砂の器 デジタルリマスター版 [DVD]

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松本清張の社会派サスペンス小説を、橋本忍と山田洋次の共同脚本で映画化した傑作ドラマ。親子の“宿命”を断ち切り、音楽家として成り上がった和賀英良の前に、突如封印していた過去が突き付けられる。“あの頃映画 松竹DVDコレクション”。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

サントラの「宿命」を背景に刑事である丹波哲郎の語りと共に流れる四季の映像の美しさは忘れられません。それだけに物語の哀しさは心を打ちました。日本映画の名作に数えられる一本だと思います。

砂の器

東京・蒲田駅の操車場で男の扼殺死体が発見された。被害者の東北訛りと“カメダ”という言葉を唯一つの手がかりとした必死の捜査も空しく捜査本部は解散するが、老練刑事の今西は他の事件の合間をぬって執拗に事件を追う。今西の寝食を忘れた捜査によって断片的だが貴重な事実が判明し始める。だが彼の努力を嘲笑するかのように第二、第三の殺人事件が発生する…。(「BOOK」データベースより)

 

本書も松本清張の代表作の中の一つといってもいい、名作の誉れ高い長編の推理小説です。

 

蒲田の操車場内で殺人事件が起きる。被害者と男が東北弁で「カメダ」について話していた事実が判明しますが、操作は行き詰るばかりです。そのうちに被害者は中国地方出身らしいことが判明し、事件の謎は深まっていくのです。

殺人事件の背景としてハンセン氏病の存在が大きく、非常に重い物語です。

しかし、読者をミスリードする材料として方言を使用し、「カメダ」というキーワードが今でも語られるように、名作中の名作として位置づけられる作品ですね。

勿論映画化もされ、名作と言われていますし、テレビドラマ化も何度も繰り返されています。

ビートたけし×松本清張 点と線

松本清張原作、テレビ朝日開局50周年記念番組として製作されたサスペンスドラマ。昭和32年、福岡市の香椎海岸で発見された男女の情死体に疑問を抱いたふたりの刑事が、真犯人探しに奔走する姿を描く。ビートたけし、高橋克典ほか豪華キャストが共演。(「キネマ旬報社」データベースより)

テレビ朝日開局50周年記念ドラマスペシャル。たけしが出ている、それだけでみ始めたドラマだったのですが、思いのほかも応えがあり、良くできたドラマでした。

点と線 [DVD]

松本清張のベストセラー小説を映画化したミステリーサスペンス。博多で発見された男女、公務員の佐山と料亭の女中・お時の死体は合意の上での心中と断定された。だが、老練の鳥飼刑事はそれに疑問を抱き…。(「キネマ旬報社」データベースより)

私は未見です。

他に『ビートたけし版 点と線』もありますが、思いのほかにいい出来だったと思います。

 

点と線

九州博多付近の海岸で発生した、一見完璧に近い動機づけを持つ心中事件、その裏にひそむ恐るべき奸計! 汚職事件にからんだ複雑な背景と、殺害時刻に容疑者は北海道にいたという鉄壁のアリバイの前に立ちすくむ捜査陣……。列車時刻表を駆使したリアリスティックな状況設定で推理小説界に“社会派”の新風を吹きこみ、空前の推理小説ブームを呼んだ秀作。(内容紹介より)

 

松本清張の代表作といっても過言ではない、名作の誉れ高い長編の推理小説です。

 

あまりにも有名な東京駅での空白の4分間が語られます。この作品が長編第一作なのですが、読者から絶大な支持を得ました。

政界の汚職事件に絡む動機を設定した松本清張は、以後社会派と称されるようになり、同様にリアリティーを追求した推理小説を次々と出版することになるのです。

 

いわゆる時刻表トリックの名作で改めて紹介するまでもないとは思いますが、それまでのトリック重視の物語から、トリックも十分に練り挙げられながら、なおかつ殺害の動機をも、実社会に根差した現実性を十分に持った汚職がらみの事件として仕立て上げられた作品です。

更に言えば、全体の構成をも重厚に仕上げていくその力量は、一時代を作り上げた松本清張という作家ならではのものだと思います。

 

急行列車での移動が当たり前で、新幹線などなかった時代の物語です。その時代背景を読みとることもまた面白いのではないでしょうか。

今では推理小説の古典と言うべき一冊です。

松本 清張

この人から社会派推理小説という言葉が言われ始めました。

それまでの推理小説が謎解きの側面を見ていたのに対し、人間をより深く描くことを重視し、動機等の描写に重きを置いていったそうです。それでいて、推理小説という枠組みは外さないのですからそれまでの推理小説ファンからも大いに受け入れられ、水上勉や森村誠一などといった作家たちが生まれたのです。

一方、「日本の黒い霧」などのノンフィクションも相当の評価があり、作家の粋を超えていると言われたそうです。

個人的にも、この人を知るまではそれまでの推理小説(探偵小説)は謎解きありきが当たり前と思っており、嫌いではないものの決してのめりこむ対象ではありませんでした。しかし、動機等を重視して描写すると、物語に厚みが出るとでも言うのでしょうか、SFでもファンタジーでも、更にはどんな荒唐無稽な物語でも、その物語の中でのリアリティーが無いと感情移入できない私にとってはこの傾向は個人の好みに合致するものでした。

最初に読んだこの作家の本が何だったのか、今ではよく覚えてはいませんが、高校生の頃「点と線」「ゼロの焦点」「球形の荒野」あたりだったと思います。その後学生時代にかけてこの作家の作品は初期作品の大半は読みましたが今ではその内容も殆ど覚えていません。また後期作品は半分も読んでおらず、評論、ノンフィクションに至っては殆ど読んでいません。

というわけで、作品紹介も印象が強くそれなりに覚えている2作品だけにしました。しかし、物語の格調の高さも含めてこの作家の作品の面白さは皆の認めるところでしょう

ストロベリーナイト [TV]

連続ドラマ版「ストロベリーナイト」では描ききれなかった、誉田哲也原作の姫川玲子シリーズがスペシャルドラマとして映像化!それは、あの“雨”の日の後の物語。映画「ストロベリーナイト インビジブルレイン」で描かれる姫川班“最後の事件”の後日譚が5本の短編で描かれる、それぞれ対峙する新たな事件とは…。(「Oricon」データベースより)

2013年1月に土曜プレミアム特別企画として放映された、映画版の後日譚をそれぞれ姫川、菊田、葉山、井岡・日下、勝俣を主人公にオムニバス形式で描いています。

このドラマを見たのが最初でした。思いのほか面白かったので映画も見ようと思い立ったのでした。それまでのドラマも見ればよかったと思ったものです。

ストロベリーナイト [連続ドラマ版]

誉田哲也のベストセラー小説をTVドラマ化!息もつかせぬサスペンスに満ちたストーリーだけではなく、登場人物の悩みや悲しみ、葛藤も深く描く。ノンキャリアで成り上がり系の警視庁捜査一課の女性刑事・姫川玲子を竹内結子、ライバル刑事“ガンテツ”を武田鉄矢、姫川玲子を支える部下を西島秀俊、姫川班の刑事を小出恵介、丸山隆平(関ジャニ∞)など豪華キャストで演じる。DVD-BOX。(「Oricon」データベースより)

2012年1月からフジテレビ系列で放映された連続ドラマ版です。

ストロベリーナイト [TVパイロット版]

美しく強くミステリアスな女刑事を描いたサスペンスドラマ。溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された。警視庁捜査一課殺人犯捜査係、唯一の女性係長である姫川玲子警部補は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。捜査で浮上した謎の言葉“ストロベリーナイト”の驚愕の意味とは?クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実だった―。(「Oricon」データベースより)

2010年11月にフジテレビで放映されて『土曜プレミアム』特別企画のスペシャルドラマ版です。