福井 晴敏

イラスト1
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文庫

講談社

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とにかく長い物語です。文庫本全四巻で千七百頁を超えます。それでも、かなり面白く読みました。「亡国のイージス」でも「国家」について考えさせられましたが、本作でもまた、先の戦争を通じて国家の在り方について問いかけられています。

第二次世界大戦も末期の物語です。日本への移送中に米軍から逃れるために日本近海に投擲されてしまった、ドイツの秘密兵器「ローレライ」を回収するために海軍新兵折笠征人らの戦いが始まった。

とにかくディテールにこだわる作家さんだと思われます。登場人物も多数に上るのですが、それぞれについて人物の背景を説明し、更に舞台の背景を説明するのですから物語が長くなるのも当たり前でしょう。凄いのは、冗長になるであろうこの長い物語を読み手の興味を惹いて飽きさせないその筆力です。山崎豊子の作品も決して上手いとは思えない文章でいながら、長大な物語を引っ張っていきますが、その感覚に似ているのでしょうか。

かように、もう少し簡潔に描写出来るのではないかと思わせる個所が少なからずあるのですが、それよりも物語を読ませる力が強いと感じさせられます。場合によっては政治色が強くなり、読者の興を削ぎかねないテーマなのですが、エンターテインメント性が強いためかこの点も負担にはなっていないようです。

日本には珍しい骨太のスケールの大きい作品の一つだと思います。軽く読める本ではありませんので、そうした本を好みの方以外の大半は面白いと評価されるのではないでしょうか。

第二十四回吉川英治文学新人賞、第二十一回日本冒険小説協会大賞日本軍大賞を受賞した作品です。

[投稿日]2015年04月18日  [最終更新日]2015年4月18日
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