R・B・パーカー

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二十一歳の夏、作家志望の青年ブーンは、ジェニファとの恋を失った。人生の目的をなくした彼は、酒に溺れ、失業を繰り返し、やがて抜け殻となった魂を抱えて流浪の旅へ出る。彼女にあてた、投函されることのない何通もの手紙とともに。が、七年の歳月を経ても変わらぬジェニファへの愛は、ある日ブーンに再生を誓わせる。青年の挫折と再生を通し、スペンサー・シリーズの著者が男の愛と誇りを問いかける感動の恋愛小説。(「BOOK」データベースより)

 

この本もある男の再生の物語です。

 

失恋した主人公は、今で言うならストーカーのように手紙を書きやはり振られます。酒びたりの日々を送り、仕事を次々と変え、ついにはあてのない旅に出た主人公はホームレスとなってしまいます。

しかし、ある日突然これまでの生活に決別することを思い立ち、肉体を鍛え、再度学業に励み自分を取り戻すのです。

 

その過程が、いかにもパーカーなのです。「初秋」でもそうでしたが、まずは強靭な肉体こそ誇りある男の礎とでもいうように、まずは体を鍛えます。まあ、体が資本というのは不自由な体になった私としては実感するのですが、パーカーの言う意味は少し異なるように思えます。

 

パーカーの描く男は「騎士(ナイト)」なのでしょう。「騎士」である以上は誇り高くなければなりません。外敵から身を、そして自分が守るべきものを守り得るだけの力が必要であり、そのための肉体の鍛錬、だと感じます。

そういう肉体を得て、その上で知性をも有していて初めて騎士となると言っているようです。

そして、男は家庭を、愛する人を、名誉を守り得る「騎士(ナイト)」になるのです。

[投稿日]2015年04月28日  [最終更新日]2018年12月25日
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