小川 哲

イラスト1
(function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a;b[a]=b[a]||function(){arguments.currentScript=c.currentScript||c.scripts[c.scripts.length-2];(b[a].q=b[a].q||[]).push(arguments)};c.getElementById(a)||(d=c.createElement(f),d.src=g,d.id=a,e=c.getElementsByTagName("body")[0],e.appendChild(d))})(window,document,"script","//dn.msmstatic.com/site/cardlink/bundle.js?20220329","msmaflink");msmaflink({"n":"君が手にするはずだった黄金について","b":"","t":"","d":"https:\/\/m.media-amazon.com","c_p":"","p":["\/images\/I\/51khv43Ds5L._SL500_.jpg"],"u":{"u":"https:\/\/www.amazon.co.jp\/dp\/B0CGLJ4Y8Y","t":"amazon","r_v":""},"v":"2.1","b_l":[{"id":6,"u_tx":"Amazonで見る","u_bc":"#f79256","u_url":"https:\/\/www.amazon.co.jp\/dp\/B0CGLJ4Y8Y","a_id":4361827,"p_id":170,"pl_id":27060,"pc_id":185,"s_n":"amazon","u_so":0},{"id":4,"u_tx":"楽天ブックスで見る","u_bc":"#87c209","u_url":"http:\/\/books.rakuten.co.jp\/","a_id":4361842,"p_id":56,"pl_id":42899,"pc_id":56,"s_n":"custom_3","u_so":1},{"id":5,"u_tx":"Yahoo!ショッピングで見る","u_bc":"#66a7ff","u_url":"https:\/\/shopping.yahoo.co.jp\/search?first=1\u0026p=%E5%90%9B%E3%81%8C%E6%89%8B%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AF%E3%81%9A%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E9%BB%84%E9%87%91%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6","a_id":4361840,"p_id":1225,"pl_id":27061,"pc_id":1925,"s_n":"yahoo","u_so":2}],"eid":"deY0u","s":"l"});

君が手にするはずだった黄金について』とは

 

本書『君が手にするはずだった黄金について』は、2023年10月に256頁のソフトカバーで新潮社から刊行された連作の短編小説集です。

この作者の作品らしくとても論理性をもって進行する作品ですが、実に哲学的というか芥川賞の対象になるような純文学的な作品だとしか思えない作品でした。

 

君が手にするはずだった黄金について』の簡単なあらすじ

 

才能に焦がれる作家が、自身を主人公に描くのは「承認欲求のなれの果て」。認められたくて、必死だったあいつを、お前は笑えるの? 青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家……。著者自身を彷彿とさせる「僕」が、怪しげな人物たちと遭遇する連作短篇集。彼らはどこまで嘘をついているのか? いま注目を集める直木賞作家が、成功と承認を渇望する人々の虚実を描く話題作!(内容紹介(出版社より))

プロローグ/三月十日/小説家の鏡/君が手にするはずだった黄金について/偽物/受賞エッセイ

 

君が手にするはずだった黄金について』の感想

 

本書『君が手にするはずだった黄金について』は、著者自身を思わせる主人公の人生の断片を語っていく連作短編集です。

主人公が小説を書くようになった経緯(「プロローグ」)や、東日本大震災の時の記憶を通して人間の記憶の曖昧さなどを語る(「三月十日」)、占い師と小説家の関係(「小説家の鏡」)、主人公の高校時代の友人である片桐の話(「君が手にするはずだった黄金について」)、ある漫画家の嘘についての物語(「偽物」)、山本周五郎賞の候補になった主人公小川の話(「受賞エッセイ」)の六編から構成されています。

この作者の作品はどれもそうではあるのですが、本書もまた奥の深い作品集であり、結局作者は何を言いたいのか、常に考えさせられる作品集でした。

どれも人間の思考を追求し、特に自身の思考のその奥を突き詰め、虚構を積み重ねていく友人や占い師、真実の心を見せない漫画家の本当の考えを追求し、自身がそうである小説家との違いは何かを考察します。

そこに差異はないのではないかという作者小川哲を思わせる主人公の小川がいて、その問いは読者に投げかけられているようです。

 

この作者の『嘘と正典』や『君のクイズ』、そして第13回山田風太郎賞、また第168回直木賞を受賞した『地図と拳』もそのストーリーが厳密に論理的に組み立てられているのが非常に特徴的な作品だったのですが、本書もまたその例に漏れません。

とはいえ、正直に言うと、この作者の作風にはついて行けないところも感じています。その文章がきちんと組み立てられているのはいいのですが、時にその意図を汲み取れない場面が少なからずあるからです。

その箇所で言われていることは納得できるのだけれども、その文章が指し示す本意を正確に汲み取れていないのではないか、という思いをぬぐえないのです。

例えば、冒頭の「プロローグ」で書かれている「人生の円グラフ」についての考察がありますが、「カテゴリーミステイク」だから書けないというその言葉からしてその意味がつかめず、個人的にはその議論に置いていかれている印象しかありませんでした。

そして、そうした議論について行けない、という印象は随所にあるのです。

 

とはいえ、この作者の作品が独特な個性を持っているのを否定するものではありません。それどころか、無二の才能の持ち主であるであろうことは否定しようもありません。

ただ、私の頭が追い付いていけないだけなのです。

本書にしても主人公の小川が友人と交わす会話の場面など、論理的に詰めて話すその話に私はついていけないのです。

結局は自分が選んでいる小説家という仕事への考察が本書で述べられているのでしょうが、その言葉にもついていけないのです。

これまで、書物への接し方をどちらかと言うと感覚で捉えてきていた読み方のツケが来ているのでしょう。

丁寧なロジックを経て組み立てられている文章でさえ、感覚的に読んでいたのですからそうなるのは当然でしょう。

とはいえ、今更読み方を変えるつもりもなく、本書のような高度な読解力が要求される作品はそんなものだとあきらめるしかなさそうです。

[投稿日]2024年01月06日  [最終更新日]2024年1月11日

関連リンク

『君が手にするはずだった黄金について』
大学院生の「僕」は就職活動のエントリーシートで手が止まった。「あなたの人生を円グラフで表現してください」 僕はなんのために就職するのだろうか? そこに何を書くべ...
Dream HEART vol.557 小説家 小川哲さん 著書「君が手にするはずだった黄金について」
小川哲さんは、千葉県のお生まれです。東京大学大学院 総合文化研究科 博士課程 在学中に、2015年、『ユートロニカのこちら側』で、第3回ハヤカワSFコンテスト〈...
小川哲『君が手にするはずだった黄金について』スペシャルPV公開!“偽りだらけの世界”を驚きの仕掛けで表現
2015年『ユートロニカのこちら側』でハヤカワSFコンテスト大賞を受賞し、作家デビュー。以来刊行した単行本全てが文学賞を受賞し、SF・歴史・ミステリと、さまざま...
<訪問>「君が手にするはずだった黄金について」を書いた 小川哲(おがわ・さとし)さん
旧満州(現中国東北地方)の架空都市を舞台にした「地図と拳」で山田風太郎賞と直木賞、早押しクイズをめぐるミステリー「君のクイズ」で、日本推理作家協会賞(長編および...
『君が手にするはずだった黄金について』小川哲 - WEB本の雑誌
この本は現代版『日の名残り』だ。 私は大学の課題で渋々『日の名残り』を読んだことがある。当時の私は、主人公の執事のプライドの高さにイライラし、「早く告ってフラれ...
恥や弱さを浮きあがらせた小川哲の「黄金」とは何か
小説家が苦手だ。どうせ嘘つきだから。 この「どうせ」に期待と弱さがある。つまり、私は期待を抱えたまま人と関わることが好きではないのだ。よって、同業者と話すとどう...
君が手にするはずだった黄金について - ダ・ヴィンチWeb
『地図と拳』で直木賞を受賞し、『君のクイズ』で本屋大賞にノミネートされた小川哲氏が、自らを主人公に据えて、人々の成功と承認、嘘と真実に迫る小説『君が手にするはず...
直木賞作家・小川哲が新刊『君が手にするはずだった黄金について』で描く「承認欲求」と「オリジナリティ」
褒められたい、世間に認められたい、有名になりたい。こうした承認欲求は、誰もが大なり小なり持っている。この欲求があるからこそ人は努力したり、一つのことに集中して取...
「虚像」を生きる理由 小川哲さん『君が手にするはずだった黄金について』
満洲の架空の炭鉱都市を描いた直木賞受賞作『地図と拳(こぶし)』は600ページを超える大作だった。それと並行して書き継いでいたこの連作集は、著者自身を想起させる「...
【BOOK】主人公は〝著者自身〟自分を大きく ... - ZAKZAK
ことし2月『地図と拳』で直木賞を受賞した小川哲さんが受賞第1作を上梓した。なんと小川さん自身が実名登場する連作短篇集。院生時代の就活から小説家になってからの出来事は...
「人間の承認欲求」がテーマの小説に自分の「みっともない欲望」を打ち抜かれる/小川哲・著『君が手にするはずだった黄金について』書評
世の中には読んだほうがいい本がたくさんある。もちろん読まなくていい本だってたくさんある。でもその数の多さに選びきれず、もしくは目に留めず、心の糧を取りこぼしてし...
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド vol.119 未来屋書店石巻店 恵比志奈緒さん
「会社説明会」が怖かった。小学4年生の時だったと思う。 もちろん自分が参加したわけではなく、夕方のニュース番組で見たのだ。体育館のような広い空間にパイプ椅子が並...
僕は詐欺師。直木賞・小川哲さんの最新作は"自分"が主人公
『地図と拳』(集英社)で直木賞と山田風太郎賞を受賞、『君のクイズ』(朝日新聞出版)が本屋大賞にノミネートされ、今最も注目されている小説家の一人、小川哲(さとし)...
直木賞作家・小川哲、漫画家の妻と交わしている“条約”とは?「お互いの作品を…」
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です