倉本 聰

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『やすらぎの郷』、『北の国から』、『前略おふくろ様』…テレビドラマ界に数々の金字塔を打ち立てた巨人、脚本家・倉本聰が83歳で書き上げた最新作『やすらぎの刻~道』まですべてを語り尽くす。大河ドラマ降板の真相は?あの大物俳優たちとの関係は?テレビ局内の生々しいエピソード、骨太なドラマ論、人生観―愛弟子だからこそ聞き出せた破天荒な15の「遺言」。(「BOOK」データベースより)

 

本書は、脚本家倉本聰を師匠と仰ぐ上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)の碓井広義による「日刊ゲンダイ」に連載されたインタビューをもとに編集された作品です。

 

私の机の面の前の本棚には『北の人名録』他四冊の倉本聰のエッセイ集が四冊並んでいます。三十年以上も前に亡くなった父の本ですが、これらの本がとても素晴らしいのです。

それからも倉本聰のエッセイは何冊かを読んだものですが、ここ十数年は読んでいませんでした、

 

 

もともと、『前略おふくろ様』というドラマにはまり、倉本聰という名前を知ったのでした。その後あの『北の国から』にどっぷりとつかり、『昨日、悲別で』『ライスカレー』と見続けました。

 

 

その後倉本聰の名はあまり聞かずにいたところ、『優しい時間』や『拝啓、父上様』などが続けて放映され、楽しみな時間を持てたものです。

 

 

あまりテレビドラマは見ない私が珍しく見ていた『2丁目3番地』や東芝日曜劇場の『うちのホンカン』シリーズが倉本聰脚本の作品だと知ったのはいつのことだったでしょう。

テレビで倉本聰のインタビューやドキュメンタリーなどがあれば可能な限りは見たつもりですが、ユーモラスな人でありながらも、仕事に関しては気難しい脚本家だとの印象ばかりが先に立っていました。

ただ、その気難しさは、本書を読む限りでは創作される作品に対する職人的な厳しさの裏返しであったようです。

 

従来から、例えば勝新太郎という役者が自分の演技論を主張して黒沢明監督と衝突したなどという話を聞くたびに、一本のドラマや映画は誰の主張や意見が主になるのだろうかと疑問に思っていたものでした。

脚本があって、それをもとに演出をつける演出家、監督がいて、役者がいる。そのそれぞれが持つ表現者としての主張をどのように折り合いをつけているのでしょうか。

本書では倉本聰なりの答えの一つとして、台詞の末尾を変えられるとその台詞自体の意味も変わってくるから本読みから参加する、と言っておられます。ですから、寺尾聡は勝手に台詞を変えたのでもう二度と使わない、とも書いてありました。

つまり、脚本家としての意図を台本読みの段階で説明するということで、それは演出家と演者への注文ということになります。だから、NHKの大河ドラマでの衝突などの事件も起きるのでしょう。

その意味では、ビートたけしも認めないというのです。ビートたけしは芸人であり、瞬発力こそ命の芸人さんでしょう。倉本聰のように台詞を大事にする脚本家とは合わないというのは分かる気もします。

 

以上のようなことは、本書のごく一部です。倉本聰の仕事に対する姿勢がよくわかる一冊になっています。

とくに、現在進行形で進んでいる『やすらぎの郷』に関してもかなりのページ数を費やしてあります。『やすらぎの郷』の裏話満載ということですね。

このドラマももちろん見ているのですが、本書を読んでからはさらに舞台裏をのぞき、見知った気にもなり、より面白く見ています。

 

 

このように、今のテレビドラマ界に対する主張満載の本書は、もちろん倉本聰という一人の脚本家の主観的な意見を取り上げたインタビュー作品です。

まして、インタビュアーも倉本聰の弟子を自任する碓井広義という人物ですから、倉本聰を客観的に見れているかといわれればそうではないというしかないでしょう。

しかし、本書は倉本聰という人物を分析する本でもないし、単に倉本聰という人物を紹介したいというインタビュアーの意図のもとに書かれた本です。

そしてその意図は十分に満たされていると思います。

私のような倉本ファンにとってはもってこいの一冊でした。

[投稿日]2019年06月01日  [最終更新日]2019年6月1日
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