誓いの証言

誓いの証言』とは

本書『誓いの証言』は『佐方貞人シリーズ』の第五弾で、2026年3月にKADOKAWAから384頁のハードカバーで刊行された長編の推理小説です。

事件の背景に職人と経営者との対立を抱えた人間ドラマですが、作者のデビュー当時に書かれていたこのシリーズ作品は青くはあってももっと読み応えがあったような気がします。

誓いの証言』の簡単なあらすじ

東京・中野に弁護士事務所を構える佐方貞人のもとに、警察から一本の電話が入った。さきほど逮捕した男が、佐方を弁護人に指名しているという。男は大学時代の同期・久保利典で、行きつけのクラブの女性から不同意性交等罪で訴えられたらしい。無実を主張する久保を信じ、事件の経緯を調べはじめた佐方だったが、女性が久保を嵌める動機が見当たらない。隠された接点があるはずだと二人の過去を探るうち、約二十年前に香川で起きた、ある石職人の死亡事故が浮かび上がる。(「BOOK」データベースより)

誓いの証言』の感想

本書『誓いの証言』は『佐方貞人シリーズ』の第五弾で、職人と経営者との対立を抱えた人間ドラマを事件の背景にしたミステリーです。

確かに佐方貞人の物語ではありますが、作者のデビュー当時に書かれていた本シリーズ作品は、もっと青くさかったような気がします。

 

つまり、シリーズ当初の作品はもっと読みがいがあったように思えるのです。

本書は七年ぶりに刊行されたシリーズ作品だそうで、『佐方貞人シリーズ』の中でも弁護士としての活躍を描いたのは十六年ぶりということでした。

その『佐方貞人シリーズ』は、柚月裕子の作品の中では『孤狼の血』に次いで私が好きな作品です。

久しぶりに読んだ『佐方貞人シリーズ』ですが、中野に法律事務所をかまえているとか、事務員として小坂千尋という法科大学院で勉強中の事務員がいるとか、シリーズ第一作の『最後の証人』では明記してあったはずなのに、十六年もたつとすっかり忘れてしまっていました。

 

しかし、佐方貞人の弁護士としての心構えは全く変わっていないようです。

すなわち、「罪はまっとうに裁かれなければいけない」という信念を持ち、また「事実と真実は異なる」として真実の追求をやめず、意外な真実が明らかにされるのです。

 

物語は、『砂の器』と同様に、法廷の場面と当事者の過去の様子とが同時並行的に描かれていて、こういう描き方は若干多用されすぎか、などと思いつつも、物語自体は特に目新しいことは感じませんでした。

ただ、物語の作り方は変わらずにうまいもので、単に登場人物が理不尽な仕打ちにあう物語というだけでは終わらないところはさすがだとは思います。

でも、この作者ならば弁護士の「青臭い」主張をもう少し展開してくれるかと期待はしていました。その点は残念です。

 

そのような物足りなさの印象の理由がどこにあるのか、未だはっきりとはしません。

現在の物語において佐方貞人の弁護活動を描きつつ、同時に過去の物語で本書のもう一人の主役の過去を描き出すという二つの時系列を書き分けるという手法は多分妥当なのでしょう。

でも、蕃永石事業協同組合での、その意見に重きを置かれているの祖父の原じいと、丁場を仕切っている児玉興業グループの代表取締役である児玉勝也との対立の場面での勝也の真意も今一つ分かりにくいものがあったのは残念でした。

 

とは言いながらも、過去の物語に登場してくる「蕃永石」をめぐる香川県蕃永町を舞台とした物語はこの作者らしく、読者の心を惹くものではありました。

ちょっとした残念な点はありましたが、それでもなおこの物語の面白さを否定できるものではありません。

昨今の検察の不祥事などを思うたび、このシリーズの信念に燃える佐方貞人の物語をずっと読み続けたいと思うのです。

森 バジル

森バジル』のプロフィール

1992年宮崎県生まれ。九州大学卒業。2018年、第二三回スニーカー大賞《秋》の優秀賞を受賞。23年、『ノウイットオール あなただけが知っている』で第三〇回松本清張賞を受賞し、単行本デビュー

引用元:森バジル|プロフィール – HMV&BOOKS online

森バジル』について

2021年7月に小学館から刊行された探偵小石は恋しないが、2026年本屋大賞の八位になっています。

探偵小石は恋しない

探偵小石は恋しない』とは

本書『探偵小石は恋しない』は2025年9月に小学館から328頁のソフトカバーで刊行された、長編のミステリ小説です。

軽いタッチのミステリーで、読み進めるのも難しくはないのですが、私の好みではありませんでした。

探偵小石は恋しない』の簡単なあらすじ

「さて。ここからは名探偵の時間ということで」ミステリオタクの探偵・小石は、名探偵のように華麗に事件を解決する日を夢見ているが、事務所へ届く依頼は9割9分が色恋調査。ところが事件は、思いもよらないところで発生していてー。そのひと言で、世界が一変する。驚愕体験の本格ミステリ!(「BOOK」データベースより)

探偵小石は恋しない』の感想

本書『探偵小石は恋しない』は2026年本屋大賞の八位になった長編のミステリ小説ですが、残念ながら私の好みとは異なる作品でした。

とても読みやすい文章で、探偵と事務員との会話などを読んでいると軽く読める、しかし好みではない青春ミステリーのような作品だとの思いで読み進めていました。

 

本書はミステリー、それも本格派ミステリーと呼べる作品なのでしょうが、途中まではどうにも物語の作り方に違和感を感じてしまったのです。

それは、一つには主役たちのキャラクターの印象が軽すぎることですし、何よりも第一章終了時の謎解きに対する不満足感でもありました。

つまりは、本屋大賞の候補作になっている作品にしては各章の内容があまり練られた作品とは感じられなかったのです。

登場人物も探偵役の小石のキャラクターも軽さを感じさせるのはいいのですが、それ以上のものはありません。小石探偵事務所調査員の蓮杖も、派手なギャルメイクの事務員バイトの雛未も今一つ魅力を感じませんでした。

 

第一章は佐藤澪という十八歳の高校生からの依頼で、父親の浮気調査を依頼してきたものです。ただ、小石たちはその依頼に隠された謎を明快に明らかにしていきます。

この後、第二章、第三章と全五章の物語は続くのですが、そのそれぞれで謎解きが軽く、どうにも感情移入できないのです。

ただ、本屋大賞の候補作となっている以上、このまま得終わるはずはない、というその一点で読み続けたのです。

 

確かに、読了してみると本書全体としてすべてが計算の上に成り立っているのはよくわかりました。当初から読者をミスリードするために構成されていたために全体として不自然としか言えないものになったのでしょう。

ただ、こう思うのは私があまり本格派の推理小説を好んでいないからだと思われます。

本屋大賞の候補作になるほどの作品というのは、それだけ支持する読者が多いのは間違いのないことです。

読了してみると、客観的にみても各章のあり方が何となく半端に感じたのも計算なのでしょうし、最終的にいわゆる新本格派(?)のミステリーというべき作品として成立しているのはさすがだと思います。

 

とはいえ、私の好みでないのは変わりません。主人公の小石のキャラクターがファンタジックなものであることも、物語の進行が小さな社会で完結していることも含めてあまりにこじんまりとしすぎているのです。

本書には続編も出るようですが、多分読まないだろうと思います。

聖刻 警視庁総合支援課0

聖刻 警視庁総合支援課0』とは

本書『聖刻 警視庁総合支援課0』は、2024年11月に464頁の文庫本書下ろしとして出版された長編の警察小説です。

『警視庁総合支援課シリーズ』のパート0の位置にある作品で、『総合支援課シリーズ』の新しい主人公となる柿谷晶の捜査一課時代を描いた作品です。

聖刻 警視庁総合支援課0』の簡単なあらすじ

大物司会者の息子が元恋人を殺害。捜査一課の柿谷晶が取り調べに臨むが、被疑者は黙秘し、家族はネットでの誹謗中傷に悩まされる。自らの苦い記憶が甦る中、晶は犯罪被害者支援課の村野らと捜査を続けるが、事態は最悪の方向へー。加害者と被害者の狭間で苦悩する女性刑事を描く、「総合支援課」誕生の物語!(「BOOK」データベースより)

聖刻 警視庁総合支援課0』の感想

本書『聖刻 警視庁総合支援課0』は、『警視庁総合支援課シリーズ』のパート0に位置づけられる作品です。

本書が属する『警視庁総合支援課シリーズ』は、『警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』のシーズン2にあたるシリーズですが、本書はその両シリーズを繋ぐ立場にある作品です。

つまり、新しく主人公となる柿谷晶の捜査一課時代が描かれていて、晶が『総合支援課シリーズ』シリーズの主人公に収まるまでの事件を描いてあるのです。

 

大物司会者の前尾昭彦の息子前尾弘大が、二年ほど前まで交際していたかつての恋人である古島萌を殺害したとして出頭してきました。しかし、弘大は何故かその動機を語ろうとはしません。

晶は昭彦のマネージャーの五十嵐から、前尾の家族は昭彦、昭彦の妻の美紀や妹でモデルの由衣ら皆がSNSでかなり叩かれ、炎上している事実を知らされます。

そのうちに、前尾の家が放火され、加害者の家族は一転、犯罪被害者の家族となり、総合支援課が乗り出す事態となるのでした。

 

本書の舞台となる『総合支援課』という部署は、もとは「犯罪被害者支援課」と言っていたものが改称されたものです。

というのも、これまで犯罪者の権利はそれなりに考慮されていたのですが、犯罪に巻き込まれてしまった人たちへの支援は置き去りにされてきました。

しかし、メディアや、更にはネット社会の発達に伴うSNS上では、加害者の家族が誹謗中傷の対象になり、物理的な被害に遭うことも少なからず起きてきました。

そこで著者の堂場瞬一 )

によると、支援課は、シーズン1のように「被害者」を支援するだけでなく、加害者家族も含め、犯罪に巻き込まれてしまった人全てをフォローする部署に生まれ変わる必要があった、というのです。

 

同時に、物語の主役も村野秋生から女性へと変更することとし、それが柿谷晶だったというわけです。

そのため、晶は本書ではまだ警視庁捜査一課に属しています。ただ、彼女には特別に刑事部総務課の理事官の三浦亮子理事官から「加害者家族をケアして」という指示を受けます。

三浦理事官は、加害者のケアという指示を「刑事総務課」の人から受けるのは筋違いではないかという晶の言葉に、「でもあなたなら、加害者家族の痛みも分かるでしょう」との言葉を返すのです。

その少し前には、晶が柿谷道郎という人物に対して、私たちの苦しみを少しでも解消するために、何らかの説明をする義務がある、という趣旨の届くはずもない手紙を書く場面があります。

こうした読者には明確にされないある理由から、晶は特別の任務を授けられるのであり、これが後の「総合支援課」への布石となっていくことがわかるのです。

 

犯罪支援から総合支援へと名称は変化し、主人公も変わるにしても、物語の根底にある犯罪により被害を被った人たちをそのままにはしておけない、という制度の趣旨は変わりません。

柿谷晶の背後には村野秋生を始めとして松木優里などのかつての犯罪被害者支援課の課員たちが控えていて、ただ救うべき対象が広がっただけです。

肉体的のみならず、精神的に疲弊しがちな犯罪に巻き込まれた人たちを支援すべく身を削る課員たちの活躍は、単なる警察小説の域を超えて心に迫ってきます。

かなり読み応えのある作品ですが、私は惹きこまれて読み進めることになりました。面白い作品でした。

警視庁総合支援課シリーズ

警視庁総合支援課シリーズ』とは

「警視庁総合支援課」という組織を舞台にした新しいシリーズ作品であり、同じくリアリティに満ちた警察小説シリーズです。

「警視庁犯罪被害者支援課シリーズ」に続く物語あって、主人公も女性へと代わり、これまでの登場人物たちがその周りを支えています。

警視庁総合支援課シリーズ』の作品

警視庁総合支援課シリーズ(2026年06月25日現在)

  1. 聖刻(改題:聖刻 警視庁総合支援課0)
  2. 誤ちの絆 警視庁総合支援課
  3. 最後の光 警視庁総合支援課2
  1. 昨日への誓い 警視庁総合支援課3
  2. 拒絶の理由 警視庁総合支援課4

警視庁総合支援課シリーズ』について

本『警視庁総合支援課シリーズ』は、もとは『警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』という架空の部門を舞台にした物語の新しいシーズンとして始まったシリーズです。

舞台が新しくなったと同時に主人公も女性へと変更されましたが、これまでの登場人物たちはそのままに主人公を助ける立場で登場しています。

 

総合支援課」という部署は、従来の「支援課」が行ってきた犯罪被害者の支援にとどまらずにもっと広い範囲の関係者を対象とすべきではないかとして設置されました。

支援課」は、シーズン1にあたる『警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』のような「被害者」の支援だけでなく、加害者家族も含め、犯罪に巻き込まれてしまった人全てをフォローする部署に生まれ変わる必要があったのです。

 

被害者支援課」と「総合支援課」との橋渡し的な位置にある『聖刻 警視庁総合支援課0』の著者による「聖刻 あとがき」には、「支援課」が、シリーズ途中で大きく方針が変わった理由が書いてありました。

それによると、「シーズン1の主人公、村野秋生が疲れ切ったため」というのが一つであり、もう一つが、犯罪に巻き込まれてしまった人たちを巡る環境の変化だ。」とありました。

つまり、「SNSが広く普及したせいもあって、最近は、加害者の家族が誹謗中傷の対象になり、物理的な被害に遭うことも少なくない。支援課は、シーズンのように「被害者」を支援するだけでなく、加害者家族も含め、犯罪に巻き込まれてしまった人全てをフォローする部署に生まれ変わる必要があった。」というのです(著者による「聖刻 あとがき」より)。

 

そこで、疲れ切った「支援課シリーズ」での主人公村野秋生に代わり登場したのが、『聖刻 警視庁総合支援課0』で登場する、警視庁捜査一課に所属していた柿谷晶です。

ある事情を背負った柿谷晶は新設の「総合支援課」にふさわしいと刑事部総務課の三浦亮子理事官から「加害者家族をケア」するようにとの指示を受けて事件にかかわることになるのです。

先に述べた『聖刻』の著者による「あとがき」では、「柿谷晶というのは、「仕組まれて」総合支援課に来ることになる人物である。」とも書いてありました。

村野が恋人だった西原愛と共に遭った事故の被害者であったように、晶もまた何らかの事情があって支援課に来ることになったのだと思われます。

村野たちが新たに設けられた「犯罪被害者支援課」を育てて行くと同時に、自分たちも支援課員として成長していくように、本シリーズでは晶の成長もまた同時に描かれており、その点もまた読者の関心事になっています。

壊れる心 警視庁犯罪被害者支援課

壊れる心 警視庁犯罪被害者支援課』とは

本書『壊れる心 警視庁犯罪被害者支援課』は『警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』の第一弾で、2014年8月に講談社文庫から512頁の文庫書下ろしとして出版された、長編の警察小説です。

現実には存在しない、しかし必要性はある「警視庁犯罪被害者支援課」という組織を舞台にした、とてもリアリティに富んだ警察小説であり、キャラクターも立っていてとても面白く読んだ作品でした。

壊れる心 警視庁犯罪被害者支援課』の簡単なあらすじ

私は今、刑事ではない。被害者の心に寄り添い、傷が癒えるのを助ける。正解も終わりもない仕事。だが、私だからこそしなければならない仕事ー。月曜日の朝、通学児童の列に暴走車が突っこんだ。死傷者多数、残された家族たち。犯人確保もつかのま、事件は思いもかけない様相を見せ始める。(「BOOK」データベースより)

壊れる心 』の感想

本書『壊れる心 警視庁犯罪被害者支援課』は『警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』の第一弾で、現実には存在しない「警視庁犯罪被害者支援課」という組織を舞台にした警察小説です。

いかにもこの作者の作品らしく緻密な書き込みが目立つ、リアリティに富み、またキャラクターも存在感があって、とても面白く読んだ作品でした。

 

そもそも、本『警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』は、元警視庁捜査一課に属していた村野秋生という犯罪被害者支援課員を主人公とする警察小説シリーズです。

この「支援課」には、元捜査一課管理官だった課長の本橋怜治や係長の芦田浩輔、村野の学生時代からの友人で力強い同僚である松木優里、それに支援課の地雷になるかもしれない長住光太郎という支援課員もいます。

そして、主役の村野の相方でもあり、これから支援課要員として育てていこうとしている江東署の初期支援員である安藤梓もいます。

本シリーズの村野を始めとする登場人物は、本シリーズの次シーズンにあたる『警視庁総合支援課』でも再度登場してきます。

 

また、本書の「犯罪被害者支援課」という組織は、犯罪被害者の支援を目的として設けられた組織です。

犯罪を犯した者の権利については様々な事柄が議論されてきていますが、被害者側の権利については置き去りにされてきたきらいがあるために設けられたものだといいます。

しかしながら、被害者の支援という仕事は「ある種カウンセリングであり、相手の負の側面と向き合うことで、支援する側も確実に「ダメージを受ける」ことになるのだそうです。

 

本書の場合、交通事故により登校中の児童三人と他に二人の大人が命を落としてしまいますが、亡くなった大人のうちの一人は妊婦さんでした。

病院に駆けつけてきた夫の大住宏志は錯乱し、医者や村野に殴りかかってくるほどだったのです。

こうした場合、亡くなった児童の親御さんのケアももちろん大事ですが、一瞬で妻と子を失った大住の哀しみは尋常でなく、そのケアをする支援員は更なる困難を背負うことになるのでした。

 

実際には、支援課という部門はないものの、現実には警察庁や警視庁、各県警、それに各弁護士会や民間にも犯罪被害者の役割を担う部門が設けられているようです。

行政では2004年に犯罪被害者基本法が成立し、各都道府県の警察や弁護士会、法テラスなどの組織も整備され、多方面での(直接的及び間接的な)犯罪被害者支援の制度が整いつつあるといいます。

現実に存在する犯罪被害者を支援するしくみとしては、とりあえずは下記を参照してください。

 

堂場瞬一という作者の作品は、概して長いものが多いようです。

本シリーズもその例外ではなく、一冊が文庫本で500頁を超える分量です。正直なところ、若干長すぎないかという気もしますが、そこは筆の力で読ませてしまいます。

主人公たちが犯罪被害者に寄り添う姿を描きながらも、犯罪被害者の心のうちにまで踏み込みその救済を図る支援員の姿は読みごたえがありました。

警視庁犯罪被害者支援課シリーズ

警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』とは

架空の「警視庁犯罪被害者支援課」という部門を舞台にした、登場人物のキャラクターもそれなりに立っている、普通に面白く読んだ警察小説シリーズです。

堂場瞬一の作品らしく、緻密な描写と、その緻密さに裏付けられたリアリティはさすがの作品でした。

警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』の作品

警視庁犯罪被害者支援課シリーズ(2026年06月13日現在)

  1. 壊れる心
  2. 邪心
  3. 二度泣いた少女
  4. 身代わりの空(上・下)
  1. 影の守護者
  2. 不信の鎖
  3. 空白の家族
  4. チェンジ

警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』について

本『警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』の舞台になっている「犯罪被害者支援課」という部署は、犯罪の被害者の傷を負った心を手当てし、その傷が癒える手助けをしようとする架空の組織です。

でも、捜査一課などの直接に捜査を担当している部署からは、被害者のケアを重視するところから捜査を妨害しかねないとして邪魔者扱いされている存在でもあります。

登場人物
・村野秋生  : 元警視庁捜査一課所属支援課員
・松木優里  : 村野の学生時代からの友人で力強い同僚支援課員
・安藤梓   : シリーズ第一作『壊れる心』での登場時は江東署初期支援員
・長住光太郎 : 支援課の地雷になるかもしれない支援課員
・本橋怜治  : 元捜査一課管理官だった支援課課長
・芦田浩輔  : 支援課係長。元盗犯担当捜査三課のベテラン刑事。
・西原愛   : 「公益社団法人東京被害者センター」勤務の村野秋生の元恋人。

ちなみに、本シリーズの村野を始めとする登場人物は、その多くが本シリーズの次シーズンにあたる『警視庁総合支援課シリーズ』でも再度登場してきます。

 

この「支援課」という部門について著者の著者の堂場瞬一は林家正蔵との「ミステリがなければ生きていけない」という対談の中で、「他人の痛みはわからないということを前提にしながら、それでも何とかしてあげたい、と願って動く仕事」だと書いておられます。

同時に同じ個所で、この部署は「架空の部署ではあるけれども、現実に似たような部署は存在する」と書いておられます。

そして、そこには「民間支援団体である『被害者支援センター』は、全国、各都道府県にあります。」という文言もあります( 犯罪被害者を支援するしくみ : 参照 )。

現実には、行政では2004年に犯罪被害者基本法が成立し、各都道府県の警察や弁護士会、法テラスなどの組織も整備され、多方面での(直接的及び間接的な)犯罪被害者支援の制度が整いつつあるといいます。

こうしたことを受け、現実には警察庁や警視庁、各県警、それに各弁護士会や民間にも犯罪被害者の救済の役割を担う部門が設けられているようです。

 

本『警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』は、元警視庁捜査一課に属していた村野秋生という犯罪被害者支援課員が主人公となっていて、この村野の一人称視点で進められています。

この「支援課」の支援課員としては、元捜査一課管理官だった課長の本橋怜治や係長の芦田浩輔、それに支援課の地雷になるかもしれない長住光太郎らがいます。

そして、主役の村野の学生時代からの友人で力強い同僚である松木優里がおり、また支援課要員として育てていこうとしている、登場時は江東署の初期支援員であった安藤梓という女性がいます。

加えて、村野の元恋人として村野と共に遭った交通事故で車椅子生活となった西原愛という女性を忘れてはなりません。この女性は、民間の被害者支援センターでボランティアとして活動しています。

この交通事故により村野は今も痛みが残る膝を抱えることになり、愛は村野をかばったこともあって車いす生活になります。そして、その事故が原因で二人は別れることになったのです。

 

ともあれ、本シリーズはこれまでにない「支援員」という職務を担った警察官を主役にしたシリーズです。

被害者に寄り添う支援員の苦悩を描きながら、事件の真相を暴き出す支援課のメンバーの活躍は読みごたえがあります。

嗤う闇 女刑事音道貴子

嗤う闇 女刑事音道貴子』とは

本書『嗤う闇 女刑事音道貴子』は『女刑事音道貴子シリーズ』の第五弾で、新潮社から2004年3月に刊行され、2006年10月に文庫化された短編警察小説集です。

巡査部長へ昇進し、隅田川東警察署刑事課に移動になった音無貴子のリアルな日常が描かれている作品です。

嗤う闇 女刑事音道貴子』の簡単なあらすじ

レイプ未遂事件発生。被害女性は通報者の男が犯人だと主張。被疑者は羽場昂一ー。レイプ事件の捜査に動いていた音道貴子に無線が飛び込んだ。貴子の恋人、昂一が連続レイプ犯?被害者は大手新聞社の女性記者。無実の通報者に罪を着せる彼女の目的とは?都市生活者の心の闇を暴く表題作など、隅田川東署へと異動となった貴子の活躍を描くシリーズ第三弾。傑作短篇四編収録。(「BOOK」データベースより)

目次

第一話の「その夜の二人」では、巡査部長への昇進に伴い第三機動捜査隊から隅田川東警察署刑事課へと異動になった音無貴子の姿があります。泊り当番の貴子は酔っぱらいの親子喧嘩の相手や、さらに侵入盗の対処をすることになります。

第二話の「残りの春」では、世間知らずで手のかかる東大出のキャリア官僚の上司の面倒を見る貴子がいます。その貴子は、中学生相手に暴力をふるいそうになっていた、背筋をきちんと伸ばした老人の相手をする羽目に陥っていました。

第三話の「木綿の部屋」は、かつてコンビを組んだことのある、今は特殊班にいる滝沢刑事と出会い、その滝沢を娘の家まで送ることになります。しかしそこで見たのは思いもよらない滝沢の姿でした。

第四話「嗤う闇」では、レイプ犯の取り締まり中にレイプ未遂犯として貴子の恋人が犯人として捕まってしまいます。

嗤う闇 女刑事音道貴子』の感想

本書『嗤う闇』は『女刑事音道貴子シリーズ』の第五弾で、新しい職場での主人公の日常が描かれており、読みがいのある短編作品集です。

短編集としては『花散る頃の殺人』『未練』に続くシリーズ第三弾であり、主人公の音無貴子巡査部長へ昇進して隅田川東警察署刑事課に異動になっています。

本書では主人公の日常も描かれてはいますが、それよりも起こった事件というフィルターを通すことで音無貴子という女性の姿が描写されているようです。

この点は、第一短編集の『花散る頃の殺人』では主人公の私生活により重点があったように感じたのとは異なるようです。

主人公の音道貴子は、男社会である警察組織で叩かれながらもそれなりになじんだ仲間たちから離れ、新しい勤務先でまた最初から人間関係を築いていくことになります。

その男社会の典型が第一話の「その夜の二人」で泊り当番で一緒になった四十四、五歳の「かなり大柄の恰幅の良い」と表現されている盗犯担当の金井警部です。

この男に関しては、刑事部の鑑識係員の薮内奈苗警部補が「図体はでかくて肝っ玉は小さい」が、「敵に回すと面倒なタイプ」と言っています。

この薮内奈苗は、「奈苗は奈苗で、様々な思いをしてきているらしい」のですが、彼女のおかげで貴子も助かっています。この奈苗は、第二話で貴子と一緒に相談のあった被害者宅へと行くことになります。

 

また、新しい職場での貴子の相棒として、京都大学農学部出身でノンキャリアという変わり種の玉城警部補が登場しています。

第二話の「残りの春」では、貴子は沢木秀逸警部補という東大出のいかにも頼りがいのないキャリア官僚の世話をすることになります。

このキャリアが中学生とトラブルになっていた三方幸三郎という老人を尋問する場面はこのシリーズでは珍しいユーモアに満ちた場面です。

しかし、後半になると薮内奈苗と共に訪れた相談者宅で思いもかけない事態に遭遇するのでした。

 

第三話「木綿の部屋」は、『凍える牙』で登場してきた滝沢刑事の意外な一面が描かれています。

同時に、どうしようもない男に惚れた女の弱さもまた哀しく描かれています。

こうした作品はまたシリーズの奥行きを一段を深めるようで内容は違いますが楽しく読んだ話でした。

 

第四話「嗤う闇」では、恋人の昂一が被害者からレイプ犯だと指摘されてしまいます。

現場に駆け付けた貴子は、助けを求める声に応じて駆け付けただけなのにひどい目に遭っている昂一の姿を見るのでした。

 

どの話も女性刑事としての音道貴子の日常がリアルに描かれている点ではシリーズのほかの作品と同様です。

ただ、貴子は巡査部長へ昇進し、職場が機動捜査隊からいわゆる所轄署へと異動になっています。

つまり警視庁刑事部第三機動捜査隊立川分駐所から隅田川東警察署刑事課へと変化し、これまでのパトカーで巡回し発生した事件現場へいち早く駆け付けて初動捜査を行う立場から、地域の警察署に勤務し、普段は日常の警察業務をこなし、事件が起きたときに捜査を受け継ぐ立場へと変化しているのです。

 

とはいえ男社会で過ごしている立場に変化はなく、相変わらずに女性ならではの苦労をしています。

所轄署で玉城警部補を相棒として過ごす主人公の日常が描かれ、音道貴子の様子が描かれているのです。

小説としての面白さに変わりはなく、シリーズ作品を改めて読んでみたいと思っています。

女刑事音道貴子シリーズ

女刑事音道貴子シリーズ』とは

『女刑事音道貴子シリーズ』とは、文字通り刑事である音道貴子という女性を主人公にした警察小説です。

男性社会である警察組織の中で生き抜く一人の女性を、そのプライベートも含めた日常を丹念に描き出した読み応えのあるミステリーシリーズです。

女刑事音道貴子シリーズ』の作品

女刑事音道貴子シリーズ(2026年05月31日現在)

  1. 凍える牙
  2. 花散る頃の殺人
  1. 未練
  2. 嗤う闇
  3. 風の墓碑銘

女刑事音道貴子シリーズ』について

女刑事音道貴子シリーズ』とは、刑事である音道貴子という女性を主人公にした警察小説です。

警察小説のなかでも、例えば高村薫の『マークスの山』(新潮文庫 上下二巻)のように、捜査の様子を緻密に描写してあるリアルな作品だと言えるでしょう。

 

このシリーズでは、物語は長編作品では起こった事件を中心に展開し、短編集では音道貴子という女性のプライベートな側面を中心に置いている、と一応は言えるようです。

とはいっても、長編も短編も共に主人公の内心をも詳細に描き出すことで音道貴子という女性刑事の人となりを浮かび上がらせていることに変わりはありません。

ただ、短編のほうがよりプライベートな描写に重きが置かれているという印象なのです。

 

本シリーズに関しては、サスペンスミステリーとして評価されるとともに、ハードボイルド作品としても分類されているようです。

ハードボイルド」というジャンルの本来の意味からすると、「簡潔な客観的行動描写で主人公の内面を表現し」た作品( ウィキペディア : 参照 )ということになるのでしょうが、本シリーズは決して主人公の行動が客観的に描写されているわけではありません。

しかし、「ハードボイルド」という言葉は多様な意味を持つようになり、自分なりのルールを堅持し、タフな生き方をする主人公の生き方を指しても使われているようです。

その点で、男性社会のなかで様々な暴言、中傷に耐えながらも結果を残していく本書の主人公の生き方はまさにハードボイルドだ、という評価も生まれていると思われます。

 

本シリーズの主人公は音道貴子という女性刑事であり、シリーズ第一作の『凍える牙』という長編作品では警視庁刑事部第三機動捜査隊立川分駐所に勤務しています。

この時に主人公の相棒として登場してきたのが警視庁立川中央署刑事課強行犯捜査係の部長刑事滝沢保です。ずんぐりした中年男であり、妻は三人の子を置いたままに離婚しています。

この滝沢は音道貴子が異動した後も何かと本シリーズに顔を出し続けます。

ちなみに、この『凍える牙』は第115回直木賞を受賞しており、かなり読みごたえがありました。

 

また、シリーズ第五作の『嗤う闇』では音道貴子は巡査部長昇進に伴い、隅田川東警察署刑事課へと異動になっています。

それまでの機動捜査隊員として事件の初動捜査に当たっていた立場から、いわゆる所轄署の刑事となっているのです。

そしてここでの音道の相棒として京都大学農学部出身のノンキャリア玉城警部補が登場しています。

それに、同じ女性として何か時をかけてくれている薮内奈苗という鑑識係員やかなり大柄で恰幅の良い盗犯担当の金井警部が登場します。

 

しかし、このシリーズは読みごたえのあるシリーズとして、2009年1月に出版された『風の墓碑銘(エピタフ)』(新潮文庫 上下二巻)を最後として刊行されていません。

できれば続けてほしいとは思いますが、作家としてはあまり一つのシリーズに固執するのもよくないことなのかもしれません。

いずれにせよ、シリーズの残りをゆっくりと読み終えたいと思っています。

 

ちなみに、シリーズ第一作の『凍える牙』は、NHK版は2001年に天海祐希主演で、テレビ朝日版は2010年に木村佳乃の主演でドラマ化されており、更には韓国でソン・ガンホを主役に映画化されています。


 

またシリーズ第三作『鎖』は、2016年に小池栄子主演でBSテレ東でドラマ化されています。

家族

家族』とは

本書『家族』は、2025年10月に文藝春秋から320頁のハードカバーで刊行された、長編のクライムエンターテイメント小説です。

「尼崎連続変死事件」を下敷きに、暴力と監禁による洗脳を手段としての疑似家族の姿を描き出す、第174回直木賞の候補作ですが、私の好みではありませんでした、

家族』の簡単なあらすじ

第174回直木賞候補作

「現実の世界では、すんなり完全犯罪を
達成できてしまうこともあるんだって学んだんです」

2011年11月3日、裸の女性が交番に駆け込み、「事件」が発覚した。奥平美乃(おくだいら・みの)と名乗るその女性は、半年と少し前、「妹夫婦がおかしな女にお金をとられている」と交番に相談に来ていたが、「民事不介入」を理由に事件化を断られていた。
奥平美乃の保護を契機として、表に出た「死」「死」「死」…… 彼女を監禁していた「おかしな女」こと夜戸瑠璃子(やべ・るりこ)は、自らのまわりに疑似家族を作り出し、その中で「躾け」と称して監禁、暴行を主導。何十年も警察に尻尾を摑まれることなく、結果的に十三人もの変死に関わっていた。
出会ってはならない女と出会い、運命の糸に絡めとられて命を落としていく人々。 瑠璃子にとって「家族」とはなんだったのか。そして、「愛」とは。
「民事不介入」に潜む欠陥を日本中に突きつけた「尼崎連続変死事件」をモチーフとした、戦慄のクライムエンターテイメント!(内容紹介(JPROより))

家族』の感想

本書『家族』は、世にいう「尼崎連続変死事件」をモチーフに、警察の「民事不介入」や、「家族」という存在を考えさせられる、とされている長編のクライムエンターテイメント小説だそうです。

対象となる人物を洗脳状態に置いて「家族」という言葉で縛りつける姿を描いた第174回直木賞の候補作となった作品ですが、この手の作品は私の好むところではありません。

 

夜戸瑠璃子は、瑠璃子の妹だという夜戸朱鷺子や息子と称するなどを使い、多くの家族をそのコントロール下において彼らの日常を縛り、財産を吸い上げ、最終的には命をも捨てさせる毎日を送っています。

尼崎連続変死事件」をモチーフとして書かれたこの作品は、「家族」という存在をキーワードとしてこの事件を読み解こうとしています。

そして、そのアプローチも含めて評価され、本書は第174回直木賞の候補作となっているのです。

 

しかし私には、人を支配し洗脳しているのは「家族」という関係性ではなく、「暴力」だとしか思えませんでした。

たまに、その暴力から逃れた人たちが警察に助けを求めても、警察は「民事不介入」という原則を振りかざし、助けを求めている人を無視してしまいます。

暴力にあらがう手段を持たない人たちは、最後のよりどころである警察から見捨てられればあとはただ逃亡し、身をひそめるしかありません。

ここで、警察が「民事不介入」という言葉を隠れ蓑にしてその為すべき職務を果たしていなかった、という事実に好いては様々な議論があるでしょうし、必要だというのはわかります。

本書の夜戸瑠璃子が、暴力を手段として支配ている、というのはわかりますが、その行動を通して「家族」を考察することになるというのがわからないのです。

そこでは瑠璃子らが「愛」や「家族」という言葉を使ってはいますが、それは単に外観を飾っただけであり、その本質は「暴力」でしかないと思うのです。

でも、本書は第174回直木賞の候補作になっているのですから、私の読み込み方が間違っているとしか言うしかありません。

 

また、本書では多視点で語られていて、その時々に瑠璃子のターゲットになった人たちが、どのように瑠璃子の支配下に落ちていったかという内心を描写してあります。

その際に鍵となるのはやはり「暴力」への恐怖であり、瑠璃子自身や鉄という男たちが暴力装置として機能しています。

また、瑠璃子自身の来歴についてはあまり語られていません。ただ、ある団地のガキ大将であり、面倒見がよく、ダーヤマこと柊二の食事の面倒まで見ていた、などの描写があるだけです。

でも、瑠璃子の詳しい心象などは全くと言っていいほどに描かれておらず、瑠璃子が何故にこのようなカリスマ的な存在になったのかの説明はありません。

自分たちの間には「愛」があり、だから「家族」なんだというのが瑠璃子たちの決まり文句です。家族だから躾けもしていいのであり、すべきなのだというのです。

 

人が暴力やマインドコントロールなどを手段として人を支配し思うがままに操るという事件は本書がモチーフとしているといわれている「尼崎連続変死事件」のほかにも「北九州監禁殺人事件」などが挙げられます。

誉田哲也の『ケモノの城』もまた、そうした人が人を虐待する事件をモチーフとして書かれたといいます。

どちらも、人間の本質に対する根源的なところでの疑問がわいてきます。それほどに残虐性が際立つ事件であり、普通の感覚では信じることができない事件だといえます。

誉田哲也は、それらの事件をそのままに描き出すことは少々読者にとってつらいだろうから、エンターテイメントとして再構築して書いた、という趣旨のことを書いておられました。

しかしながら、本書の場合、事件を事件としてある程度そのままに描写してあるような気がします。

 

本書については、結局は「暴力」であり、「暴力」を手段として人を対象の人物を全人格的に自分の支配下に置く姿が描かれています。

相手の心を砕き、相手の家や金などの財産を奪い取って生活手段を独占し、自分に逆らえなくすることを常套手段とする一人の怪物の姿を被害者たちの眼を通して描いた作品だと言えます。

そして、そのことが「家族」について考察することに結びつくものなのか、私には分からななったのです。