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海堂 尊 雑感

少し調べてみると、この人の著作は「田口・白鳥シリーズ」や「バブル三部作」などのシリーズに分けてあります。しかし、殆どの著作は同じ「桜宮市」を舞台としていて、時系列も共有しているようです。そこで、この作家の作品群は「桜宮サーガ」と呼ばれています。

登場人物も各作品で共通していたりして、わざわざシリーズとして分ける必要もないようにも思えますが、各々に主人公、舞台、括られる作品の雰囲気は異なりますので、シリーズとして見た方が良いのでしょう。

著者は千葉大学医学部を卒業し、博士号も取得している現役のお医者さんで、作品の中でAi(死亡時画像病理診断)の必要性を訴えておられる個所が少なからず見られます。

「チーム・バチスタの栄光」で第4回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、この作品からブレイクされました。勿論お医者さんですから医学会の内情が描かれるのは分かるのですが、現実にお役所とのやり取りを伺わせる官僚とのやり取りも描写されていたりと、医療関係に絡む様々の問題提起をされつつも、なかなかにエンターテインメント性に富んだ作品として仕上げてあります。たまに、作者の主張が走り過ぎて小説としてはどうなのかと思わせられることもありますが、概して面白い作品に満ちていると言えるのではないでしょうか。

[投稿日] 2015年04月08日  [最終更新日] 2016年2月9日
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おすすめの小説

おすすめの医療小説作家

医療小説はあまり読んでいませんので、「小説新潮 2008年8月号」に「医療小説最前線 - 戦後の医療小説30選」として挙げられていた中から少々。海堂尊氏も「チーム・バチスタの栄光」を始め5冊が挙げられています。
遠藤 周作(えんどう しゅうさく)
「海と毒薬」
荻原 浩(おぎわら ひろし)
「明日の記憶」
奥田 英朗(おくだ ひでお)
「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」
加賀 乙彦(かが おとひこ)
「生きている心臓」
鴨志田 穣(かもしだ ゆたか)
「酔いがさめたら、うちに帰ろう」
榊 邦彦(さかき くにひこ)
「100万分の1の恋人」
曽野 綾子(その あやこ)
「神の汚れた手」
中島 らも(なかじま らも)
「今夜、すべてのバーで」
南木 佳士(なぎ けいし)
「医学生」
帚木 蓬生(ははきぎ ほうせい)
「閉鎖病棟」
東野 圭吾(ひがしの けいご)
「使命と魂のリミット」
久間 十義(ひさま じゅうぎ)
「生命徴候あり」
松尾 スズキ(まつお スズキ)
「クワイエットルームにようこそ」
松樹 剛史(まつき たけし)
「スポーツドクター」
山崎 豊子
白い巨塔
柳 美里(ゆう みり)
「命」
吉村 昭(よしむら あきら)
「神々の沈黙」「消えた鼓動・心臓移植を追って」「冷い夏、熱い夏」
渡辺 淳一(わたなべ じゅんいち)
「ダブル・ハート」

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