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木下 昌輝 雑感

1974年奈良県生まれ。近畿大学理工学部建築学科卒業。ハウスメーカーに勤務後、フリーライターとして関西を中心に活動。2012年『宇喜多の捨て嫁』で第92回オール讀物新人賞を受賞し、2014年『宇喜多の捨て嫁』で単行本デビュー。同作は直木賞候補となり、2015年第2回高校生直木賞、第4回歴史時代作家クラブ賞新人賞、第9回舟橋聖一文学賞を受賞。2作目の『人魚ノ肉』は第6回山田風太郎賞の候補となる。最新刊に『戦国24時 さいごの刻』がある。2017年2月、『天下一の軽口男』が第38回吉川英治文学新人賞候補に選出される。( ダ・ヴィンチニュース : 参照 )

木下昌輝という作家は、『敵の名は、宮本武蔵』が第157回直木賞の候補作品となったかと思えば、こんどはまた『宇喜多の楽土』という作品が第159回直木賞の候補作となりました。

この『敵の名は、宮本武蔵』という作品は剣聖と呼ばれた男の真の姿を描き出した長編の時代小説で、ユニークな視点と表現のダイナミックさはとても面白く読んだものでした。
 

 
次の『宇喜多の楽土』は歴史小説ではどちらかというと影の薄い印象の、宇喜多秀家を主人公に、秀吉という絶対権力者のもとで苦悩する地方藩主の姿を描いた作品です。

ただ、個人的には主人公の姿が今ひとつはっきりと描かれていない印象があり、感情移入しにくい作品でした。
 

 
とはいえ、物語の面白さにおいて疑問がある作者ではなく、今後色々な作品を発表されるのが楽しみな作家さんの一人です。

[投稿日] 2017年08月11日  [最終更新日] 2018年9月14日
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おすすめの小説

おすすめの剣豪小説作家

「剣豪小説」のなかでも、実在の人物、それも剣の道を極めんとする求道者を描いた小説を選んでみました。
池波 正太郎
数多くの人気小説を書かれている、大御所であることは言うまでもありません。実在した剣豪ものとしては、武将としての上泉伊勢守信綱を描写している「剣の天地」があります。架空の人物を描いたものとしては「剣客商売」を挙げることができるでしょう。
海道 龍一朗
真剣 新陰流を創った男、上泉伊勢守信綱」は、剣聖上泉伊勢守信綱を描き出した、個人的には津本 陽の「柳生兵庫助」と並んで、最も面白いと思った剣豪小説の一冊です。
鳥羽 亮
この人にも多くの作品がありますが、実在した剣豪を描いた作品としては「覇剣 武蔵と柳生兵庫助」が一番でしょうか。
津本 陽
文庫本で全6巻という長編ではありますが、「柳生兵庫助」の面白さは、>海道 龍一朗の「真剣 新陰流を創った男、上泉伊勢守信綱」と並びます。他にも明治維新期に存在した剣豪たちを描いた短編集「明治撃剣会」や幕末の天才剣士・仏生寺弥助を描いた『』「修羅の剣」などがあります。
司馬 遼太郎
この人も一冊を挙げることが難しい作家です。しかし、実在の剣豪となると、「北斗の人」でしょうか。北辰一刀流を開いた千葉周作の青春記を言えます。

関連リンク

木下昌輝さん - WEB本の雑誌
デビュー単行本『宇喜多の捨て嫁』がいきなり直木賞の候補となり、新しい歴史エンターテインメントの書き手として注目される木下昌輝さん。
木下昌輝/咲くやこの花インタビューvol.3
「何でも答えますよ~」と、あいにくの空模様を晴らすような笑顔で登場した木下さん。明るく柔らかな物腰に甘え、デビューまでのリアルな道筋をじっくり伺いました。
『宇喜多の捨て嫁』 (木下昌輝 著) - 文藝春秋BOOKS - 文春オンライン
この作品は、既に歴史・時代小説の十年選手が書くレベルに達している。新人賞の選考故、きびしい意見が出るのは当たり前だ。だが、私はその中で次の二人の選考委員に与する者である。