十二国記シリーズ

十二国記シリーズ』とは

 

本『十二国記シリーズ』は、古代中国の思想をベースにした壮大なファンタジーです。

麒麟と、その麒麟が選んだ王により統治された十二の国ならなる異世界を舞台に、それぞれの国の麒麟と王が自分の国をいかに統治するかが描かれます。

 

十二国記シリーズ』の作品

 

十二国記シリーズ 別巻(2023年05月16日現在)

  1. 魔性の子 ( 本シリーズの前日譚 )
  2. 漂舶 ( ドラマCD 『東の海神 西の滄海』の後日譚 )

 

十二国記シリーズ』の簡単な内容紹介

 

「必ず、生きて還る」・・・平凡に生きる少女の人生は苦難の旅路で一変。迸(ほとばし)る生への執着を描く、『魔性の子』に続く物語。
「十二国記」の世界
「王」と「麒麟」が織りなす、その世界の仕組みとは・・・
我々が住む世界と、地球上には存在しない異世界とを舞台に繰り広げられる、壮大なファンタジー。二つの世界は、『蝕』と呼ばれる現象によってのみ、つながっている。
異世界では、神々が棲むという五山を戴く黄海を、慶、奏、範、柳、雁、恭、才、巧、戴、舜、芳、漣の十二の国々が、幾何学模様のような形で取り囲んでいる。
それぞれの国には、霊獣である麒麟がおり、天啓によって王を見出し、玉座に据える。そして王は、天啓のある限り永遠の命を持ち、国を治め、麒麟はそれを補佐する。
しかし、〈道〉を誤れば、その命は失われる。気候・慣習・政治形態などが異なる国々で、懸命に生きる市井の民、政変に翻弄される王、理想の国家を目指す官吏などが、丹念に綴りつづけられている壮大な物語である。( 内容紹介 )

 

シリーズ各巻の具体的な内容については、シリーズ第一巻『月の影 影の海』のあとがきで北上次郎氏が簡単にまとめておられましたので、そちらを基本に不足分をまとめてみました。

第一巻『月の影 影の海』は、女子高生の中嶋陽子が主人公の物語です。

ある日突然、異世界から迎えに来たとい人物が現れ、襲い来る妖魔を避けその人物についていくと、そこは「巧」という国であり、陽子は何も分からないままに、ただもとの世界へ帰ることを望み生き抜く姿が描かれます。

この第一巻で、この世界には十二の国があり、それぞれの国に霊獣の麒麟により選ばれて不死となった王がいる、という異世界の様子が少しずつ明らかにされていきます。

第二巻『風の海 迷宮の岸』は、王が不在の戴国の物語で、幼い麒麟の側からの目線で描いてあります。

第三巻『東の海神 西の滄海』は、第一巻にも登場していた雁王の小松尚隆と麒麟の六太の国造りの物語です。

第四巻『風の万里 黎明の空』は、慶国の陽子、芳国の祥瓊、才国の鈴という三つの国の三人の女性の物語です。

第六巻『図南の翼』は、恭の国の十二歳の少女株晶の麒麟探しを描くロードノベル。

第八巻『黄昏の岸 曉の天』は、戴国の女将軍が慶国に助力を頼みにくるところから始まる物語。

第九巻『白銀の墟 玄の月』は、王が行方不明の戴国の再興を目指す、新潮文庫で全四巻にもなる長大な物語です。

 

十二国記シリーズ』について

 

本シリーズは、「古代中国の讖緯(しんい)思想をベースにされている」物語だそうです( 新潮文庫メール アーカイブス : 参照 )。

ここで讖緯とは、古代中国で行われた予言のことです。本シリーズの詳しい出版状況や内容については、ウィキペディアに詳しく書いてあります。

ウィキペディアの内容を簡単に記しておきますと、本シリーズはもともと講談社X文庫ホワイトハートから出版されていましたが、人気に火がつき、2000年から講談社文庫から一般向けとして出版されました。その後、担当編集者の移籍に伴い、2012年4月に新潮社から出版されることになったものです。

また、本シリーズの内容についても「本シリーズは、同一の世界設定の中で作品ごとに別の国・別の時代・別の主人公を持ち、執筆順と作品内での時間軸が前後する形でストーリーが展開されている。」とありました( ウィキペディア : 参照 )。

 

とにかく、本『十二国記シリーズ』は物語世界がきちんと構築されていてほころびを感じられず、その上で展開される物語の面白さが群を抜いています。

それは、北上次郎氏が書かれているように、人が生き抜くこと、人が人として生きる上での本分などの太いテーマがこの物語の底に力強く流れているからでしょう。

読んでいくにつれ、人に対する信頼や生きることの尊厳などを自然と考えざるを得ない、しかし変に理屈っぽくなくその意味が素直に読み取れるのです。

さらに言えば、表紙、挿絵を担当している山田章博の画が素晴らしく、物語の雰囲気を高めてくれています。

本シリーズを俯瞰してみると戴国の物語が基本に描かれていて、そこにそれぞれに独立した物語として描かれている景王陽子や、延王尚隆、延麒六太、恭王珠晶らが絡んでくるという構造になっているのが分かるのです。

 

ファンタジーと言えば上橋菜穂子辻村深月高田大介など読みごたえのある作品を書かれる作家さんたちが日本でも多くみられるようになりました。

喜ばしい限りです。

これらの作家さんたちの作品を今後も読み続けたいと思っています。

 

ちなみに、本『十二国記シリーズ』はNHKBS2の衛星アニメ劇場枠内で、2002年4月9日から2003年8月30日にかけて放送されたそうです( ウィキペディア : 参照 )。