主人公は、もと広告会社でマーケティングを担当していた女性で、三十二歳。夫は自殺していて、いまだにそのことを引きずっています。
第一作目『顔に降りかかる雨』の冒頭は、夫の死を告げた深夜の電話があって以来、真夜中の電話には出ないと決めていた主人公の姿から始まります。しかし、この電話に出なかったことが第一巻の物語を始めさせることになるのです。
中学生の時に母親が病死し、以後父親と二人きり。父親は今のマンションを事務所にして調査探偵業を営んでいた。金回りはよく、私のために何人も使用人を雇ってくれた。だが、私のために父親がしたのはそれだけだった。私は寂しさを紛らわすためにあらゆることを自分で探さねばならなかった。
主人公の身の上については上記のように紹介してあります。
第一巻ではまだ調査業を開始しているわけではありません。といって、第二巻以降に調査業を開始するのかはまだ読んでいないので不明です。
主人公のミロという名前は、「私の好きな酔いどれ探偵、ミロドラコヴィッチから拝借した」との著者の言葉が第一巻のあとがきで紹介してありました。
ジェイムス・クラムリーの『さらば甘き口づけ』などに出てくる主人公の名前だそうです。この作品もかなり前に読んで、その文学性の薫り高い、美しい文章に驚いた記憶があります。探偵の名前は忘れていました。
ともあれ、ミロというタフな女性が活躍する小説ですが、大沢在昌の小説『明日香シリーズ』に出てくる明日香のように、女性ながらアクションに強い、などのヒロイン像とは異なります。
どちらかといえば、普通の女性です。短髪でくたくたのTシャツに色の落ちたジーンズをはいたノーメイクの女性、だと一巻目冒頭の一場面で男に連れ出される姿を描いてありました。
自分を押さえようとするチンピラを相手に反抗することや、ヤクザの親玉の前で突っ張るくらいの度胸はあるようです。
まだ第一巻を読んだだけなので、詳しいことは分かりません。とりあえずはシリーズを読んでみようと思います。