花村 萬月 雑感
この作家はあまり数を読んでいないので大きなことは言えないのですが、もともと芥川賞出身の作家のためでしょうか、人間の「生」を突き詰めていく人のように思えます。その結果、直截的な生の発露としての「性」、「暴力」といった、人の営みの中でも他者との係わりの極限とも言うべき行いが前面に出ているようです。その人間の根源を問う作品の代表として「ゲルマニウムの夜」から始まる、「王国記」シリーズがあるのでしょう。
一方、「武蔵」他のエンターテインメント性の高い作品もあります。
どちらにしても花村萬月という作家の行う単語の選択、そしてその単語で綴られる文章は強烈です。あまりこういう作家は知らなかったので、ある意味新鮮でもありました。具体例をと思いましたが、手元に本がなく、今後調べて載せたいと思います。
ウィキペディアでこの人の履歴を読んでみると結構なアウトローでした。だからこその作品群なのでしょう。その個性は強烈なだけに好き嫌いが分かれると思います。個人的には作品によっては好きな作家さんだと思います。
なぜかこの人の作品を読みながら馳星周を思い出してしまいました。共通点はあまり無いように思うのですが、何故連想してしまったのでしょう。強いて言えば、共に人間の暗部を描いているということでしょうが、だからといって、文体もあまり似ているとは思えないのですが、よく分かりません。
1989年に「ゴッド・ブレイス物語」で第2回小説すばる新人賞を、1998年に「皆月」で第19回吉川英治文学新人賞を、1998年には「ゲルマニウムの夜」で第119回芥川龍之介賞受賞を受賞しておられます。
[投稿日] 2015年04月16日 [最終更新日] 2015年4月16日