B・オールディス

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文庫

早川書房

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太陽がその寿命を終える日も近い、遥か未来の我が地球を舞台にした物語です。壮大なイマジネーションの世界で手に汗握る冒険譚が繰り広げられます。

 

自転をやめた地球は植物の天下となっており、昼の世界の大陸は一本の木で覆われています。その木はツナワタリという蜘蛛のような働きをする植物によりその頂が月にまで到達していました。

動物は人類を含め数種類のみが細々生き残っているだけです。その中で人類は小さな集団を作り、攻撃的な植物の攻撃から身を守りながら生き延びていました。

本編の主人公となるグレンは、グループリーダのリリヨーが掟ににより森の頂きにむかった後、残った仲間内の諍いのためにグループから置き去りにされてしまいます。

他方、頂きで莢に入り死の訪れを待っているリリヨーは、ツナワタリによって月へと運ばれてしまうのでした。

 

まずはそのイマジネーションの素晴らしさを紹介しないわけにはいきません。

特に植物に覆われた地球の姿の描写は驚異的です。植物が支配する世界とはいっても、ここの植物は動物と同じような行動をとり、やはり危険なのです。

この危険に満ち溢れた地球上での主人公たちの冒険が描かれるのですが、今で言う仮想世界での冒険物語と言っても良いかもしれません。

ただ、その冒険は地球の滅亡という、人類という種の存続に関わる中での冒険です。主人公たちが最終的に出す結論とはどういうものなのか。また、その選択はどういう意味を持つのか。「生」について正面から問われています。

 

イマジネーションの妙は小説や映画などの表現分野で活躍する人は皆持っているものだとは思いますが、本書などは群を抜いているのです。

そういえば、本書同様のイマジネーションの凄さを思い知らされた日本のSF作品がありました。 貴志祐介の『新世界より』という作品です。

この作品は1000年後の日本のとある集落「神栖66町」を舞台にした長編のSF小説で、第29回(2008年)日本SF大賞受賞作品です。文庫本で全三巻という長い作品ですが惹き込まれて読んだ作品でした。

 

 

もう一点書くべきことがありました。それは翻訳についてです。何しろ作者の頭の中にしか無い言葉を日本語に変換しなければならないのですから、その翻訳作業は困難だったと思われます。

しかし、一読すればその見事さもすぐにわかります。読んでいて日本語として普通に植物世界の情景を掴め、翻訳の難しさすら感じさせないのです。小説世界と共に、翻訳の妙も楽しんでもらえたらと思います。

 

本書のような設定それ自体を受け入れ難いという人もいるとは思うのですが、冒険小説として読んでも十分に面白い小説です。

つい先日(2014年3月)三十数年ぶりに読み返してみたのですが、あいかわらず面白い作品でした。是非一度読んでみてもらいたい本の一冊です

[投稿日]2015年04月26日  [最終更新日]2020年6月23日
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