青山 美智子

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マイ・プレゼント』とは

 

本書『マイ・プレゼント』は2022年7月に刊行された、癒しの青い水彩画と、心ふるわせる48篇の物語が収められた、アート&ショート・ショートです。

まさに「アート」と呼ぶべき本であり、文章はショートショートというよりは詩であり、水彩画と合わせて絵本に近い感覚の本でした。

 

マイ・プレゼント』の簡単なあらすじ

 

2022年本屋大賞第2位『赤と青とエスキース』の著者と装画家が再タッグ!
癒しの青い水彩画と心震わせる物語を収録した、世にも美しいアート×ショート・ショート。

心が疲れたと感じるとき、嬉しいことがあったとき、現状を変えるきっかけが欲しいとき……。
そんなときは、美しい絵画と言葉を味わいながら、ゆっくり自分と向き合ってみるのもいいかもしれません。
本書は、新進気鋭の水彩作家・U-ku(ゆーく)氏のアートから受けるインスピレーションをもとに、ハートフル小説の旗手・青山美智子氏が短い物語を綴った特別な作品集。
読む人によっても、読むタイミングによっても、まったく違う景色を見せてくれる本書の中には、今のあなただけが受け取れる、何かのヒントが詰まっているかも。

大切な人への贈り物にもぴったりな珠玉の一冊です。(内容紹介(出版社より))

 

マイ・プレゼント』の感想

 

本書『マイ・プレゼント』は、もし水彩画に焦点をあてるとすれば「画集」というべきかもしれません。

書かれているショートショートも物語ではなく詩、それも散文詩であり、絵と合わせると「絵本」というべきでしょう。

私の好みとは異なる作品でした。

 

私は芸術面の才能もないために描かれている水彩画も、特に抽象となるとよく分かりません。

本書の水彩を書かれているU-ku氏は、2021年本屋大賞の候補作となった青山美智子の『赤と青とエスキース』でもコンビを組まれていました。

 

 

そのU-ku氏の、本書に掲載されている抽象的な画の中に必ずと言っていいほどに現れている一人の女の人は作者なのでしょうか、鑑賞している人なのでしょうか。

それとも、この人物は誰でもなく、絵の一部として見る人の解釈に委ねる、そういう存在なのでしょうか。

夢想的で情感に満ちたこの絵画は、色合いや筆遣いなどのためなのか、眺めていると時間がゆっくりと流れるようで、この絵を見るだけでも落ち着く作品だとは思いました。

 

また、青山美智子の文章は、これまで読んだ『赤と青とエスキース』など長編の作品からすると若干感傷的にすぎるような気がします。

この人の文章は、もともと詩情豊かなタッチだとは思っていましたが、本書のような短文となると、私には情緒の裏付けが感じられずに感情だけの文章だと感じ取れてしまいます。

 

とはいえ、この絵と青山美智子の取り合わせは好きな人にとっては魅力的なものになるのでしょう。

ただ、私の好みとはちょっと異なる作品でした。

[投稿日]2023年06月25日  [最終更新日]2023年6月25日
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