百田 尚樹

イラスト1
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文庫

講談社

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茅島藩八万石の筆頭国家老である名倉彰蔵は旧友の磯貝彦四郎が既に二年前の冬に死んでいたことを知らされる。磯貝彦四郎は名倉彰蔵の竹馬の友でありながら、しかし、とある不始末で藩を逐電した男でもあった。若い頃は文武に優れていた彦四郎が何故に今頃になって戻ってきたのか、何故に彦四郎は胸を病み、貧しさの中に死ななければならなかったのか、過去に思いを馳せる名倉彰蔵だった。

さすがに上手い作者だ、というのが最初の感想です。『永遠のゼロ』の作者であり、第10回本屋大賞受賞作の『海賊とよばれた男』を著した百田尚樹の初の時代小説である本書ですが、その期待はそれなりに裏切られることはなかった、と言えると思います。

ただ、 浅田次郎の『壬生義士伝』の時に感じた余韻は、本書では感じませんでした。上手いとは思えても、感動したとは言えないのです。

作者は「男の在り方」らしきものを書きたかったのだろうと思うのです。しかしながら、詳しいことは読んで頂くしかないのですが、あまりに現実感がありません。学問に優れ、剣にも秀でていた筈の彦四郎の生き方としては、かなり無理な設定としか思えません。

更に、文庫本には袋とじの装丁が為されていました。この袋とじも余分だと感じました。意外性を狙ったのでしょうが、あまり意外とは思えませんでしたし、この部分は無い方が数段良かったと、個人的には思いました。

とはいえ、そうした批判的印象を持ちながらも面白い小説だと思うのですから、やはりこの作者は上手のは間違いのないところでしょう。

[投稿日]2015年04月17日  [最終更新日]2015年4月17日
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