勿論、坂本竜馬という魅力的な人物像が中心にあってのことではありますが、幕末の青春群像をこれほどまでに濃密な空気感の中で描写した作品を他には知りません。
坂本竜馬といえばこの作品が作り上げた竜馬像であることは周知の事実ではありますが、それにしても見事な造形だと思います。
物語の途中に歴史的な事実を物語の背景紹介として語りかけ、読者をより深く舞台となる時代に引きずり込み、感情移入しやすくしているようです。
勝海舟、西郷隆盛、大久保利通、桂小五郎、高杉晋作等々歴史で学んできた人物達がこの作者の筆の力で血肉を得て活躍するのです。一度すれば虜になること間違いありません。
ちなみに、この作品もNHKの大河ドラマで福山雅治の竜馬で放映されましたが、それ以前に1968年にもNHKの大河ドラマで北大路欣也の竜馬で既にドラマ化されていました。
蛇足ですが私はこの時の岡田以蔵役を萩原健一が演じていたと思っていました。しかし、それは間違いで、同じ大河ドラマでも1974年の「勝海舟」の中での以蔵が萩原健一だったようです。この時の萩原健一は素晴らしかった。