スペンサー シリーズ(完結)
- ゴッドウルフの行方
- 誘拐
- 失投
- 約束の地
- ユダの山羊
- レイチェル・ウォレスを捜せ
- 初秋
- 残酷な土地
- 儀式
- 拡がる環
- 告別
- キャッツキルの鷲
- 海馬を馴らす
- 蒼ざめた王たち
- 真紅の歓び
- プレイメイツ
- スターダスト
- 晩秋
- ダブル・デュースの対決
- ペイパー・ドール
- 歩く影
- 虚空
- チャンス
- 悪党
- 突然の災禍
- 沈黙
- ハガーマガーを守れ
- ポットショットの銃弾
- 笑う未亡人
- 真相
- 背信
- 冷たい銃声
- スクール・デイズ
- ドリームガール
- 昔日
- 灰色の嵐
- プロフェッショナル
- 盗まれた貴婦人
- 春嵐
離婚した夫が連れ去った息子を取り戻してほしい。―スペンサーにとっては簡単な仕事だった。が、問題の少年、ポールは彼の心にわだかまりを残した。対立する両親の間で駆け引きの材料に使われ、固く心を閉ざして何事にも関心を示さない少年。スペンサーは決心する。ポールを自立させるためには、一からすべてを学ばせるしかない。スペンサー流のトレーニングが始まる。―人生の生き方を何も知らぬ少年と、彼を見守るスペンサーの交流を描き、ハードボイルドの心を新たな局面で感動的に謳い上げた傑作。(「BOOK」データベースより)
やはりR・B・パーカーといえばまずはスペンサー シリーズでしょう。
元警察官の私立探偵のスペンサーは大男で、常に体を鍛え、そのタフネスぶりを誇っています。何よりの特徴は彼の饒舌さにあります。単なるおしゃべりではなく、皮肉屋でもあり、彼なりの哲学に裏打ちされた饒舌さです。
最初はこのおしゃべりに拒否感を覚える人も少なからずいるかもしれません。しかし、ちょっとその点を無視していれば、彼の饒舌さもそれなりに面白く思えてくると思います。
彼を取り巻く登場人物がまた魅力的です。頭脳明晰で独立心が強く、スペンサーと距離を置いたこともある恋人のスーザン・シルヴァマン、スペンサーの危機に際しては常にそばに居る黒人の大男ホーク。他にも何冊かではありますが、警察官で事件の度に顔を出すサミュエルスン警部。ギャングのヴィニー・モリス。どれもひと癖ある人間達で、スペンサーとの会話が光ります。
本コーナーのリンク写真は「初秋」という作品で、本シリーズの中での一番人気であり、私も最も好きな作品です。
スペンサーが両親の離婚騒動の間を一人でいる少年の再生を手伝う物語です。「男」としての生き方を、共に生活し、体を鍛え、家を基礎から建てる、その行為の中で教えていきます。勿論ホークも加わります。
アクション重視のハードボイルド小説ではなく、主人公の生き方を主張している作品です。でも、できれば第一作目から順に読んだ方がスーザンとの出会い、別れなどのシリーズ全体を通した流れが分かり面白いでしょう。
本シリーズは装丁がまた魅力的でした。辰巳四郎氏によるカバーデザインは、拳銃や口紅などの小物と、人の顔若しくは眼や口などの顔の部分のリアルなイラストの組み合わせがインパクトが強く、強烈な個性を持っていました。ちなみに、菊池光と辰巳四郎というコンビはフランシスの競馬シリーズでも同様でした。
下記リストは翻訳済みの作品リストです。未訳の作品として『Chasing the Bear』が、通し番号で言うと37の位置にあります。ですから、シリーズ全体とすれば、正確には全40巻と書くべきでしょうか。