F.P・ウィルスン

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本書『マンハッタンの戦慄』は、1980年代のニューヨークのマンハッタンを舞台にした、長編の伝奇ホラー小説です。

かなり面白いホラーアクション小説として一気に読み終えた作品だったと覚えています。

 

巨大都市ニューヨーク。それは現代の魔都だ。この街の裏側では想像もつかない闘いがくりひろげられていた。酷暑の夏、マンハッタンでは街の浮浪者が次々に姿を消すという事件が起こっていた。しかし、その原因は誰にもわからなかった。一方、「保安コンサルタント」こと、非合法の世界で危ない仕事をこなす〈始末屋ジャック〉は、国連のインド外交官だという不思議な男クサムから、路上の強盗に奪われたという家宝のネックレスの捜索を依頼された。ジャックが首尾よくネックレスを取り戻すのと前後して、彼の周辺で奇妙な事件が続発しはじめた。老婦人の失踪、ジャックを誘惑する謎の美女。いくつもの手掛かりが結びつき、驚くべき謎の正体が解かれていく。(上巻 : 「BOOK」データベースより)

〈ラコシ〉―それは鋭い牙と鉤爪を持ち。黄色い眼を光らせ。人肉を食らうこの世のものならぬ魔物だった。太古の旧支配者がつくり出した醜悪な怪物〈ラコシ〉を操る力をもった怪人クサムは、百三十年前に、インドの寺院からイギリス軍人ウェストファーレン大尉に財宝を盗まれた怨みを晴らし、その子孫を根だやしにすべく、はるばるニューヨークまでやってきたのである。愛する少女ヴィッキーを護るため、始末屋ジャックは死力をつくして戦うが、クサムと彼が放つ〈ラコシ〉は執拗に襲いかかってくる。吸血鬼小説『城塞』で注目されたF.ポール・ウィルスンが、現代の魔都ニューヨークを舞台に描く入魂のオカルト伝奇ホラー巨編。(下巻 : 「BOOK」データベースより)

 

始末屋ジャックというハードボイルドチックな主役が登場し、ラブクラフト的怪物も現れ、モダンホラーの定番とも言える展開になってきます。第一級のエンターテインメント作品です。

本書『マンハッタンの戦慄』は、F.P・ウィルスンの作品群の中でも独特な位置にあり、今では「アドヴァーサリ・サイクル」シリーズと呼ばれているらしい、ナイトワールド・サイクルの第二作目にあたりますが、同時に「始末屋ジャック」の幕開けでもあり、本書を第一作目とする「始末屋ジャック」シリーズは、以降二十作にもなるシリーズとして書き継がれています。

ただ、本書『マンハッタンの戦慄』は「アドヴァーサリ・サイクル」シリーズの第一作目であり第二次世界大戦下のトランシルバニアを舞台にした『ザ・キープ』とは、その内容を全く異にしています。

私は、この後「アドヴァーサリ・サイクル」シリーズの第三作目『触手(タッチ)』までしか読んでいないので何とも言えませんが、少なくとも次の作品までは実に面白く読みました。

ちなみにこの第三作目もまたそれまでの二作とはその内容を異にしています。

[投稿日]2015年04月26日  [最終更新日]2020年7月15日
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