『疫病神シリーズ』の第五巻『破門』で直木賞を受賞した黒川博行のデビュー作を含む、大阪府警捜査一課に勤務するコンビの刑事を主人公とする、『疫病神シリーズ』よりは真面目、と感じる長編の警察小説です。
本シリーズ第一作の『二度のお別れ』が著者黒川博行のデビュー作であるためでしょうか、本シリーズは主人公が途中で変わります。
第一、二、四作では黒田憲造巡査部長と亀田淳也刑事の「黒マメ」コンビ、第三作で文田巡査部長と総田部長刑事との「ブンと総長」のコンビ、他に吉永・小沢コンビもいるそうですが、まだ途中までしか読んでいないので、各巻の主人公がどうなるのかは不明です。
刑事は通常は二人が組んで捜査に当たるということはよく聞くので、本書の主人公もコンビということになっているのでしょう。
本シリーズでのコンビも会話が大阪弁そのものであり、当然ユーモアに満ちています。
ただ、黒川博行という作家の『疫病神』という作品での、桑原というヤクザと二宮という素人ながらにヤクザとの付き合いもある男との掛け合いが素晴らしかったので、どうしてもそちらと比べてしまいます。
そうすると、本書は本書なりにユーモラスであり、おかしみがあるはずなのにどうしても見劣りしてしまうのです。
ただ、『疫病神』シリーズよりも本シリーズのほうが、よりミステリー色を色濃く持っていると思われます。
今後読み進めるとともに、シリーズとしての印象も変わってくる可能性が大きいので、読み進めたらまた本稿も修正していきたいと思います。