スオミ共和国の猟師の孫である少女クルッカは、小さな頃から銃の才能を示す娘だった。クルッカが17歳になった頃、隣国ニューヴォスト連邦のヴェナヤ軍の、スオミ共和国への侵略が始まった。クルッカは男と偽りスオミ軍に入り、狙撃手として名を馳せるが、そこで出会ったのが「白い死神」の異名を持つシモ・ヘイヘだった。シモ・ヘイヘを師として驚異的な成長を遂げるクルッカだったが、その前にヴェナヤ軍の女狙撃手ナタリアとミーシャが立ちはだかるのだった。(「BOOK」データベースより)
実際にあった「冬戦争」をモデルとした一人の女狙撃手の姿を描く長編の戦争小説です。
最初は現実の北欧の設定をそのまま持ってくるような、変な設定だなと思いつつ読んでいました。
内容も天才女スナイパーの物語ではあるのだけれど、どうも物語としての面白さがあまり感じられず、とりあえず最後まで読んでみたのです。
それでも物語の骨格はきちんとしていると感じられるし、「ゲート」の作者らしい書き方ではある、などと思っていました。
ところが、この文章を書くにあたり少々ネットを眺めていたら、本書の戦争の舞台が、実際にフィンランドとソビエト連邦の間で起こった「冬戦争」をモデルとしており、何よりもシモ・ヘイヘという人物は実在の人物だということを知りました。
フィンランドの読み方だと「シモ・ハユハ」というその人は、公式確認戦果505人という記録まで残っているそうで、数々のエピソードが残っているそうです。
この事実を知って本書を読んでいたら印象も変わったかもしれません。
ミリタリー小説が好きな方ならはまるかも。