北海道のローカル線の終着駅で駅長を務める初老の男が、ある少女との出会いを機に、孤独だった人生に暖かさを見出す人間ドラマ。高倉健主演。“<東映 ザ・定番>シリーズ”。(「キネマ旬報社」データベースより)
第23回日本アカデミー賞・最優秀作品賞を受賞しました。
ストーリーは原作をなぞってはいたものの、映画は映画として独立した作品でしたね。そこには高倉健という役者さんならではの色が存在し、やはり高倉健という俳優さんの存在感は凄いと改めて思わされた作品でした。
面白い小説を探している時に何かのヒントになるかもしれません。
北海道のローカル線の終着駅で駅長を務める初老の男が、ある少女との出会いを機に、孤独だった人生に暖かさを見出す人間ドラマ。高倉健主演。“<東映 ザ・定番>シリーズ”。(「キネマ旬報社」データベースより)
第23回日本アカデミー賞・最優秀作品賞を受賞しました。
ストーリーは原作をなぞってはいたものの、映画は映画として独立した作品でしたね。そこには高倉健という役者さんならではの色が存在し、やはり高倉健という俳優さんの存在感は凄いと改めて思わされた作品でした。
未読ですが、いつかは読んでみたい作品です。
本書『鉄道員』は、1997年4月に集英社から刊行され、2000年3月に集英社文庫から304頁の文庫として出版された、短編小説集です。
117回直木賞を受賞した作品でもあり、それぞれの物語の設定と浅田次郎ならではの心に沁みる文章は見事なものだとの印象でした。
娘を亡くした日も、妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた…。映画化され大ヒットした表題作「鉄道員」はじめ「ラブ・レター」「角筈にて」「うらぼんえ」「オリヲン座からの招待状」など、珠玉の短篇8作品を収録。日本中、150万人を感涙の渦に巻き込んだ空前のベストセラー作品集にあらたな「あとがき」を加えた。第117回直木賞を受賞。(「BOOK」データベースより)
本書『鉄道員』は、第117回直木賞を受賞した、決して明るくはないけれど浅田次郎らしい八編からなる短編作品集です。
というよりも、どちらかというと暗い、重いとさえ感じてしまいます。しかし、読後に人の様々の「思い」について、改めて考えさせられ、自分の来し方を振り返ってしまう、そんな短編集です。
本書の基底には作者本人の経験譚があるらしく、私小説とまではいかなくても、それに近いものがあるのでしょう。
どの作品も素晴らしいのですが、個人的には「オリヲン座からの招待状」「ラブ・レター」「角筈にて」等に惹かれました。
表題作でもある「鉄道員(ぽっぽや)」は、いかにも浅田作品らしいファンタジックな要素もある人間ドラマでした。今思うと先に見ていた映画は少々原作のイメージとは異なるものであったようです。あの映画はやはり健さんあってのものだと思います。
「ラブ・レター」は、最初は余りにも筋立てが出来過ぎていてどこか作り物めいて感じました。しかし、本当は小説外の情報で作品のイメージが左右されるというのは読み手としては良くないのでしょうが、あとがきで「身近で実際に起こった出来事」だったとあるのを読んで、印象が変わった作品です。
「角筈にて」は、不遇の少年期を過ごした男が自らを捨てた亡き父を思い、街角に居る筈の無い父親の姿を見る、という話なのですが、この筋立ては男ならずとも琴線に触れるものがあると思います。特に解説の北上次郎氏の言うように、還暦を過ぎている私の年代から来る思いもあると思われます。
「オリヲン座からの招待状」の二人は「地下鉄に乗って」の小沼佐吉とお時にもどこか似ています。この二人の描写が上手いですね。
本書『鉄道員』は浅田次郎の処女短編集だそうですが、浅田次郎という作家は当初からきれいな文章を書かれている人なのだと、改めて思わされる作品集です。どの作品も、ゆっくりと心の奥に染み入ってくるようで、素晴らしいです。
『鉄道員(ぽっぽや)』『地下鉄(メトロ)に乗って』の浅田次郎のベストセラー小説を、『子ぎつねヘレン』の河野圭太監督の手によって映画化!突然死した中年の男・椿山課長が、3日間だけ絶世の美女の姿で現世によみがえる。そこで家族の秘密と親子の愛情、そして秘められた想いを初めて知る事に…。西田敏行、伊東美咲、成宮寛貴、和久井映見ほか豪華キャストで贈る珠玉の感動ファンタジー!(「Oricon」データベースより)
西田敏行という役者が好きで、彼が出ているというそれだけの理由でDVDを借りましたが、彼の出番は少なく残念な作品でした。
しかし、思いのほか映画自体の出来も良く、この頃から浅田次郎という作家を意識し始めたような気がします
本書『椿山課長の七日間』は、2002年9月に朝日新聞出版から刊行され、2015年2月に集英社文庫から456頁の文庫として出版された、長編のコメディ小説です。
突然の死を迎えた現世に未練を残したままに死んだ三人が三日間だけ生き返るファンタジーで、とても面白く読んだ作品でした。
大手デパート勤務の椿山和昭は、ふと気付けばあの世の入り口にいたー。そこは死者が講習を受けるSACと呼ばれる現世と来世の中間。身に覚えのない“邪淫”の嫌疑を掛けられた椿山は再審査を希望し、美女に姿を変えて現世に舞い戻ることに。条件は三つ、七日間で戻る、復讐をしない、正体を明かさない。無事に疑いを晴らし、遺り残した想いを遂げられるのか!?ハートフルコメディー小説。(「BOOK」データベースより)
本書『椿山課長の七日間』は、突然の死を迎えたサラリーマン、やくざの組長、小学生の夫々が、現世に未練を残し死にきれないと、三日間だけ生き返る長編のコメディ小説です。
生きているうちの容貌とは全く異なる人間として生き返った三人は、各人の思いを果たすべく心残りを果たそうとします。
それぞれの行動がユーモラスに、そして浅田次郎作品らしくペーソスに満ちた物語として仕上げられています。
文章が一人称の独白になったり、テンポのいい語りで物語が展開していくところなど、浅田次郎らしさ満開の物語ではあります。この点は毎度のことながらさすがに上手いものだと感心してしまいます。
しかし、各人が思いもかけない事実を見聞きして涙を誘うのですが、これまでの『壬生義士伝』を始めとする新選組三部作や『天切り松-闇がたりシリーズ』 (全五巻 集英社文庫) などの浅田作品と比べるとと少々物足りなさ感が残りました。
泣きの場面が少ないとかいうことではなく、それらの作品に比べちょっとだけ心に残るものが浅く感じてしまったのです。
結末に関しても少々辛さも残りますし、この終わり方については異論があるところかもしれません。
本書を原作として映画化もされています。好きな役者さんである西田敏行が出ているので見たのですが、出番が少なく残念でした。
直木賞作家・浅田次郎の同名小説を、堤真一主演で映画化。時空を超える旅の中で絆を再生する父子と、ある秘密を知ってしまう女の運命を描く感動作。会社の帰り道、突然昭和39年にタイムスリップした真次は、恋人・みち子と共に若き日の父と出会う。(「キネマ旬報社」データベースより)
原作よりも先にこの映画を見ていました。原作を読んで後この映画を振り返ってみると、原作の筋立てを可能な限り再現していたように思います。
映画を見ているときは戦後の闇市の場面が如何にもきれいで、古い雰囲気を出そうとしているセット然としているのが気になっていましたが、原作を読んだ今ではそういう演出だったのかとさえ思えてしまいます。原作を読んで惹かれた後の贔屓目なのでしょうか。
最後の問題の場面も違和感なく見ることが出来ており、主人公の堤真一が好きな役者さんだと言うこともあるのかもしれませんが、個人的にはかなり面白く、入り込んで見れたと思います。
本書『地下鉄に乗って』は、1994年3月に徳間書店から刊行され、2020年10月に新装版として講談社文庫からで368頁の文庫本で刊行された、ファンタジックな長編小説です。
家族の姿を描きだした第16回吉川英治文学新人賞を受賞した作品で、浅田作品らしく心を打つ物語です。
地下鉄駅の階段を上がると、そこは三十年前の、家族と暮らした懐かしい町。高校生で自殺をした兄の命日となる日だった。兄の姿を見つけた真次は運命を変えようとするが、時間を行き来するうちにさらなる過去にさかのぼり…。いつの時代も懸命に生きた人びとがいた。人生という奇跡を描く、感動の傑作長編。(「BOOK」データベースより)
主人公小沼信次には同じ会社の同僚である恋人軽部みち子がいました。
小沼信次が同窓会の帰り地下鉄の駅で恩師と出会ったある日、地上に出るとそこは奇妙な風景の場所でした。
今は死の床にある厳格な父との折り合いが悪く家を出ていた小沼信次は、兄の死の直前の時代の実家近くにタイムスリップをしたのです。
その後、その恋人も共に何度も過去に戻り、その度に若かりし頃の父小沼佐吉と出会います。
そして、父の来し方をたどることになり、その生きざまを見ることになるのです。
本書『地下鉄に乗って』は、家族の姿を描いた第16回吉川英治文学新人賞を受賞した心を打つ物語です。
父親に対する微妙な想いが読みやすい文章で語ってあり、最後にひねりを効かせてあります。やはり浅田次郎作品だと思わされました。
映画版の『地下鉄に乗って』を先に見ていたのですが、筋立てはそれほど外れているわけではなく、原作の雰囲気がよく出ていました。その意味では映画もかなり良い出来だったと思います。
ただ、映画は主人公の小沼信次と父親の小沼佐吉との物語という印象だったのです。しかし、原作は主人公と恋人のみち子との物語こそ本筋だとの印象でした。
私が読んだ作品は「特別版」と書かれた新刊書なのですが、その最後には「『地下鉄(メトロ)に乗って』縁起」と題されたあとがき風のエッセイがありました。
このあとがきがなかなかに読ませるもので、本作品を書くきっかけや、浅田次郎の父親のこと、本書が私小説的側面もあること、などが書かれています。文庫版にも収納されているものか、確認は出来てませんが、出来ればこの部分まで読んでもらいたいものです。
蛇足ですが、恋人軽部みち子のアパートのある中野富士見町は学生時代の私が半年間だけ住んでいた中野新橋の次の駅です。
荻窪から東京駅を経由して池袋へと至る丸の内線という地下鉄は、四谷辺りで地上には出るし、方南町へは中野坂上で乗り換えなければならない、奇妙な地下鉄でした。バイト先のあった新宿までの電車賃数十円が無かった学生時代でした。
浅田次郎原作のヤクザコメディ。オーナーから従業員まで全員がヤクザの“プリズンホテル”で、支配人の息子にして暴走族のヘッド・買mcFクセ者揃いの住人たちと接しながら成長していく。そして、因縁の関西ヤクザとのソフトボール対決の日を迎えるが…。(「キネマ旬報社」データベースより)
1996年のVシネマ作品です。
私は未見ですが、とても評価が低いですね。
本書『プリズンホテル』は『プリズンホテルシリーズ』として、1993年2月から1997年1にかけて徳間書店からハードカバーで全四巻で刊行され、2001年6月から2001年11月にかけて集英社文庫から全四巻の文庫版として出版された長編のコメディ小説です。
ピカレスク小説であり、またコメディ小説でありながらも、根底には親子や家族の情愛が満ちている、やはり引き込まれてしまう作品でした。
極道小説で売れっ子になった作家・木戸孝之介は驚いた。たった一人の身内で、ヤクザの大親分でもある叔父の仲蔵が温泉リゾートホテルのオーナーになったというのだ。招待されたそのホテルはなんと任侠団体専用。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶー。熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家…不思議な宿につどう奇妙な人々がくりひろげる、笑いと涙のスペシャル・ツアーへようこそ。( 文庫版 『プリズンホテル 夏』の内容紹介文「BOOK」データベースより)
本書『プリズンホテル』は『夏』から『春』までの全四巻で刊行されたコメディ小説であり、ピカレスク小説でありながらも家族の情愛にあふれた作品です。
関東桜会木戸組の初代組長木戸仲蔵がリゾートホテルのオーナーになった。その業界では超大物であり、総会屋としても知らぬ者はいない、らしい。
任侠道を貫くその男の下にはこのホテルの番頭である若頭黒田旭がいる。支配人は大手「クラウンホテル」の元ホテルマンであり、お客様第一主義のため、会社と相容れない立場になっていたところを木戸仲蔵に拾われた。
主人公は木戸仲蔵の甥っ子で木戸孝之介といい、極道小説があたり、当代の売れっ子作家となっている。孝之介の母は若頭の黒田と駆け落ちをし、父は母に逃げられた後程なく死ぬ。
孝之介は寂しい子供時代を送っていて、それが現在の孝之介の性格を形作った一因となっている、と思われる。
母が逃げた後、後添えとして入り子供のまま成長していない孝之介を育てた木戸富江や、今の孝之介の愛人となっている田村清子など、他の登場人物も実にユニークで、夫々に掛け合い漫才のような会話を繰り広げています。
自己中心的で暴力的であり、我がまま放題の孝之介を温かく包んでいるのがこの二人なのです。
巻毎に少しずつ雰囲気が異なり、巻を追うごとに「平成の泣かせ屋」である浅田次郎の片鱗が少しずつ見えてきたりもします。
軽く読めます。そのくせどことなく心に残る物語です。
本書『一刀斎夢録』は2011年1月に文藝春秋から刊行され、2013年9月に文春文庫から上下二巻計912頁の文庫として出版された、長編の時代小説です。
「飲むほどに酔うほどに、かつて奪った命の記憶が甦る」-最強と謳われ怖れられた、新選組三番隊長斎藤一。明治を隔て大正の世まで生き延びた“一刀斎”が近衛師団の若き中尉に夜ごと語る、過ぎにし幕末の動乱、新選組の辿った運命、そして剣の奥義。慟哭の結末に向け香りたつ生死の哲学が深い感動を呼ぶ、新選組三部作完結篇。( 上巻 : 「BOOK」データベースより)
沖田、土方、近藤ら仲間たちとの永訣。土方の遺影を託された少年・市村鉄之助はどこに消えたのかー維新後、警視庁に奉職した斎藤一は抜刀隊として西南戦争に赴く。運命の地・竹田で彼を待っていた驚愕の光景とは。百の命を奪った男の迫真の語りで紡ぐ鮮烈な人間ドラマ・浅田版新選組三部作、ここに完結。( 下巻 :「BOOK」データベースより)
本書『一刀斎夢録』は、文庫本で上下二巻の浅田次郎が描く「新選組三部作」の第三弾の長編時代小説です。
「新選組三部作」とは本書『一刀斎夢録』のほか、2000年出版の『壬生義士伝』と2004年出版の『輪違屋糸里』という新選組を主題とした三作品のことを言います。
新選組の斎藤一の名前をひっくり返して読みの漢字を少々変えると「一刀斎」。
作者の浅田次郎によれば、子母澤寛の「新選組遺聞」の中に記されているが、その存在が確認されていない「夢録」(むろく)という口述記録を「捏造してしまった」のだそうです。
本書も、明治時代をも生き抜いた斎藤一の語る言葉を聞く、という形で物語は進みます。
聞き手は全国武道大会の決勝まで進む腕を持つ近衛師団の梶原中尉という人物です。梶原の連夜の訪問に、斎藤一は煩わしい風を装いながらも語り聞かせます。
その斎藤一の語りは新選組の成立の当初から消滅に至るまでを網羅するものなのですが、主に三部作の他の二冊で語られていない事実について語られています。
それは途中から新選組を離脱し御陵衛士を結成した伊東甲子太郎(いとう かしたろう)の暗殺(油小路事件)や、坂本竜馬の暗殺事件の真相にも触れ、更に維新時の会津での戦いや明治に入ってからの西南の役にまで及びます。
『壬生義士伝』は吉村貫一郎という人間を通して家族を語り、『輪違屋糸里』では芹沢鴨暗殺事件を語り、そして両者ともに各人の話を通して新選組を語っていました。でも本書は斎藤一という人斬りを自らの仕事とした個人を描くことで新選組を語っているようです。
実は、浅田次郎作品を読むのは本書が最初でした。
2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」を見て斎藤一と言う人物に関心を持っているところで本書に出会い、読んでみたのです。浅田次郎の作品を読んだのは本書が初めてだったこともあり、かなりの衝撃を受けました。
ベストセラーであることも後に知りました。この後この作家の作品を立て続けに読んでいますがどの作品も外れがありません。
是非一読されることをおすすめします。