エリック・リーベン―天才的な遺伝子工学者。彼はその才能を武器にベンチャー・ビジネスを成功させ、莫大な財を築いていたが、別居中の妻レイチエルと口論した直後、自動車にはねられて即死した。しかし、奇怪なことに彼の死体が、市の死体公示所から忽然と消失した。この報せをうけたレイチェルはあることに思い当たったが、それはあまりにも恐ろしい想像だった。信頼する恋人ベンとともに極秘の調査を開始したレイチェルの前に、謎の追手が立ちふさがる。一方、エリックが手がけていたプロジェクト〈ワイルドカード〉の機密流出を恐れた防衛保安情報局の高官アンスン・シャープも二人に対する追跡を開始した。〈ワイルドカード〉とはいったい何なのか?エリックになにがおこったのか?日本でも人気集中、モダンホラーの鬼才クーンツが放つ、超大型サスペンス。( 上巻 : 「BOOK」データベースより)
不老不死を実現する野望に取りつかれた天才的遺伝子工学者、エリック・リーベンは自らに施した遺伝子工学的処置〈ワイルドカード〉によって死から蘇った。しかしその副作用は激烈だった。暴走する遺伝子は彼を怪物へと変容させた。額に角が盛り上がり、尻尾が生え、体に鱗が生じた。彼は地上に現れたこともない爬虫類の怪物へと変容していったのだ。だが、エリックは怪物と化しながらも、自分から離れていった妻への復讐の念に燃え、レイチェルを追う。また、情報局の高官シャープ、そして正義派の警官たちが三つ巴、四つ巴となって彼らを追いつづける。奸計により、指名手配されラスベカズへ向かって砂漠を移動するレイチェルに、もはや人間の姿をとどめなくなったエリックが襲いかかった―。鬼才クーンツがくりだすストーリーは最後まであなたを絶対に離さない。( 下巻 : 「BOOK」データベースより)
モダンホラーの代表的作家の一人であるクーンツの代表的な長編のホラー作品。
主要な登場人物の一人である遺伝子工学者エリックが早々に死んでしまい、その死体が消失するのですが、エリックと別居中の妻レイチェルには思い当たることがありました。
恋人のベンと調べていくうちに、防衛保安情報局や正体不明の追跡者が立ちふさがり、驚愕の事実に突き当たります。
この作者の『ファントム』同様に、圧倒的なスピード感の中物語は進みます。とにかく、これでもかという畳みかけです。勿論、敵役の異形の者も登場しますが、今回は正体はそれなりに判明しています。グロさが全くないとは言いませんが、許容範囲でしょう。
この作品も単純に乗っかって読み進めばすぐに読了してしまいます。
他でも書いたように理屈抜きで楽しめる本です。
懐かしいです。戦慄のシャドウファイアーは学生時代読み、就職後三年後頃また読みました。同時にクーンツの作品で読んでたのがウォッチャーズになります。同じ遺伝子工学をテーマにしたSFホラー的な作品ですが、ウォッチャーズのキャラが諜報目的の犬といい、暗殺や破壊工作目的のヒヒ怪獣といい、「最初から特殊」なのに対し、シャドウファイアーのエリック博士はどうも特殊ではなく、「特殊化していく」キャラなのが違うとこに思いました。もちろん天才的思考で最初から特殊で、「一度死に、再生する」ことで本性が現れ、元妻を逆恨みするストーカー怪獣化したとも言えますが、生物の本性のおっかないとこが全て現れたと考えると特殊ではなく、「至って正常」とも言えるキャラです。ゲームのバイオハザードやハウスオブザデッドを製作したスタッフは間違いなくクーンツの作品を読んで影響受けたと思います。
コメントありがとうございます。
私のまわりにはクーンツを好む人は一人もおらず、淋しい思いをしていました。結構人気のある作家さんなのに不思議です。
私自信はシューティングゲームはやらないので、ゲームの「バイオハザード」や「ハウスオブザデッド」の本当の雰囲気はよく分からないのですが、他の人がやっているのを見た限りでは山田太郎さんのおっしゃることはよく分かります。
また「バイオハザード」は映画版は全部見ていますので、その印象からしても外れてはいないと思われます。
クーンツの疾走感に富み、またB級映画感あふれる作風は、小難しいことを考えることなく、ただひたすらに物語の世界に浸っていればいいので、これほど楽なことはありません。
日本でも初期の夢枕獏や、菊池秀行、梅原克文などの書き手もいたのですが、この頃はこうした小説の書き手がいなくなったのが少々残念です。
今後ともよろしくお願いいたします。
戦慄のシャドウファイアとウォッチャーズの共通点は女を助ける側の男は冴えない感じでも元は「米軍特殊部隊出身者」というとこです。実は強者ってのがいいです。両作品の小道具の拳銃のスミス&ウェッソンM19は好きな拳銃ですね。ルパン三世の次元も使います。シャドウファイアーの悪役はエリック博士のバイオストーカー大怪獣の他、情報機関のアンスン・シャープも「イヤな上司」の典型でムカつくキャラです。どこにでもいるタイプですが(-_-)゛エリック博士は最後に燃え尽きてめでたく地獄戻りと言ったところですが、ウォッチャーズのアウトサイダーは可哀想で泣けました。もしウォッチャーズの続編あったらアウトサイダーを復活させて、トラビスのデルタフォース時代の仲間で今や宿敵のキャラをアウトサイダー2代目の数少ない仲間としてコンビ組んで対決?なんてないものか考えたものです。クーンツの作品は映画化されましたけど賛否両論中否が多いようです。古いヤツではデモンシード、次はハイダウェイ、比較的新しいのでファントムと。ウォッチャーズは三回映画化されましたけど全て駄作!戦慄のシャドウファイアーは映画化されなくても映画見てるような感じになる作品でした。クーンツの作品は全てではないけど主役は何か精神的に傷を負った者が多く、「混沌とした世界観」の元?空は夕暮れか雨曇の元から始まり、ラストは夜明けと言ったところです。バイオハザードやハウスオブザデッドの画面(よく気晴らしでゲーセンで) はどちらも遺伝子操作からなる話ですが、それとは別に「空の背景」見るとどーもクーンツ作品読んだでしょうね。
山田太郎(ジョン・スミス)さん、返信が遅くなり申し訳ありませんでした。今月は何かと私事で忙しく、本サイトもあまり手を入れることもできていません。何とか落ち着きましたので、これからまた更新していこうと思っています。
私は山田太郎(ジョン・スミス)さんほど本書『戦慄のシャドウファイア』や『ウォッチャーズ』の内容を明確には覚えておりませんので、おっしゃることに明確に返信できないのがもどかしいです。
この手の小説として主人公は異形の者に対して孤独な戦いを挑むだけの能力を有していなければならず、それ故に「米軍特殊部隊出身者」という設定は仕方がないでしょうね。
クーンツの物語の中では個人的には『ファントム』が一番で、次いで『ウォッチャーズ』だと思っています。『ファントム』の疾走感がたまらず、『ウォッチャーズ』は動物を絡ませている分一般受けしそうだし、山田太郎さんが「アウトサイダーは可哀想」だと言われるようにせつなさまでにじむのです。
本書はその後に位置づけられ、やはり物語のスピード感とクリーチャーのB級感にはまりました。
また、クーンツの小説を原作とする映画は何作品かは見ているはずなのですが、何を見たかも覚えていません。覚えているのはどれも面白くはなかったということですね。
こうしてクーンツについて書いているとまた彼の作品を読み返そうかとも気にもなってきました。近年のクーンツはサイコパスを敵役とする作品が目立つように感じられ、それはそれでいいのですが、やはりこの世ならざる異形の者を相手とするほうが私の好みには合っているようです。
今後ともよろしくお願いします。