金子 成人

付添い屋・六平太シリーズ

イラスト1

付添い屋・六平太 飯綱の巻 女剣士』とは

 

本書『付添い屋・六平太 飯綱の巻 女剣士』は『付添い屋・六平太 シリーズ』の第十七弾であり、2024年5月に小学館から288頁の文庫本書き下ろしで刊行された連作短編の痛快時代小説集です。

付添い屋・六平太 飯綱の巻 女剣士』の簡単なあらすじ

正月半ば、木綿問屋信濃屋の主・太兵衛の年礼回りに付添っていた秋月六平太は、ならず者に絡まれている商人を助けに入ろうとしたーが、小柄な侍に先んじられてしまう。何者か謎が深まる中、六平太は北町奉行所の同心・矢島新九郎に手を貸していた。上総からやって来た粂七の訴えによれば、妹は江戸の洗濯屋に住込みで働いているはずだが、店に行ってみると更地になっていたという。数日後、店主の釜五郎が見つかり、今では出合茶屋を営んでいると知れる。そんな折、六平太の隠し子の穏蔵は、新たな人生を選ぶ。脚本の名手が描く、円熟の人情時代劇第十七弾!(「BOOK」データベースより)

第一話 初春祝言
天保五年の正月、六平太は年礼回りの付添いに勤しんでいた。今日は木綿問屋信濃屋の主・太兵衛のお供だ。帰途、ならず者に乱暴されている商人を助けに入ろうとしたが、破れ菅笠を被り、黒袴を穿いた小柄な侍が先んじた。なんと侍の正体は?
第二話 洗濯女
六平太は同心・新九郎の相談に応じていた。上総から妹を探しにきた粂七の訴えだ。妹は洗濯屋に住込みで働いているはずだが、店に行ってみるとすでに畳まれていたという。数日後、主の釜五郎が見つかって、今は出合茶屋を営んでいるのが分かり……。
第三話 父と子と
小間物屋寿屋の娘・美鈴との仮祝言に迷う穏蔵は、踏ん切りをつけるべく、六平太と恋仲のおりきに頼みごとをしてみたものの……。一方六平太は、沢田庄助に関宿藩久世家の屋敷へ来てほしいと頭を下げられていた。女乗り物を救ってくれた縁だというが。
第四話 春嵐
六平太が師範代を任されている相良道場に女剣士が現れた。是が非でも腕比べをしたいと譲らない。気乗りしないが、師範・庄三郎の命もあって、仕方なく女剣士と立ち会う羽目に。そして寿屋の主・八郎兵衛からは穏蔵の返事があったと知らされて……。(内容紹介(出版社より))

 

付添い屋・六平太 飯綱の巻 女剣士』の感想

 

本書『付添い屋・六平太 飯綱の巻 女剣士』は、『付添い屋・六平太シリーズ』の第十七弾となる連作短編の痛快時代小説集です。

上記の「あらすじ」にも記載されているような一人の女剣士との出会いが全体を通したエピソードとなっています。

ただ、この出来事は本書だけで終わるものではなく、多分ですが本シリーズの何巻かを通したかかわりとなるような印象です。

 

まず「第一話 初春祝言」で、秋月六平太が「信濃屋」の付き添い稼業の途中で、ならず者に絡まれていた商人を助けに入った一人の女剣士と出会うところから始まります。

この女剣士が物語を通したエピソードになりそうな人物でした。

他に六平太の隠し子である穏蔵におきた小間物問屋「寿屋」への婿養子の話がすすみ、六平太の住まう「市兵衛店」に浪人者の貝谷重兵衛小四郎親子が入居することなどが語られます。

 

そして「第二話 洗濯女」で、付き添いの途中で火事に遭遇した六平太らは、破落戸(ごろつき)たちに威されている女乗物の一行を助けることになります。

その後、北町奉行所同心の矢島新九郎からの頼み事もありますが、この話はひとつの人情話としてはあり得るのでしょうが、矢島が六平太に立ち会わせる理由などが今一つ不明です。

 

そして第三話 父と子とでは、第二話で助けた女乗物の一行の話が続き、また新しく市兵衛店の住人になった貝谷重兵衛の話なども語られます。

しかし、盛りだくさんの出来事があるにもかかわらず、どうにも痛快時代小説としての醍醐味が感じられません。

本シリーズでのここ数巻での当サイトの記事において、何となく痛快時代小説としての面白さを感じないものの、「魅力的な主人公がいてその周りの人々の人情話」もそれなりに面白く読めると書いたりもしていました。

しかしながら、どうもそのときの読み手、つまりは私自身の体調などその時の気分によって印象が異なるようです。

少なくとも本書に関してはこのシリーズはもう読まなくてもいいか、というほどにその面白さを感じなくなっています。

 

本書では「第四話 春嵐」に至って、問題の女剣士との立ち合いなどの見どころらしきものも設けてはあるのですが、それすらも魅力的な展開とは感じませんでした。

また、六平太の周りの人々についての人情話に関してもそれほどの面白さを感じられません。

今後のこのシリーズへの態度を決めかねています。とりあえずは惰性で読み続けるかという気もしていますが、断定できません。

ですから、もし読んだらここにアップする、という気楽な態度で行こうと思っています。

[投稿日]2024年12月19日  [最終更新日]2024年12月19日

おすすめの小説

付添い屋・六平太 | 小説丸
付添い屋・六平太 飯綱の巻 女剣士 | 書籍 - 小学館

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です