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横溝 正史 雑感

20歳代後半、務めていた事務所に推理小説が好きな人がいて片端から文庫本を購入してきていました。その中に横溝正史もあったのです。

当初読んでいた本は「真珠郎」や「蔵の中」といった短編若しくは中編の作品群でした。これらの作品は耽美的でどことなく退廃的な匂いのする物語で、これらの作品こそ横溝正史の本質だと今でも思っています。殆どの本は絶版なので興味のある方は古書や図書館で読んでみてください。

その後、「本陣殺人事件」や「八つ墓村」等の探偵役に金田一耕助を据えたシリーズが面白く、長短編の殆ど全作品を読んだと思います。その後角川映画による一大ブームが巻き起こりました。

横溝作品はいわゆる本格派の推理小説に分類されると思いますが、そのタイトルからしてオカルトチックな雰囲気を持っています。中身も耽美的な文章で猟奇的な殺人方法が語られたりしているのですが、単に謎解きの醍醐味に加えて物語の面白さがあったと思います。

私は謎解き自体にはそれほど興味は無く、物語として楽しんでいたのですが、横溝正史作品はそんな私でも十分楽しめる作品でした。

本格派の推理小説が好みの方こそ読んでもらいたい小説です。

以下にあげる作品はあくまで参考です。「真珠郎」や「蔵の中」といったかつて読んだ作品は今では良く覚えていないので紹介できないのです。ただ、それらの作品は少し怪奇風味の味付けがなされた物語と思ってもらえればいいかと思います。

[投稿日] 2015年04月22日  [最終更新日] 2015年5月25日
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おすすめの小説

一時代前の探偵小説作家

若干の怪奇趣味等のニュアンスがある作品です。横溝正史以外はあまり読んでいないし、読んだ作品もあまり面白いと思える者はありませんでした。江戸川乱歩の若干の作品は、まあ面白いと思えるものがあったかに記憶しています。
江戸川 乱歩
人間椅子」「鏡地獄」他多数の作品があります。幻想・怪奇小説等を本格ならぬ変格というそうです。
中井 英夫
若い頃読んだ「虚無への供物」が有名ですが、正直、読んだ当時は良く分かりませんでした。今では内容も忘れています。
夢野 久作
ドグラ・マグラ」という作品がまず挙げられると思うのですが、その良さが良く分かりませんでした。未読では批判もできないと思い読みましたが、しかし、批判しようにも良く分からないとしか言いようがありませんでした。三大奇書の一つ。
三津田 信三
未読です。ネットでは横溝正史に作風が似ている作家として一番取り上げられていました。
高木 彬光
今読んでも決して古くはありませんでした。その法律の知識は玄人はだしと言われ「丸正事件」の時は特別弁護人にもなっています。代表作と言えば「白昼の死角」他が挙げられるでしょう。