す戦いの始まりが描かれます。
この第一巻から「レーエンデ地方」の独立を目指す戦いの萌芽が見え、後の物語の始まりとなるのです。
第二巻の『レーエンデ国物語 月と太陽』は、第一巻の後約100年後の物語です。
聖イジョルニ帝国の弱小貴族のヴァレッティ家に生まれたルチアーノ・ダンブロシオ・ヴァレッティと、ルチアーノを助けたティコ族のダール村に住むテッサという少女を主人公とする反逆の物語です。
第三巻の『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』もまた、第二巻の後約100年後の物語です。
聖イジョルニ帝国の聖都ノイエレニエに生まれた のルミニエル座のリーアン・ランベールとアーロウ・ランベールという双子の兄弟の物語です。
今のところ(2023年11月時点)では、第三巻までしか刊行されていませんが、2024年には、続巻の『レーエンデ国物語 夜明け前』『レーエンデ国物語 海へ』が刊行されるそうなので、待ちたいと思います。