『池袋ウエストゲートパークシリーズ』とは
本『池袋ウエストゲートパークシリーズ』は、主人公のマコトのトラブルシューターとしての活躍を描き出す各巻四篇の物語で構成される連作のハードボイルド短編集です。
読みやすい文体と、的確に時代を反映させた内容とが長瀬智也主演のドラマのヒットと共に受け入れられベストセラーとなったシリーズです。
『池袋ウエストゲートパークシリーズ』の作品
池袋ウエストゲートパークシリーズ(2021年10月16日現在)
- 池袋ウエストゲートパーク
- 少年計数機
- 骨音
- 電子の星
- 反自殺クラブ
- 灰色のピーターパン
- Gボーイズ冬戦争
- 非正規レジスタンス
- ドラゴン・ティアーズ―龍涙(りゅうるい)
- PRIDE―プライド
- 憎悪のパレード
- 西一番街ブラックバイト
- 裏切りのホワイトカード
- 七つの試練
- 絶望スクール
- 獣たちのコロシアム
- 炎上フェニックス
池袋ウエストゲートパーク外伝(2021年10月16日現在)
- 赤(ルージュ)・黒(ノワール) 池袋ウエストゲートパーク外伝
- キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇
『池袋ウエストゲートパークシリーズ』について
本『池袋ウエストゲートパークシリーズ』は、池袋西口に実際に存在する「池袋西口公園」をモデルにした「池袋ウエストゲートパーク(IWGP)」と呼ばれる公園をしばしば登場させながら、持ち込まれる様々なトラブルを主人公のマコトこと真島誠が解決していく物語です。
このシリーズは時代を彩る事柄をそれぞれの話に反映させ、何らかの問題提起をしているところを大きな特色としています。
登場人物で忘れてならないのが、池袋のカラーギャング「G-Boys」のリーダーのキングと呼ばれているタカシこと安藤崇の存在です。
池袋の若者から恐れられ、ヤクザも一目置いている存在ですが、マコトの工業高校の時の同級生であり、マコトをギャング団に引き入れようとしますが、マコトは断り続けています。
本『池袋ウエストゲートパークシリーズ』は、マコトが主人公ではありますが、タカシもまた影の主人公的な位置にいて、マコトの助けに回ったり、マコトに問題を持ち込んだりもしています。
また、このタカシの存在が池袋の裏事情をテーマにすることを自然にしているとも言えそうです。
この二人の関係については『キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇』に詳しく書いてあります。
タカシがカラーギャングのリーダーであり、結局、暴力的な危険をはらむトラブルにも首を突っ込むマコトですが、中にはヤクザとのトラブルもあります。
そのヤクザとの伝手として、マコトの中学の同級生のサルこと斉藤富士夫がいます。
サルは昔はいじめられっ子でしたが、今では池袋を仕切る暴力団の「羽沢組」の構成員になっているのです。
一方、池袋署にも知り合いはおり、池袋署生活安全部少年課の刑事の吉岡や、マコトが幼いころからの近所のお兄さんであった池袋署署長の横山礼一郎などもいます。
本『池袋ウエストゲートパークシリーズ』の主人公であるマコトは、母親が営む果物屋の手伝いながら、雑誌にエッセイを書いており、そこそこに人気もあるようです。
店では好きなクラシック音楽を流していますが、ギャングのリーダーのタカシも認める度胸と腕っぷしの持ち主でもあります。
本『池袋ウエストゲートパークシリーズ』は2010年に刊行された『PRIDE―プライド 池袋ウエストゲートパークX』をもって第一シーズンが終わり、2014年に刊行された『憎悪のパレード 池袋ウエストゲートパークXI』から第二シーズンとして再開され、現在に至っています。
わたしも、第一シーズンの全部を読み終えたものの、第二シーズンの再開を知らずにいたのですが、2017年になり『憎悪のパレード 池袋ウエストゲートパークXI』の存在を知り、再び読み始めましたが、その一冊で中断していたものです。
今回、第十四弾の『七つの試練 池袋ウエストゲートパークXIV』を読んだことからまた読み始めようかと思っています。
日本のハードボイルド小説もかなり面白い作品が増えてきましたが、本シリーズも軽く読めるハードボイルド小説として位置づけられると思います。
似た傾向の作品として東直己の『ススキノ探偵シリーズ』や『探偵・畝原シリーズ』がありますが、
ちなみに、本『池袋ウエストゲートパークシリーズ』は、2000年に宮藤官九郎の脚本で、堤幸彦をチーフ演出とし、マコトを長瀬智也、タカシを窪塚洋介というキャストでテレビドラマ化され、大人気を博しました。
また、このドラマには他に坂口憲二や佐藤隆太、山下智久、高橋一生、妻夫木聡なども出演しており、また遠藤憲一、渡辺謙、阿部サダヲ、森下愛子、小雪、矢沢心などといった今では考えられない役者さんたちも共演していたそうです。
当時私はドラマに関心がなく、一話も見ていないことが残念です。