覇者は外科の世界で大成するといわれる医学部剣道部の「医鷲旗大会」。そこで、桜宮・東城大の“猛虎”速水晃一と、東京・帝華大の“伏龍”清川吾郎による伝説の闘いがあった。東城大の顧問・高階ら『チーム・バチスタ』でおなじみの面々がメスの代わりに竹刀で鎬を削る、医療ミステリーの旗手が放つ青春小説。(「BOOK」データベースより)
この人自身剣道をかなり極めた人のようで、これまでの話とは全く異なる青春小説です。
何よりも、主人公は「ジェネラル・ルージュの凱旋」の速水晃一と「ジーン・ワルツ」の清川吾郎であり、それに高階権太を始めとするチーム・バチスタの面々が絡んでくるのですから海堂ワールドが好きな人にとってはたまらない本ではないでしょうか。ただ、医学生ではあっても医療がらみのミステリーとは関係の無い剣道メインの青春小説なので、その点さえ良ければの話ですが。
また、章毎に視点を変える書き方も目新しくは無いにしても面白く読めました。
ただ、同じ剣道ものでいうと誉田哲也の武士道シリーズのほうがより読み応えがあったのも事実です。
というのも、少々剣道をかじったに過ぎない私くらいの力量の者では、そのトレーニングや対戦時の心理など、分からない箇所が少なからずあったのです。
どうも、この人の文章は頭が良すぎて、理屈が先に立っている感じが否めないところがあるようです。
いずれにしても、海堂ワールドには欠かせない一冊でしょう。