犬神家の一族 [ TV版 ]

横溝正史の原作をTVドラマ化したシリーズ上巻。名探偵・金田一耕助が、信州一の財閥当主・犬神佐兵衛の死後、巨額の遺産をめぐる連続殺人事件の謎に迫る。古谷一行が金田一耕助役を好演。第1話と第2話を収録。“角川シネマコレクション2016年9月度”。( 上巻 : 「キネマ旬報社」データベースより)

横溝正史の原作をTVドラマ化したシリーズ下巻。犬神佐兵衛が残した遺言状には、孫の佐清・佐竹・佐智のいずれかと結婚することを条件に、野々宮珠代に譲るというものだった。第3話から最終第5話を収録。“角川シネマコレクション2016年9月度”。( 下巻 : 「キネマ旬報社」データベースより)

犬神家の一族 [ 2006年 映画版 ]

横溝正史の原作を1976年に市川崑監督が映画化した大ヒットミステリーを、再び同監督がメガホンを取りリメイク。犬神財閥の創始者が遺した全財産を相続することになった珠世の周りで、次々と殺人が起こる。“角川シネマコレクション10月度”。(「キネマ旬報社」データベースより)

犬神家の一族 [1976年 映画版]

横溝正史の原作ミステリーを、市川崑監督が石坂浩二主演で映画化した「金田一耕助」シリーズ第1弾。信州の財閥・犬神家の巨額の遺産をめぐり連続殺人事件が起こる。名探偵・金田一耕助が事件の謎に迫る。“角川映画40周年記念1,800円シリーズ”。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

市川崑監督の映像が美しく、外見はボサボサだけどもやはりスマートな、石坂浩二の新たな金田一耕助も好印象でした。ブームを読んだ角川映画第一弾です。

犬神家の一族

信州財界一の巨頭、犬神財閥の創始者犬神佐兵衛は、血で血を洗う葛藤を予期したかのような条件を課した遺言状を残して他界した。血の系譜をめぐるスリルとサスペンスにみちた長編推理。( 内容紹介より )

 

金田一耕助シリーズの一冊である長編推理小説です。。

 

犬神佐兵衛がある遺言を残して死んだ。その遺言書は、「斧(よき)琴(こと)菊(きく)」の家宝を、妾に産ませた三人の娘以外の珠世に与えるというものだったが、この3つの家宝に見立てた殺人事件が起きるのだった。

 

本作品はトリックや殺人の動機等に何かと批判があるように聞きますが、私は謎解きは気にせず、筋立て重視なので気になりませんでした。

つまり、本格推理小説を読む醍醐味として事件のトリックを読み解くことがあると思いますが、私はその点にはあまり関心が無く、それよりもストーリーを追うことの方が面白いのです。

トリックを考えるということは筋立てを追うことを中断することであり、リズムが壊れるように感じてしまうのです。

 

そういう批判はあったにしろ、一般に受け入れられたのは間違いありません。それほどに横溝正史作品の世界観が受け入れられたということではないでしょうか。

本陣殺人事件 [ 映画版 ]

“実験映画の大家”高林陽一が手掛けた、横溝正史の代表シリーズが低価格で再登場。旧家の当主が結婚したその夜に、新郎新婦が何者かによって揃って殺害される。Gパン姿で事件を捜査する金田一京助は犯人を捕まえるために推理を開始する。(「キネマ旬報社」データベースより)

本陣殺人事件 [ TV 古谷一行版 ]

横溝正史が本格的な密室殺人に挑んだミステリーシリーズ。かつて本陣として栄えた一柳家当主の婚礼の夜、新郎新婦が無残な惨殺死体となって発見される。金田一は事件の調査に乗り出すが…。全3話を収録。“角川シネマコレクション2016年9月度”。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

1977年5月7日~5月21日に毎日放送系にて放映されたTVシリーズ全3話を収録。

本陣殺人事件

江戸時代からの宿場本陣の旧家、一柳家。その婚礼の夜に響き渡った、ただならぬ人の悲鳴と琴の音。離れ座敷では新郎新婦が血まみれになって、惨殺されていた。枕元には、家宝の名琴と三本指の血痕のついた金屏風が残され、一面に降り積もった雪は、離れ座敷を完全な密室にしていた……。アメリカから帰国した金田一耕助の、初登場の作品となる表題作ほか、「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」二編を収録。( 内容紹介より )

 

今では知らない人はいないと言っていいほどの名作である「金田一耕助シリーズ」の第一作で、第一回探偵作家クラブ賞を受賞した長編の推理小説です。

 

それまでは不可能とされていた日本家屋を舞台にした密室殺人が展開されています。

 

岡山県の片田舎で結婚式が執り行われたその夜、夫婦の寝室となっていた離れで殺人事件が起きた。前夜の雪のために離れの周囲には犯人の足跡の痕跡は全く無く、密室状態となっていたのである。

 

初期の中短編集におけるような耽美的色彩はあまり見られず、しかし、どことなくホラーテイスト漂う作品です。

実際には幽霊も怨霊も出てこず、かえって金田一探偵の論理的推理力が見せ場を作ります。ただ、舞台設定として、地方の旧本陣という雰囲気を利用しているだけといえます。

本格推理小説が好きな方には絶好の一冊ではないでしょうか。

とはいえ、本格推理小説があまり好きではない私も、このシリーズはかなりのめり込んで読んだものです。謎解きそのものよりも、金田一耕助を主人公とするこの物語自体に面白さを感じ、立て続けに読みこんだものと思われます。

横溝 正史

20歳代後半、務めていた事務所に推理小説が好きな人がいて片端から文庫本を購入してきていました。その中に横溝正史もあったのです。

当初読んでいた本は「真珠郎」や「蔵の中」といった短編若しくは中編の作品群でした。これらの作品は耽美的でどことなく退廃的な匂いのする物語で、これらの作品こそ横溝正史の本質だと今でも思っています。殆どの本は絶版なので興味のある方は古書や図書館で読んでみてください。

その後、「本陣殺人事件」や「八つ墓村」等の探偵役に金田一耕助を据えたシリーズが面白く、長短編の殆ど全作品を読んだと思います。その後角川映画による一大ブームが巻き起こりました。

横溝作品はいわゆる本格派の推理小説に分類されると思いますが、そのタイトルからしてオカルトチックな雰囲気を持っています。中身も耽美的な文章で猟奇的な殺人方法が語られたりしているのですが、単に謎解きの醍醐味に加えて物語の面白さがあったと思います。

私は謎解き自体にはそれほど興味は無く、物語として楽しんでいたのですが、横溝正史作品はそんな私でも十分楽しめる作品でした。

本格派の推理小説が好みの方こそ読んでもらいたい小説です。

以下にあげる作品はあくまで参考です。「真珠郎」や「蔵の中」といったかつて読んだ作品は今では良く覚えていないので紹介できないのです。ただ、それらの作品は少し怪奇風味の味付けがなされた物語と思ってもらえればいいかと思います。