団 鬼六

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幻冬舎

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羽生善治をして「不思議な魅力を感じた」「どう評価していいのかわからない」と言わしめた、不世出の天才棋士・小池重明の波乱に満ちた生涯―。「小池重明の遺書」、「小池重明名勝負棋譜」収録。 –このテキストは、単行本版に関連付けられています。 (「BOOK」データベースより)

本書は、柚月裕子の『盤上の向日葵』という将棋を題材にしたミステリーを読むにあたり、真剣師の小池重明という人物のことを調べてから読んだ方がいいという焼酎太郎さんのお勧めに従って見つけた作品です。

真剣師というのは、簡単に言えば「テーブルゲームの賭博によって生計を立てている者」のことであり、ここでは賭け将棋で生きている人物のことになります。

なぜそのようなギャンブラーが本の題材になるのかというと、一冊の本にするに値するほどの、それだけ凄まじい人生を送った人物であったということです。

事実、小池重明という人物の将棋の強さは強烈なものがあったようで、連続二期アマ名人となり、プロ棋士を相手にしてもことごとく勝ち続けたといいます。プロ棋士への道も開きかけたのですが、小池の寸借詐欺事件や女性問題、暴力事件などの素行の悪さから日本将棋連盟により却下されてしまったそうです。

しかしながら、生来人当たりは良く、どこか憎めない性格だったそうですから、恩人を裏切っても許してもらえ、再度その恩人を裏切ってもまた別な支援者が現れるなど、愛される側面もあったと思われます。そういった性格だからこそ女性にも好かれたのであり、人妻との駆け落ち事件を三回も起こすことになったのでしょう。

この点については、著者の団鬼六自身が小池重明について

この男には不可思議な魅力があった。人間の不純性と純粋性を兼ね合わせていて、つまり、その相対性の中に彷徨をくり返していた男である。善意と悪意、潔癖と汚濁、大胆と小心、結城と臆病といった相反するものを総合した人間といえるだろう。徹底して多くの人に嫌われる一方、また、多くの人に徹底して愛された男である。

と本書の「はじめに」と題された文章の中で書いています。

先に述べた『盤上の向日葵』という作品に登場する真剣師が小池重明をモデルにしている人物です。著者の柚月裕子自身が本書『真剣師小池重明』を読みこの本を書いたと言っています。

そんな、一個の人間として社会生活を満足に営むことのできない性格破綻者と言えそうな小池重明という人間を、晩年の小池重明をよく知る著者が、小池重明本人の手記などをも引用しながら、克明に暴き出しているのが本書です。相当なインパクトを持った評伝です。

本書のようなギャンブルに生きる人物を描いた作品としては、柚月裕子も読んだと書いていましたが、阿佐田哲也の『麻雀放浪記』(全四巻)という作品があります。タイトルの通り麻雀をテーマにした作品で、文章中に麻雀牌の図柄を織り込んだ小説でした。

破滅的ではありますが、主人公の成長譚としてどこか青春小説のような側面も持ったピカレスク小説であり、麻雀にのめり込んだ学生であった私や友人はこの小説をむさぼり読んだ記憶があります。

ちなみに、この『麻雀放浪記』は真田博之主演で映画化もされ、監督がイラストレーターの和田誠だということでも話題になりました。また、いろいろな漫画家によるコミック化も為されているようです。

ついでに言うと、柚月裕子の文章にも出てきましたが、『聖の青春』という作品をよく目にします。早逝した天才棋士村山聖の生涯を描いた作品だそうで、松山ケンイチ主演で映画化もされました。かなり評価の高い作品らしいので、近いうちに読んでみようと思います。この作品は山本おさむにより漫画化もされています。

[投稿日]2018年04月04日  [最終更新日]2018年4月4日
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賭け将棋で無敵を誇った男の不思議な魅力 | 文春オンライン
話題の映画『聖(さとし)の青春』を観た。二十九歳で亡くなった天才棋士・村山聖を描く大崎善生の原作がまず涙なしには読めない感動の徹夜本なのだが、この『聖の青春』の中で大崎は、十三歳の村山が真剣師(賭け将棋で生計を立てるアマ棋士)小池重明と偶然将棋センターで遭遇し、平手で対局、激戦の末に勝利したエピソードを紹介している(映画ではカットされていた)。

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