あすなろ三三七拍子

藤巻大介、四十五歳、総務課長。ワンマン社長直命の出向先は「あすなろ大学応援団」。団員ゼロで廃部寸前の『団』を救うため、大介は特注の襟高学ランに袖を通す決意をする。妻と娘は呆れるが、社長の涙とクビの脅しに、返事は「押忍!」しかありえない。団旗を掲げ太鼓を叩き、オヤジ団長・大介は団員集めに奔走する。(上巻 : 「BOOK」データベースより)

地獄の合宿を終え、『団』として成長した団長・大介と三人の団員たち。しかし初陣直前、鼓手・健太の父が危篤に陥る。軋轢を抱えながら向き合う父子に、大介が伝えられることはあるのか。人生の岐路に立つ若い団員たち、重い荷を負うオトナたち、そして同じ時代を生きるすべてのひとに、届け、オヤジの応援歌!(下巻 : 「BOOK」データベースより)

 

四十五歳のおっさんが大学に入り、部員数が足らないために廃部の危機にある応援団を立て直す、というユーモア小説です。

 

あすなろ大学の応援団は部員の不足により廃部の瀬戸際にあった。そこで、前身である世田谷商科大学の応援団員であったワンマン社長の命令により、総務課長藤巻大介があすなろ大学に入学し、応援団を存続させることになった。

応援団OBである斎藤と山下というコンビの指導のもと、藤巻は応援団を存続させることはできるのだろうか。

 

かつて『嗚呼!花の応援団』という「どおくまん」という作者の漫画がありました。どちらかと言うと雑ともいえる絵で、内容も品の無いぶっ飛んだ漫画でした。しかし、その漫画がとても面白かったのです。

当時はテレビでもあちこちの応援団のドキュメンタリーがあったりと、「応援団」という存在にかなり焦点が当たっていたと思います。

 

 

でも現在はかつての面影は無いようです。当時でもかなりアナクロな存在だった応援団は一時期は全く消えたようにも思えました。

しかし、今ではチアリーダーも取り込んでいるようで、形を変えた存在としてまだ残っているようです。

 

その応援団にこともあろうに四十五歳のおっさんを入団させようというのですから、『嗚呼!花の応援団』にも似た世界かと思っていました。

しかし、設定が設定でもあり、ユーモア満載の物語で、『嗚呼!花の応援団』ほど下品でもありません。あくまで今の応援団なのです。

おっさんが学ラン姿で闊歩するのですから周りは引くばかりです。そうした中で主人公藤巻の娘の彼氏や、応援団OBの息子たちの力を借りながら、何とか頑張っていく姿が読者の共感を得て来るのですから不思議です。

当初は若干ついていけないかとも思った物語でしたが、読み進めるうちに少しずつ引き込まれてしまいました。中年サラリーマンの悲哀を中心に家族の問題をも絡めながら、ユーモア小説としてきちんとまとまっているのです。

現在の本物の応援団も、人間関係などのけじめは残っていると思われ、そうした点を茶化しつつ認めている本書は、それなりにあり得る物語なのでしょう。

 

ちなみに、本書を原作として柳葉敏郎の主演でテレビドラマ化されました。普段ドラマは見ない私ですが、このドラマは原作を読んでいたこともあり見たのですが、なかなかに面白くできていたと思います。

エイジ

本書『エイジ』は、東京近郊の桜ヶ丘ニュータウンに住む中学2年生の高橋栄司、通称エイジの日常をリアルに描いて、友達や女の子、そして家族への感情をもてあます少年の一時期を描いている長編の青春小説で、山本周五郎賞を受賞した作品です。

これまで読んだ作品の中では一番読みごたえのある物語でした。

ぼくの名はエイジ。東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。その夏、町には連続通り魔事件が発生して、犯行は次第にエスカレートし、ついに捕まった犯人は、同級生だった―。その日から、何かがわからなくなった。ぼくもいつか「キレて」しまうんだろうか?…家族や友だち、好きになった女子への思いに揺られながら成長する少年のリアルな日常。山本周五郎賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

この町で起きていた通り魔事件がエイジの生活に関連してきたり、ひざの故障から好きだったバスケットクラブも止めざるを得なくなり、そのやめた後のクラブではいじめがあったり、更には少なからず思っていた女の子から思いがけない言葉をかけられたりと、エイジの日常は様々な事件が巻き起こります。

そうした生活の中でエイジは家族に対してはどこかホームドラマを見ているように感じ、また通り魔と自分との差は何なのか、とひたすら突き詰めようとします。

中学二年生という年代の不安定さが丁寧に描いてあります。

 

本書『エイジ』が発表された数年前に「神戸連続児童殺傷事件」が起きました。俗に「酒鬼薔薇聖斗(さかきばらせいと)事件」と呼ばれるこの事件は犯人が中学生であることに驚かされたものです。本書はこの事件を受けて書かれたものでしょう。

大人の視点とそれに対する少年たちの視点の「ずれ」。この年頃の少年の内心をリアルに描写することで、「キレる中学生」に対する作者なりの答えを示したものと思われます。

この主人公の行動が平均的な中学生の行動だとは決して思えませんが、リアルな中学生像として迫ってきます。それはこの作者の筆力によるところが大きいのでしょう。

一日一日はいやになるくらいだらだらしているのに、それが連なった毎日は、滑るように過ぎていった。」などという青春の一日の描写は、読みながら小さな感動すら覚えました。

こういう表現で中学生の心理を描いているのですから、読み手は引き込まれる筈です。

 

これまで読んだこの作者の二冊の作品は本書の後に書かれているのに、本書ほどの感銘はありませんでした。

『エイジ』というこの作品がこの作者の最高の作品なのでしょうか。山本周五郎賞を受賞している作品だけのことはあると思え、だとすれば、やはりプロの文筆家が認めた作品こそが面白いのでしょうか。

また、この物語の中でも語られている、主人公のエイジという名前は、age(世代)という言葉との語呂合わせも考慮されているようです。

 

青春小説には多くの名作と言われる作品がありますが、中でも直木賞を受賞した作品として、金城 一紀が書いた『GO』という小説があります。

本書『エイジ』と異なり、『GO』の主人公は在日韓国人の高校生です。著者の自伝的な作品で、差別的な視線の中で苦悩する主人公の姿が描かれている名作でした。

 

 

自分を日常に結び付けている紐(ひも)を切ることが「キレ」ることなのか、と考えるエイジですが、物語も終わりに近くなり、小さくキレます。

その後のエイジの日常への回帰はまた自分の生活と重ね合わせて見てしまいます。

青春を見つめ、そして家族をも考えさせる本書は小さな感動を呼ぶ青春小説でした。

神様がくれた指

出所したその日に、利き腕に怪我を負ったスリ。ギャンブルに負けて、オケラになったタロット占い師。思いっ切りツイてない二人が都会の片隅でめぐりあった時、運命の歯車がゆっくり回り始めたことを、当人たちはまだ知らない。やがて登場するもう一人がすべてを変えてしまうことも。「偶然」という魔法の鎖で結ばれた若者たち。能天気にしてシリアスな、アドベンチャーゲームの行方は。

この作品には、もう一つ感情移入できませんでした。少々ご都合主義にすぎるかなという点と、この作者らしからぬ舞台設定と感じたのです。「スリ」という設定の問題ではないと思うのです。読み手がそのテーマを好むかどうかによるかもしれません。

何よりもこの本で何を言いたいのか、作者の意図が良く分かりませんでした。単純に、面白い物語を提供する、でも勿論いいのですが、そうしたニュアンスも伝わりませんでした。「能天気にしてシリアスな、アドベンチャーゲーム」とは言えない、少々哀しみすら感じてしまうこの物語は、個人的には今一つでした。

しかし、本書のレビューを見ると、かなり面白いと評価する人が多いので、やはり以上の考えは個人的なもののようです。

第二音楽室

学校と音楽をモチーフに少年少女の揺れ動く心を瑞々しく描いたSchool and Musicシリーズ第一弾は、校舎屋上の音楽室に集う鼓笛隊おちこぼれ組を描いた表題作をはじめ、少女が語り手の四編を収録。嫉妬や憧れ、恋以前の淡い感情、思春期のままならぬ想いが柔らかな旋律と重なり、あたたかく広がってゆく。(「BOOK」データベースより)

ちょっと毛色が変わった、と言っていいのか、音楽が主題となった青春小説と言っていいのでしょう。

一瞬の風になれ』や『しゃべれどもしゃべれども』とは少々リズムが違います。もしかしたら、読み手によっては受けつけないかもしれません。私も、この二作品程にはのめりこむことができませんでした。

しかしながら、音楽を主題に青春期の繊細な心の動きを描いた、佐藤多佳子ならではの作品だと思います。骨太な作品を好む人には向かないでしょうが、繊細な感性をお持ちの方など、この手の作品を好きな人もいるでしょう。

サマータイム

佐藤多佳子デビュー作で、表題の「サマータイム」他3篇からなる(連作の)短編集です。

佳奈が十二で、ぼくが十一だった夏。どしゃ降りの雨のプール、じたばたもがくような、不思議な泳ぎをする彼に、ぼくは出会った。左腕と父親を失った代わりに、大人びた雰囲気を身につけた彼。そして、ぼくと佳奈。たがいに感電する、不思議な図形。友情じゃなく、もっと特別ななにか。ひりひりして、でも眩しい、あの夏。他者という世界を、素手で発見する一瞬のきらめき。鮮烈なデビュー作。(「BOOK」データベースより)

「サマータイム」は主人公進とその姉佳奈、二人の友人の広一とその母友子との物語。短編夫々に語り部が交代していきます。

そして、全編を通してその底に流れるのがあの「サマータイム」というジャズの名曲です。

進と佳奈の成長物語としても読めそうで、幼き頃の思い出から、青春のほろ苦さまでよくもこうまで美しく表現できるものだと感心しました。

しゃべれどもしゃべれども

俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ツ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。だけどこれが困りもんばっかりで…胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。読み終えたらあなたもいい人になってる率100%。(「BOOK」データベースより)

しゃべることが苦手な、夫々の事情を持つ登場人物が二つ目(落語家の身分、上から2番目)の落語家である主人公のもとへ話し方を習いに来る物語です。

登場人物がきちんと書きこまれていて、その各々に気の短い主人公がどのように接していくのか引き込まれていきます。自らも落語家としての壁に突き当たっていた主人公が逆に教えられたり、淡い恋物語があったり、心温まる物語です。

是非読んでみてください。

一瞬の風になれ

あさのあつこの『バッテリー』、森絵都の『DIVE!』と並び称される、極上の青春スポーツ小説。
主人公である新二の周りには、2人の天才がいる。サッカー選手の兄・健一と、短距離走者の親友・連だ。新二は兄への複雑な想いからサッカーを諦めるが、連の美しい走りに導かれ、スプリンターの道を歩むことになる。夢は、ひとつ。どこまでも速くなること。信じ合える仲間、強力なライバル、気になる異性。神奈川県の高校陸上部を舞台に、新二の新たな挑戦が始まった――。(「Amazon」商品説明より)

作者は陸上スポーツは未経験者だそうです。私が「一瞬の風になれ三部作」を最初読んだときは、当然、陸上スポーツ経験者であると思っていました。トラック競技をやっていたわけではない私ですが、その隣で楕円形のボールを追いかけていたので、汗の香りは知っているつもりです。それほどに登場人物及びその舞台の描写は真に迫っていました。

単に客観的な描写が見事というだけではなく、登場人物の微妙な心理描写がホントにそうなんだろうな、と思わせるのです。

私が読んだ陸上の世界をテーマにした小説では、他に駅伝を描いた三浦 しをん風が強く吹いている、堂場瞬一の「チーム」という作品があります。それ以外では小山ゆうの漫画「スプリンター」が思い浮かぶくらいでしょうか。

文章のタッチも軽やかでさわやかな読後感のこの物語は是非お勧めです。

駐在巡査

数年前に読んだのですが、その時のメモに「格別面白くも無い。しかし、面白く無いわけでもない。」と書いていました。「元警視庁警部補が描く初めての駐在ミステリー。」とあったので、仕方のないことではあったのでしょう。

四方を山に囲まれた人口六〇〇人あまりの絵に描いたような僻地の山谷村にある「駐在所」に猪熊喜三郎巡査が赴任した。その直後、殺人および死体遺棄事件が発生!平和な村は大騒ぎに。だが、捜査は依然、難航し解決の糸口は全く見られない。容疑者はもちろん、犯行の動機も、被害者の足取りさえも、いまだ不明のまま。そんな中、猪熊巡査が「原点」に戻って再捜査を開始すると事件は思わぬ展開に…。元警視庁警部補が描く初めての駐在ミステリー。(「BOOK」データベースより)

作者が本物の警察官だったというだけあって、警察内部のことに関しては実に詳しく語られます。また、主人公が駐在さんということで捜査活動に直接かかわるわけではありません。しかし地域のことに関してはだれよりも良く知っているのです。地域の情報となると更には駐在さんの奥さんの存在が大きくなります。本作品では特に奥さんが推理力を働かせているのでその存在は貴重です。

しかし、派手な事件がしょっちゅう起きる筈もなく、捜査員でもない以上はどうしても舞台は地味です。その地味さを警察官だったという実際の知識で補い、読者を引き付けなければなりません。

ということで、平凡な印象になったのでしょう。

雑感にも書いたように54歳という若さで亡くなられてます。これからの方だったでしょうに、私とあまり歳が変わらない方でもあり、残念です。

地層捜査

新しいシリーズということで読んでみました。

どうもテレビで見たような感じがしてならないので、調べてみても放映された記録がありません。

谷の底から見上げ、主人公が独白するシーンや、その町の古い料理屋(?)の主人に話を聞くシーンなど視覚的に残っている感じがあるのです。他の作品の見間違いなのでしょうか。

公訴時効撤廃という刑事法関係では結構大きな改正があったので、それに合わせて書かれたのでしょう。

十五年前に四谷の荒木町で起きた未解決の殺人事件の洗い直しに、加納というすでに退職している元刑事と、まだ若い警部補の水戸部とで捜査し直すという、言ってみればただそれだけの物語です。道警シリーズとは異なり、実に地道です。

しかし、丹念に丹念に荒木町を歩きまわり、事実を積み上げていく、これだけの話に引き込まれてしまいました。少しずつ事実が明らかになっていくその過程の見せ方がうまいですね。

決してスピーディーでもないし、派手でもありません。しかしじっくり書き込まれた本がお好きな方などには特にお勧めです。面白いです。

なお、本書で描かれている「特命捜査対策室」とは、2009年の11月に警視庁捜査一課に設置された、過去の重要未解決事件(コールドケース)などを捜査するための特命捜査班を言います。

「特命捜査対策室」を舞台とした小説として今野敏の『スクープシリーズ』や、曽根圭介の『TATSUMAKI 特命捜査対策室7係』などがあります。

また、堂場瞬一の『警視庁追跡捜査係シリーズ』は架空の部署ですが、第一作の発表後に現実の「特命捜査対策室」が設けられたらしく、その趣旨を同じくしています。

笑う警官

笑う警官』とは

 

本書『笑う警官』は『北海道警察シリーズ』の第一弾で、2004年の12月に『うたう警官』というタイトルで刊行され、2007年5月の文庫化に際し『笑う警官』と改題された、文庫本で448頁の長編の警察小説です。

その後、2024年2月に角川春樹事務所から新装版として、456頁の文庫本が出版されました。

 

笑う警官』の簡単なあらすじ

 

札幌市内のアパートで、女性の変死体が発見された。遺体は北海道警察本部生活安全部の水村朝美巡査と判明。容疑者には交際相手で同じ本部に所属する津久井巡査部長が浮かぶ。やがて津久井に対する射殺命令までが出た。捜査から外された所轄署の佐伯警部補は、かつておとり捜査で組んだことのある津久井の潔白を証明するため有志たちと極秘裏に捜査を始めるが…。警察小説の金字塔、大ベストセラー「道警シリーズ」第1弾、新装版!(「BOOK」データベースより)

 

道警本部の婦人警官が被害者の殺人事件が発生し、津久井巡査部長が犯人と断定され、津久井に対する射殺命令まで出た。

その津久井とかつて仕事で組んだことのある佐伯は津久井の無実を信じ、佐伯を中心として津久井の無実を晴らそうと仲間が結集する。

折しも津久井は道警の不祥事について百条委員会に証人として出席する予定だったらしく、隠された事実を感じる佐伯達だった。

 

笑う警官』の感想

 

本書『笑う警官』は、そのタイトルに惹かれ読んでみた作品です。

読んでみたら思いのほかに面白く、結構展開も速めで、テンポ良く読めました。

 

本書『笑う警官』は出版時は『うたう警官』というタイトルだったのですが、大森南朋主演で、漫才コンビ雨上がり決死隊の宮迫博之も出演して角川映画で映画化もされた折り、文庫化に伴い『笑う警官』と改題されたものです。

ただ、この映画は角川春樹氏がジャズのしゃれた雰囲気を狙って監督したようですが、本書のイメージとは異なりあまり好みではありませんでした。まわりの評判もよろしくなかったようです。

 

 

『笑う警官』といえば、若い頃読んだマルティン・ベックシリーズの「笑う警官」を思い出します。

この本はスウェーデンの警察小説なのですが、当時はまっていたエド・マクベインの『87文書シリーズ』に触発されて読んだシリーズでした。ウォルター・マッソー主演で映画化もされ、かなり面白い映画だった記憶があります。

 


 

今回佐々木譲の本書『笑う警官』について調べたところ、「マルティン・ベックのような警察小説」と言われて書き始めたとあり、同じタイトルなのだからそれも当たり前かと、納得したものです。

でも、内容は全く違います。即ち、証人として道議会の百条委員会に出席する筈だった津久井を抹殺しようとする道警組織との対決、という構図です。

この不祥事というのが本書内では「郡司事件」呼ばれている事件で、北海道警裏金事件や稲葉事件などの現実に起きた北海道警察の不祥事をもとにしているのです。( ウィキペディア : 参照 )

単に現実に起きた事件を下敷きにした警察小説だと言うにとどまらず、佐々木譲作品の根底にあると思われる主人公の人間性を深く追いかけたハードボイルドタッチの文章も相まって、重厚な作品として仕上がっています。

この物語を第一作としてシリーズ化され、ベストセラーシリーズとなるのですが、それほどに面白い小説だということでしょう。