百田 尚樹

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講談社

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頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一は竹馬の友、彦四郎の行方を追っていた。二人の運命を変えた二十年前の事件。確かな腕を持つ彼が「卑怯傷」を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す。『永遠の0』に連なる代表作。(「BOOK」データベースより)

 

一人の侍の生きざまを描き出す、百田尚樹初の長編時代小説です。

 

茅島藩八万石の筆頭国家老である名倉彰蔵は旧友の磯貝彦四郎が既に二年前の冬に死んでいたことを知らされる。磯貝彦四郎は名倉彰蔵の竹馬の友でありながら、しかし、とある不始末で藩を逐電した男でもあった。

若い頃は文武に優れていた彦四郎が何故に今頃になって戻ってきたのか、何故に彦四郎は胸を病み、貧しさの中に死ななければならなかったのか、過去に思いを馳せる名倉彰蔵だった。

 

さすがに上手い作者だ、というのが最初の感想です。『永遠のゼロ』の作者であり、第10回本屋大賞受賞作の『海賊とよばれた男』を著した百田尚樹の初の時代小説である本書ですが、その期待はそれなりに裏切られることはなかった、と言えると思います。

 

 

ただ、 浅田次郎の『壬生義士伝』の時に感じた余韻は、本書では感じませんでした。上手いとは思えても、感動したとは言えないのです。

 

 

作者は「男の在り方」らしきものを書きたかったのだろうと思うのです。しかしながら、詳しいことは読んで頂くしかないのですが、あまりに現実感がありません。学問に優れ、剣にも秀でていた筈の彦四郎の生き方としては、かなり無理な設定としか思えません。

 

更に、文庫本では袋とじの装丁が為されていましたが、この袋とじも余分だと感じました。意外性を狙ったのでしょうが、あまり意外とは思えませんでしたし、この部分は無い方が数段良かったと、個人的には思いました。

 

とはいえ、そうした批判的印象を持ちながらも面白い小説だと思うのですから、やはりこの作者は上手のは間違いのないところでしょう。

[投稿日]2015年04月17日  [最終更新日]2019年2月11日
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