自衛隊演習場で、新兵器の実験中に暴走事故が発生。的場一佐率いる第三特別混成団が約460年前の戦国時代に飛ばされてしまう。一方、その影響と思われる虚数空間が日本各地に出現し、現代世界を侵食し始めた。的場たちを救出するため組織されたロメオ隊の一員として、救出作戦への参加を決めた元自衛官の鹿島は、タイムスリップで戦国時代へ飛ぶが、そこで待ち受けていたものとは!?圧倒的スケールで贈るSF戦国アクション。(「BOOK」データベースより)
自衛隊を中核に据えた歴史改変ものの長編SF小説です。
富士の演習場で行われていたとある実験中の事故のために、指揮官の的場一佐を始めとする全員や装備、資材等の実験エリア全体がタイムスリップしてしまい、その後の揺り戻しによって今度は逆にひとりの武士が現代に現れる。
数年後、富士近辺に「ホール」と呼ばれる全てのものを飲みこんでしまう空間が出現するが、それは的場達が過去にタイムスリップしたことによる歴史の改変に基づくものと推測された。
そこで、現代を救うために、過去の歴史の改変を戻すべく的場一佐達を救出する作戦が開始されるが、そこには、思いもかけない事態が待ち構えていた。
本作品は2005年に劇場公開された映画「戦国自衛隊1549」が、福井晴敏のプロットをもとに作成されたものであり、そのプロットをもとに出版された作品だと聞きました。
1971年に発表された半村良の『戦国自衛隊』の焼き直しとは言われていましたが、全くの別物と思った方がいいでしょう。
何より、映画が先にありきのため、小説に制約がかかっているようです。そのために福井晴敏作品の特徴である詳細な描写はありませんし、作品のスケール感も失われています。
歴史との関わりを描くのであれば現実の歴史を上手く取り入れて欲しいのですが、その点が書けているとは感じられないのが残念です。
また、私が読んだ本は横長であり、デザインも含め変に凝った装丁でした。凝るのは良いのですが、実に読みにくい。この点でも残念でした。文庫本であればこの点はクリアされるのでしょうが。
以上残念ですが、映画と共におすすめとは言い難い作品でした。