水田 勁

紀之屋玉吉残夢録シリーズ

イラスト1
Pocket

写真は Amazon にリンクしています。

楽天Booksは あばれ幇間 紀之屋玉吉残夢録 (双葉文庫) [ 水田勁 ] へ。


かつて御家人として剣の道に生きていた玉吉は、今は幇間として裸踊りで座敷を沸かす日々を送っている。ある日、玉吉は己の過去を知る人物から呼び出され、三年前から江戸を荒らす押込み強盗について調べ始める。裏で糸を引く存在に気づいたことをきっかけに、次第に大きな陰謀に巻き込まれていくことに…。果たして、玉吉は稀代の悪に正義の剣を振るうことができるのか!?江戸の民のため太鼓持ちが颯爽と闇を討つ、痛快時代小説第一弾。(「BOOK」データベースより)

 

紀之屋玉吉残夢録シリーズ第一弾の、幇間という珍しい職業の男を主人公としている、ハードボイルドな長編の時代小説です。

 

主人公の紀之屋玉吉は幇間です。いわゆる太鼓持ちですね。一説には曽呂利新左衛門がその機知を生かし太閤秀吉のご機嫌伺いをしていたため、座敷で旦那衆の機嫌を取ることを「太閤持ち」から「太鼓持ち」というようになったそうです(ウィキペディア : 参照)。

玉吉は元御家人で本名を澤井格之丞といい、蝦夷地にわたり辛苦の末舞い戻ってきたという設定です。

剣術の腕も相当なもので、そこを与力の中島嘉門らに目をつけられ、言わば仕置人のような仕事を持ちかけられます。断りながらも、自ら問題の事件を調べ始めますが、そこにはかつての仲間の名前が見つかるのでした。

思いのほか、テンポのいい文章です。武士が町人の座敷で裸踊りをして生計を立てる。そこには徹底して心まで落ちてしまうか、本書の主人公のように人間としての矜持を持ちつつ生きていくのかで大きな差があるのでしょう。

 

本書のラスト近くで格之丞の過去が少しだけ語られます。そこに裸踊りをする自身の覚悟も垣間見えます。

軽く読めるのですが、ハードボイルドタッチの展開は引き込まれてしまいました。決してストーリー展開は練れているとは思えないのですが、それでもリズム良く引き込まれます。面白いです。

[投稿日]2015年04月20日  [最終更新日]2020年6月14日
Pocket

おすすめの小説

おすすめの軽く読める時代小説

花川戸町自身番日記シリーズ ( 辻堂 魁 )
辻堂魁著の『花川戸町自身番日記シリーズ』は、浅草広小路に連なる大川橋、またの名を吾妻橋の西詰め、その北側にある花川戸町とそのさらに北側にある山之宿町との町境の人情小路の辻にある自身番に詰めている書役である可一を狂言回しとする人情物語集です。
妻は、くノ一 シリーズ ( 風野 真知雄 )
風野真知雄著の『妻は、くノ一 シリーズ』は、天文が好きな変わり者の雙星彦馬を主人公とする長編の時代小説です。黙って自分のもとを去った新妻を探すために江戸まで来た彦馬が、「甲子夜話」に書かれた謎や日常に潜む謎を解きながら妻を探す物語です。
付添い屋・六平太シリーズ ( 金子 成人 )
さすがに日本を代表する脚本家のひとりらしく、デビュー作である本シリーズも楽に読み進むことができる作品です。
鯖猫長屋ふしぎ草紙シリーズ ( 田牧 大和 )
なんとも不思議な力を持つ三毛猫を陰の主人公とした、連作短編の人情小説です。丹地陽子さんがカバーに描いたサバの凛々しい姿に、一目ぼれすること間違いなしの、猫小説です。
上絵師 律の似面絵帖シリーズ ( 知野 みさき )
上絵師として独り立ちしようとする律という娘の、一生懸命に生きている姿を描く長編の人情小説です。事件に関する似面絵を描くことはあっても、事件について探索する姿中心ではないので捕物帳ではなく、律の恋心や、上絵師としての成長などが描かれる物語です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です