江戸時代にも「占い」は流行し、女性たちはそのお告げに一喜一憂していた。実際に出版されていた占い本「女用知恵鑑宝織」。女の吉凶を生まれ月ごとにズバリあてるこの本をめぐる女の喜びと悲哀―。月ごとの風物を織り込みながら、江戸の女の恋愛を生き生きと描き出す、切なくも愛らしい傑作時代小説。(「BOOK」データベースより)
「女用知恵鑑宝織」(おんなようちえかがみたからおり)という実際に出版されていた占いの本をネタに、各月の占いになぞり、十二通りの女の喜びを、また悲哀を描いている短編集です。
出版年は2010年であり、エンターテインメント性もあります。しかし、短編ということもあってドラマチックに物語が展開するわけではありませんので、話の展開が物足りないと感じる人もいるかもしれません。でも、楽しく読めるとは言えなくても、面白く読める本だと思います。
何より、よくもまあ考え出すことだと感心するほどに各月の物語は練られています。勿論、気にいった短編もありますし、そうでない短編もありますが、総じて、品の良い文章で流れるように語られる十二の物語は女性向けかな、と感じました。
江戸の町の各月の情景を織り込んで語られる読みやすい短めの十二の物語も、たまにはゆっくりとした時間を持てて良いのではないでしょうか。