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J・P・ホーガン 雑感

ロンドンに生まれ、イギリスの王立航空研究所の工業専門学校で電子工学等を学び、卒業後はいくつかの職を渡り歩いた後、1970年代に入ってからアメリカを代表するコンピュータ会社に勤め、同年代の終わりには専業作家となっています。今では現代ハードSFの第一人者と言われていて、多くのベストセラー作品を出しているのです。

ここで出てきた「ハードSF」という定義がまた一意では無いのですが、ウィキペディアによりますと「科学的知見および科学的論理をテーマの主眼に置いたSF作品を指す」とあります。この点については、SF評論家の大野万紀氏のハードSFについての考察があるのでそちらを一覧願いたいものです。

難しいことはさておき、ホーガンの小説は科学的事実に裏付けされた物語ではあっても、読みやすく、エンターテインメント性に富んでいます。物語としての面白さを十二分に備えているからこそ、多くの作品がベストセラーとなっているのです。ハインラインやアシモフといった大御所たちの作品と比べても決して引けを取りません。それどころか独自の世界を築いているのです。

まずはデビュー作でもある『星を継ぐもの』を読んでみてください。SFの面白さにどっぷりと浸れることでしょう。

ホーガンの作品については星野之宣氏が多くの作品をコミック化しておられます。私は星野之宣氏の大ファンでその漫画はかなり読んでいるのですが、ホーガン原作のものは残念ながらまだ読んでいません。SF漫画の第一人者である氏が書かれているので面白いのは間違いないでしょう。

[投稿日] 2015年04月29日  [最終更新日] 2015年5月23日
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おすすめの小説

おすすめのSF小説作家

ハードSFの書き手として名高い作家を挙げています。
A・C・クラーク
幼年期の終わり」や「都市と星」など、スケールの大きな作品が多く、人間という存在そのものを考察するような作品が多いです。かといって高尚で手に取り難い作品というわけではなく、物語として非常に面白い作品ばかりです。「2001年宇宙の旅」を始めとするシリーズもこの作家の作品です。
R・A・ハインライン
クラーク、アシモフと並ぶSF界三巨頭の一人。「宇宙の戦士」など。三人の中では一番エンターテインメント性に富んでいると思います。その作品は多数で特に後期の一部を除いては読みやすく、お勧めです。
アイザック・アシモフ
クラーク、ハインラインと並ぶSF界三巨頭の一人。論理性に富んだ文章で、ミステリー仕立ての作品も多く、「われはロボット」のような三原則を前提としたロボットものでは他の追随を許しません。
ラリー・ニーヴン
「リングワールド」などの属する「ノウンスペースシリーズ」はまさにバラエティに富んだ世界と言え、その世界の描写が科学的な裏付けを持っているのです。
グレッグ・ベア
「ブラッド・ミュージック」はマッドサイエンティストによる人類の変貌を描いた作品で、「永劫」「久遠」は読んだのだけれど難解に過ぎて全く覚えていません。この作家はそれ以来読んでないのです。しかし、読みごたえのある作品であることに間違いはありません。