今村 翔吾

イクサガミ シリーズ

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イクサガミ 神』とは

本書『イクサガミ 神』は『イクサガミシリーズ』の第四弾で、2025年8月に480頁の講談社文庫として出版された、長編の痛快アクション時代小説です。

いよいよ東京へと入った蟲毒への参加者たちの最終的な戦いが描かれた、エンタメに徹した、面白さ満載の痛快アクション作品です。

イクサガミ 神』の簡単なあらすじ

最終決戦、開幕。
東京は瞬く間に地獄絵図に染まった。
血と慟哭にまみれる都心の一角で双葉は京八流の仇敵、幻刀斎に出くわしてしまった。
一方の愁二郎は当代最強の剣士と相まみえることにーー。
戦う者の矜持を懸けた「蠱毒」がとうとう終わる。
八人の化物と、少女一人。生き残るのは誰だ。【文庫書下ろし】(「BOOK」データベースより)

イクサガミ 神』の感想

本書『イクサガミ 神』は『イクサガミシリーズ』の第四弾で、最終目的地の東京へ入った九人が戦う面白さ満載のエンターテイメント作品です。

前作では嵯峨愁二郎たちの横浜での貫地谷無骨との戦いがとても印象的でした。

本作で東京に無事辿り着いたのは嵯峨愁二郎衣笠彩羽ギルバート・カペル・コールマン化野四蔵岡部幻刀斎柘植響陣カムイコチャ天明刀弥、そして香月双葉の九人です。

 

東京に入った九人は早々に監視者から六つの決まりを言い渡されます。

その一つは東京に辿り着いた九名は銘々に上野寛永寺黒門を目指す、というもので、嵯峨愁二郎は麹町の阪川牛乳搾取所の前、また双葉は銀座近くの南鍋町の風月堂前で降ろされるなど、皆ばらばらの地で開放されるのでした。

ところが愁二郎をはじめ皆、通りがかりの者たちから捕まえられそうになります。

彼ら九人は、その首に高額の賞金を懸けられたお尋ね者とされていたのでした。

 

本書でこのシリーズも終わりを告げることになりますが、最終巻らしく、シリーズの持つ様々な謎もきちんと明らかにされています。

また、謎と言っていいかはわかりませんが、香月双葉という少女がこの殺し合いの中で生き抜いていけた理由や、そもそも双葉がこの物語に登場した理由なども明らかにされていたのはうれしいことでした。

 

当然のことながらシリーズの魅力であるアクションも見どころ満載で展開されます。

そして、これまでシリーズの第二巻でその父親の仏生寺弥助との出来事が描かれ、シリーズ中でその剣の天秤を見せていた天明刀弥という化物も嵯峨愁二郎のまえにやっと現れ、戦いを見せてくれます。

この天明刀弥こそが最終巻の最終的な敵役と言ってもいいかもしれません。

 

化物と言えば、本シリーズの冒頭から京八流をつけ狙う化物として岡部幻刀斎がいました。

この岡部幻刀斎についてもその過去が明らかにされ、幻刀斎が京八流を狙う理由や、幻刀斎の人間離れした動きなどの秘密も解き明かされます。

そして、嵯峨愁二郎らの敵として残されているのはこの二人のはずですが、何故か仲間でいた柘植響陣と嵯峨愁二郎との戦いも重要な場面として描かれているのです。

ここらのことはぜひ原作を読んでもらうしかないでしょう。

 

そして何と言っても、このシリーズ最大の謎である蟲毒という殺し合いのゲームが仕掛けられた理由も詳細に語られています。

それも、当時の歴史的な事実を背景に、伊藤博文前島密といった実在の高名な人物たちが登場し、殺し合いの謎が明かされるのです。

 

本書のような伝奇小説の分野には、『柳生武芸町』などで知られる山田風太郎という独特な世界を構築された大作家がいます。

本書は、エンターテイメント小説としてその山田風太郎の作品の後継と言っても過言ではない物語設定と面白さに満ちた物語だと言えます。

 

ちなみに、俳優の岡田准一がプロデューサーと主演を兼ねて作成したネットフリックス版の『イクサガミ』も、大当たりしていると聞いています。

詳しくは下記を参照してください。

 

[投稿日]2026年03月03日  [最終更新日]2026年3月3日

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