桐野 夏生 雑感
1951(昭和26)年、金沢市生れ。成蹊大学卒。1993(平成5)年、『顔に降りかかる雨』で、江戸川乱歩賞を受賞する。1997年に発表した『OUT』は社会現象を巻き起こし、同年、日本推理作家協会賞を受賞。1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞を受賞した。2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010〜2011年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞・読売文学賞を受賞。また、英訳版『OUT』は、2004年にアメリカで権威のあるエドガー賞に、日本人で初めてノミネートされた。他の著書に『夜の谷を行く』『路上のX』『ロンリネス』などがある。( 桐野夏生 | 著者プロフィール | 新潮社 : 参照 )
この作家は、『OUT』や『グロテスク』など、タイトルはよく聞く作品は多いものの、これまで一作も読んだことがありませんでした。
というのも、桐野夏生という作家は私の好む小説とは若干異なり、同じエンターテインメント小説とはいっても、より人間の内面に斬り込んだ作品が多いと勝手に思い込んでいたからです。
つまり、文学性の高い、それも読み手の努力を要求する作風だと決めつけていたのです。
このところ女性が主人公のハードボイルド小説を何冊か読んだためか、女性が主人公のハードボイルド小説を探して『ミロシリーズ』に至ったのですが、私の思い込みは当たらずとも遠からず、だったと思います。
詳しいことは当該頁を読んでいただきたいのですが、つまりは心象により深く切り込んだ描写が多いと感じたのです。
このシリーズ以外の作品を読むかはわかりませんが、『OUT』は「歌舞伎町のマフィアと主婦が戦う話」との著者の言葉があるそうで、読んでみたい気はします。