なで肩の狐 [DVD]

「ゲルマニウムの夜」で芥川賞を受賞した花村萬月の初期の代表作を基に映画化された、『化粧師 KEWAISHI』の椎名桔平主演のハードボイルドバイオレンス。過激な暴力とその中に秘められた身を蝕むような渇きや切なさを独特のタッチで描き出す。(「キネマ旬報社」データベースより)

楽天Booksでは見当たりませんでした。

猫の息子 [DVD]

元刑事で探偵を営む男とその息子が、彼らに恨みを持つ総会屋の男たちに戦いを挑む物語を描いたバイオレンス作品。藤竜也、青木伸輔、四方堂亘ほか出演。(「Oricon」データベースより)

ゲルマニウムの夜 [DVD]

花村萬月の芥川賞小説を大森立嗣監督が映画化したドラマ。人を殺め、自らが育った修道院に舞い戻った青年・朧。ゲルマニウムラジオから流れる“神の囁き”を聴いた彼は、欲望の赴くままに暴力に身を委ね、修道女と交わり放蕩の限りを尽くすが…。(「キネマ旬報社」データベースより)

未見です。

ゲルマニウムの夜―王国記〈1〉

人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。なおも修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜の限りを尽くす。それこそ現代では「神」に最も近く在る道なのか。世紀末の虚無の中、神の子は暴走する。目指すは、僕の王国!第119回芥川賞を受賞した戦慄の問題作。(「BOOK」データベースより)

 

1998年に第119回芥川賞を受賞した長編小説です。

 

本書の主人公朧(ろう)は殺人を犯し、かつて自分が世話になっていた教護院に戻ってきます。知能指数がずば抜けているこの青年が、ここに勤める仲間を暴力で圧倒し、修道女を犯し、告解と称し神父を試すのです。

 

近年、何かと問題となっているキリスト教聖職者による子供への性的虐待も描かれています。

エロチックでありかつグロテスクな小説です。

上記教護院の中で主人公によって振われる暴力や性行為を露骨に描写してあります。

その日本語の選択は驚愕的です。選ばれた言葉は冒頭から作品の持つ雰囲気、方向性を決定づけ、嫌いな人はその時点で手放すかもしれないと感じる程です。その言葉で死や性行為、そして暴力を語るのですから、個人の好みがはっきりと分かれるでしょう。

後に様々なレビュー等を読んでみると実際に投げ出した人も少なからずいるようです。

 

ウィキペディアによりますと、作者自身、結構な問題児であったらしく、教護院の描写など自身の体験に基づくところが反映しているのでしょう。他にも、ヒモとして生活していたことや放浪壁のあることなど、破天荒そのものです。

作者自らが書いているようにテーマは「宗教」です。人間の根源を問うことにもなるこのテーマだから、暴力と性は避けては通れないものなのでしょうか。

本書は「王国記」という「宗教を描く長大な作品のごく一部分」として描かれたのだそうです。作品としての好悪はともかく、人間の内面を深く追求するような文学作品を読む体力はないので、個人的にはこのシリーズは多分読み続けないでしょう。

王国記シリーズ(2015年04月01日現在)

  1. ゲルマニウムの夜―王国記〈1〉
  2. ブエナ・ビスタ―王国記〈2〉
  3. 汀にて―王国記〈3〉
  4. 雲の影―王国記〈4〉
  1. 青い翅の夜―王国記〈5〉
  2. 午後の磔刑―王国記〈6〉
  3. 象の墓場―王国記〈7〉
  4. 風の條―王国記〈8〉

花村 萬月

この作家はあまり数を読んでいないので大きなことは言えないのですが、もともと芥川賞出身の作家のためでしょうか、人間の「生」を突き詰めていく人のように思えます。その結果、直截的な生の発露としての「性」、「暴力」といった、人の営みの中でも他者との係わりの極限とも言うべき行いが前面に出ているようです。その人間の根源を問う作品の代表として「ゲルマニウムの夜」から始まる、「王国記」シリーズがあるのでしょう。

一方、「武蔵」他のエンターテインメント性の高い作品もあります。

どちらにしても花村萬月という作家の行う単語の選択、そしてその単語で綴られる文章は強烈です。あまりこういう作家は知らなかったので、ある意味新鮮でもありました。具体例をと思いましたが、手元に本がなく、今後調べて載せたいと思います。

ウィキペディアでこの人の履歴を読んでみると結構なアウトローでした。だからこその作品群なのでしょう。その個性は強烈なだけに好き嫌いが分かれると思います。個人的には作品によっては好きな作家さんだと思います。

なぜかこの人の作品を読みながら馳星周を思い出してしまいました。共通点はあまり無いように思うのですが、何故連想してしまったのでしょう。強いて言えば、共に人間の暗部を描いているということでしょうが、だからといって、文体もあまり似ているとは思えないのですが、よく分かりません。

1989年に「ゴッド・ブレイス物語」で第2回小説すばる新人賞を、1998年に「皆月」で第19回吉川英治文学新人賞を、1998年には「ゲルマニウムの夜」で第119回芥川龍之介賞受賞を受賞しておられます。

サマーレスキュー ~天空の診療所~

北アルプスに夏の間だけ開設される診療所がある。40年前、「山で亡くなる人を見たくない」とその開設に奔走した山荘の男と、その思いに応えようと山に入った医師の物語をはじめ、過酷な環境の中で「医療とは」「命とは」という問いを突きつけられて悩み、成長してゆく人々の姿を描く。(「BOOK」データベースより)

 

北アルプスに開設された診療所を舞台にした、ヒューマンドラマです。

 

刑事・雪平夏見シリーズ』がそこそこ面白かったので同じ作者の作品を何冊か借りてみた中の一冊です。

結論から言うと、この本はまあそこそこ面白く読めました。でも他の本はそこまではなかったように思えます。

 

 

本書は山の診療所の物語。お医者さんたちの活躍がテーマなので、一応命を考えさせられることには間違いはなく、語弊はありますが物語としてそれなりに面白かったです。

 

山を舞台にした物語と言えば、笹本稜平の『春を背負って』という作品があります。

この作品は、山小屋を訪れる人々の人間ドラマを描いた、感動な物語であると共に清々しさも漂う、爽やかな読後感を持つ物語です。

また、コミックではありますが、ボランティアの山岳救助員三歩の姿を描いた、石塚真一が描く『岳』という作品もまた心に残る作品でした。

 

 

しかし、作者には申し訳ないけど、何となく物語が表面的に感じられてしまうのは何故でしょうか。

この作者の本は他にも借りたのですが、あと一冊を読んだところで他はざっと眺めて返してしまいました。

刑事・雪平夏見シリーズ』では主人公のぶっきら棒と言うか、感動という感情をどこかに置き忘れてきたような性格にこの文体がうまくマッチしていたのでしょうが、舞台設定が変わるとそれが裏目に出るのでしょうか。文章の素人の私にはよく分かりませんが、残念です。

自信を持ってお勧めですとは言えませんが、まあ、読んでみても良いのではないでしょうか。

神様のカルテ2 DVD

夏川草介の同名小説を櫻井翔と宮崎あおい主演で映画化したヒューマンドラマの続編。妻・榛名の出産を心待ちに、本庄病院で仕事に励む一止。そんなある日、一止の大学の同期で「医学部の良心」と言われていたエリート医師・進藤辰也が赴任して来る。(「キネマ旬報社」データベースより)

神様のカルテ 【DVD】

櫻井翔、宮崎あおい主演の感動作。地方都市・松本で内科医として働く栗原一止は、同僚や隣人、そして最愛の妻・榛名に日々の疲れを癒されながら激務を凌いでいた。そんなある日、一止の前に大学病院から見放された末期ガン患者が現れる。通常版。(「キネマ旬報社」データベースより)

テレビ放映版を見たのだけれど、特別に良いとも感じなかったし、悪くも無かった、という、何とも半端な印象しか残っていません。

普通の医療ドラマであり、強いてケチをつければ、原作の一止の魅力、懊悩などはあまり感じられませんでした。

神様のカルテ

「24時間365日対応」。
若き内科医・栗原一止の勤務する本庄病院の信念だ。
苛酷な現場だがしかし、患者に寄り添い全力を尽くそうとする一止の元に、大学時代の親友、進藤辰也がやってきた。
喜びもつかの間、時間外勤務を一切受けつけない辰也と衝突してしまう一止。
医者とは?家族とは?生きるとは?
自らの生き方を考えたとき、一止が出した答えとは–!?
第一作の大ヒットの記憶も新しい、映画『神様のカルテ2』を完全コミカライズ!(Amazon紹介文より)