『クリムゾンの迷宮』とは
本書『クリムゾンの迷宮』は、 2003年2月に新装丁・コレクターズアイテム版KADOKAWAから刊行され、1999年4月に角川ホラー文庫から393頁の文庫として出版された、長編のホラー小説です。
意表を突く舞台設定や異常な状況の中で生き残りをかけて戦う主人公の姿はとても面白く読んだ作品でした。
『クリムゾンの迷宮』の簡単なあらすじ
藤木はこの世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。視界一面を覆う、深紅色の奇岩の連なり。ここはどこだ? 傍ら携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された」(「内容紹介」より)
『クリムゾンの迷宮』の感想
本書『クリムゾンの迷宮』は、見知らぬ世界を舞台に命を懸けたゲームを強いられる、長編のホラー小説です。
状況の説明はありません。突然放り込まれた現状で、目の前にある「携帯ゲーム機」と、そこに表示された文字だけを頼りに、何か行動を起こさなければならないのです。
同時に目覚めた他の八人との間で複雑な駆け引きが始まります。
山田某の著作に似たゲーム性の強い設定ですが、こちらは私が読んだ山田某の初期の作品と異なり、格段の文章力で書かれているので非常に面白く読めました。面白い小説の書き方の前後という感じです。
シチュエーションスリラーとも言えるのではないでしょうか。ホラーと言えるかは分かりません。ホラーの定義も人それぞれですが、強いて言えば私の考える、「恐怖」をテーマとする作品、というホラーの感じとは違うと思われます。
与えられた状況をどのように乗り越えるか、の興味が尽きず、一気に読んでしまいました。面白いです。