付添い屋・六平太 鷹の巻 安囲いの女

付添い屋・六平太 鷹の巻 安囲いの女』とは

 

本書『付添い屋・六平太 鷹の巻 安囲いの女』は『付添い屋・六平太シリーズ』の第3弾で、2014年11月に小学館から304頁の文庫本書き下ろしで刊行された連作短編の痛快時代小説集です。

 

付添い屋・六平太 鷹の巻 安囲いの女』の簡単なあらすじ

 

浅草元鳥越に住む浪人・秋月六平太の稼業は、付添い屋。裕福な商家の子女が花見や芝居見物に出かける際、案内と警護を担い身を立てている。血の繋がらない妹・佐和と暮らす居宅と、相惚れの仲である髪結いのおりきが住む音羽を往復しながら、借金三十両の返済に頭を悩ませる日々だ。信州十河藩藩士だった六平太は、十二年前、権力抗争に巻き込まれ家中を追われた。その原因ともなった義理の母の弟、杉原重蔵が江戸で目撃された。脱藩者で反逆者の杉原を、十河藩江戸留守居役小松新左衛門が許すはずもない。日本一の人情時代劇、風雲急を告げるシリーズ第三弾!(「BOOK」データベースより)

目次
敵討ち | 用心箱 | 安囲いの女 | 縁切り榎

●第一話 敵討ち
神田の口入れ屋「もみじ庵」から1日2両という破格の付添い仕事が舞い込む。依頼人は、塚原七兵衛という老年の侍。塚原は二年前、息子の敵を討つために信州から江戸へやってきた。六平太は敵討ちの付添いを頼まれる。
●第二話 用心箱
口入れ屋「もみじ庵」の斡旋した女が、奉公先の武家屋敷から金を盗んだという。逃げた女を見つければ、人宿組合から三両の礼金が入ると言われ、六平太は探索を引き受ける。犯人とされる女は、片方の眉がないという。
●第三話 安囲いの女
谷中に住む、おようという香聞きの師匠が付き添いを求めているという。おようは、月に三度か四度、麻布谷町へ行き、二日ばかり滞在して谷中に戻る。実は、谷中で煙草屋の隠居の妾をやりながら、麻布では三人の男からそれぞれ月に一両二分の手当てで囲われていた。
●第四話 縁切り榎
六平太は、材木商の飛騨屋の娘・お登世と、その友人であるおしのの灌仏会見物に付き添った。おしのは諸国産物を商う大店、日本橋「久野屋」の娘で、大名家の江戸屋敷に奥女中として奉公している。最近、お殿様の目にとまってしまい、このままでは寝所に行かされてしまうというのだ。(「内容紹介」より)

 

付添い屋・六平太 鷹の巻 安囲いの女』の感想

 

本書『付添い屋・六平太 鷹の巻 安囲いの女』は、『付添い屋・六平太シリーズ』の第3弾となる連作短編の痛快時代小説集です。

シリーズも第三弾ともなると、若干物語のペースに慣れてきたのでしょうか。作者の物語の作り方が上手いためなのか、若干、あまりのまとまりのよさに違和感を感じてしまったほどです。

でもこれは物語の世界観がきちんと成立しているということであり、上手くまとめればまとめたで文句を言う読者(私)もいい加減なものだと我ながら思ってしまいます。

 

ただ、世界観が出来すぎという感想は、若干マンネリを感じていることに通じるのではないかと危惧もしているのです。

本書の場合、六平太の顧客でもある「飛騨屋」との繋がりの中に、六平太の旧藩とのしがらみを忍ばせる展開もあるようで、多分その心配はないのでしょう。

残念ながら、この文章を書いている2024年12月の時点では本シリーズは第十七巻『付添い屋・六平太 飯綱の巻 女剣士』まで刊行されていて、その際新刊の感想として心配していたマンネリを指摘し、もうこれ以上読まなくてもいいか、などと記しています。

残念です。

付添い屋・六平太 虎の巻 あやかし娘

付添い屋・六平太 虎の巻 あやかし娘』とは

 

本書『付添い屋・六平太 虎の巻 あやかし娘』は『付添い屋・六平太シリーズ』の第2弾で、214年6月に小学館から298頁の文庫本書き下ろしで出版された、長編の痛快時代小説です。

 

付添い屋・六平太 虎の巻 あやかし娘』の簡単なあらすじ

 

十一代将軍・家斉の治世も四十年続き、世の中の綱紀は乱れていた。浪人・秋月六平太は、裕福な商家の子女の花見や芝居見物に同行し、案内と警護を担う付添い屋で身を立てている。外出にかこつけて男との密会を繰り返すような、わがままな放題の娘たちのお守りに明け暮れる日々だ。血のつながらない妹・佐和をやっとのことで嫁に出したものの、ここのところ様子がおかしい。さらに、元許嫁の夫にあらぬ疑いをかけられて迷惑だ。降りかかる火の粉は、立身流兵法達人の腕と世渡りで振り払わねば仕方ない。日本一の人情時代劇、第二弾にして早くもクライマックス!(「BOOK」データベースより)

目次
あやかし娘 | 武家勤め | むかしの音 | 霜の朝

「あやかし娘」
味噌問屋浅野屋の娘のお絹の付き添いをしていた六平太は、奔放なお絹の行動に振り回されていた。そのうちに、浅野屋が三五郎という男から脅しをかけられているという。
「武家勤め」
関森藩の藩主の妾腹の子亀太郎を助けたことから、亀太郎の剣術指南をすることになった。しかし、そのことを快く思わないものもいて・・・。
「むかしの音」
六平太は盲目のお琴の師匠秋絵の付き添いをすることになった。その秋絵は、出稽古のの途中、わき道にそれ、ある音を聞いているかのように佇むのだった。
「霜の朝」
前巻の最終話で、六平太の妹の佐和は、呉服商の美濃屋の手代由蔵のもとに嫁ぐことになったのだが、その後の佐和の姿が描かれる。

 

付添い屋・六平太 虎の巻 あやかし娘』の感想

 

本書『付添い屋・六平太 虎の巻 あやかし娘』は『付添い屋・六平太シリーズ』の第2弾となる連作短編の痛快時代小説集です。

主人公秋月六平太の人となりの紹介とでもいうべき作品集になっています。

 

この手の時代小説の定番の構成として、六平太の「付き添い屋」つまりは用心棒としての仕事の物語があって、それとは別にシリーズ全体を通しての大きな流れとして六平太がかつて仕えていた十河藩絡みの事柄があるようです。

本書の場合は六平太のかつての許婚小萩を妻としている山中伊織が、小萩と六平太との仲を邪推していることです。

それとは別に、六平太と義妹佐和との関係や、六平太のかつての放蕩時期に女に産ませた子との関係、それに六平太が日ごろ転がり込んでいる髪結いのおりきとの成り行きなど、現代の人間にも通じる人間関係が付きまとっています。

こうした設定は気のきいた小説であればどれにも設けられている話ではありますが、人気の物語はその設定が物語の世界観を邪魔せずに、うまく収まっているものです。

勿論本書『付添い屋・六平太 虎の巻 あやかし娘』もそうで、前巻から本書にかけてこのシリーズの世界観が十分に展開されているのです。

付添い屋・六平太 龍の巻 留め女

付添い屋・六平太 龍の巻 留め女』とは

 

本書『付添い屋・六平太 龍の巻 留め女』は『付添い屋・六平太シリーズ』の第一弾で、2014年6月に299頁の文庫本書き下ろしで刊行された連作短編の痛快時代小説集です。

テレビドラマの高名な脚本家が書き下ろした時代小説集で、かなり面白く読んだ連作短編集でした。

 

付添い屋・六平太 龍の巻 留め女』の簡単なあらすじ

 

時は江戸・文政年間。秋月六平太は、信州十河藩の供番(篭を守るボディガード)を勤めていたが、十年前、藩の権力抗争に巻き込まれ、お役御免となり浪人となった。いまは裕福な商家の子女の芝居見物や行楽の付添い屋をして糊口をしのぐ日々だ。血のつながらない妹・佐和は、六平太の再士官を夢見て、浅草元鳥越の自宅を守りながら、裁縫仕事で家計を支えている。相惚れで髪結いのおりきが住む音羽と元鳥越を行き来する六平太だが、付添い先で出会う武家の横暴や女を食い物にする悪党は許さない。立身流兵法が一閃、江戸の悪を斬る。時代劇の超大物脚本家、小説デビュー! (「BOOK」データベースより)

目次

雨祝い | 初浴衣 | 留め女 | 祝言

 

付添い屋・六平太 龍の巻 留め女』の感想

 

本書『付添い屋・六平太 龍の巻 留め女』は『付添い屋・六平太シリーズ』の第一弾作品で、市井で用心棒家業で糊口をしのぐ素浪人を描いた、連作の短編より構成されている定番の痛快時代小説です。

一話目「雨祝い」では登場人物の紹介があり、四話目の「祝言」で妹佐和が嫁ぐまでの物語です。

 

信州十河藩の供番を勤めていた秋月六平太は、藩の権力抗争のあおりを受けてお役御免となり、江戸に出てきたのだった。

血のつながらない妹の佐和が住む浅草の自宅にはたまにしか帰らない六平太であったが、いつもは髪結いのおりきの家に転がり込んでいて、大店の娘の付き添いなどで収入を得ていた。

そして、道場の後輩でもある同心の矢島新九郎の助けを得ながら、何かと巻き込まれる事件を解決する六平太だった。

 

ネットで見つけた作家による作品で、思いのほかに面白い痛快活劇小説でした。

それもそのはず、紹介ページを見てもらえばわかるように、著者の金子成人は『前略おふくろ様』なども手掛けていた著名な脚本家だったのです。

宮仕えをしていた過去を持つ剣の達人が、血のつながらない妹のそばに居づらくなり、他の女の家に転がり込んでいるという設定は、決して珍しいものではありませんが、作者の筆の運び方が達者であるためか惹きこまれてしまいました。

多分このシリーズもしばらくは読み続けるシリーズの一つになると思います。