ライトニング

いまは流行作家としてときめくローラ・シェーン、かつては孤児院で辛酸をなめた薄倖の美少女だった。これまでの生涯、何度か人生の危機や事故に見舞われそうになったが、そのつど、どこからともなく立ち現われて危難から救ってくれた“騎士”がいた。そのたびに、空には閃光が…。ジャンルを超えた傑作スーパー・スリラー。( 下巻 : 「BOOK」データベースより)

 

モダンホラーの代表的作家の一人であるクーンツの長編のスリラー作品です。

 

他の作品とは若干ですがニュアンスが異なっていて、ロマンスもの仕立てになっています。でも、それも後半にはやはりクーンツ節になるのであまり気にしなくていいかもしれません。

タイムトラベルものになってもいるので、そうした視点から読むのも良いかもしれません。

ウォッチャーズ

森で拾ったその犬には、なにか知性のようなものが、意志に似たものが感じられた。孤独な中年男のトラヴィスは犬に〈アインシュタイン〉と名を与え、半信半疑の対話を試みる。徐々にわかってくる信じがたい事実。それにしても、犬は何を警戒しているのだろう。繁みの陰に、暗闇の奥に、なにか恐るべき“もの”がひそんでいるのか。( 上巻 : 「BOOK」データベースより)

〈アインシュタイン〉が不安げに窓の外をうかがう回数が日ましにふえてくる。あいつが、殺戮と破壊の本能が植えつけられた怪物の〈アウトサイダー〉が、刻々と近づいているのだ。正反対の使命を組みこまれた二頭の変異種の宿命の対決が迫る。そして、その刻に向かって、孤独な男と女がしっかりと結ばれ、闘う力を得てゆく…。( 下巻 : 「BOOK」データベースより)

 

モダンホラーの代表的作家の一人であるクーンツの長編のサスペンス小説です。

 

本書は本当の(と言って良いのか)主人公は犬です。名前はアインシュタイン。この犬が普通ではなく、とある国家機関の実験に供された特殊能力を持つ犬なのです。

この犬を保護したのがデルタフォースで鍛え上げられた戦士トラヴィスで、更にヒロインも加わり、この犬を追う国家機関やアウトサイダーと呼ばれる破壊者たちとの逃走劇が繰り広げられます。

 

犬というツールを持ってきたところがこれまでの設定とは異なりますが、基本は一緒です。クーンツはどれを読んでも同じと言われるゆえんでしょう。でも、理屈抜きで面白いものは面白いのです。

クーンツという作家は「ベストセラー小説の書き方」という本を書くくらいですから、読み手の面白さを感じるポイントを良く理解し、執筆しているのでしょう。

戦慄のシャドウファイア

エリック・リーベン―天才的な遺伝子工学者。彼はその才能を武器にベンチャー・ビジネスを成功させ、莫大な財を築いていたが、別居中の妻レイチエルと口論した直後、自動車にはねられて即死した。しかし、奇怪なことに彼の死体が、市の死体公示所から忽然と消失した。この報せをうけたレイチェルはあることに思い当たったが、それはあまりにも恐ろしい想像だった。信頼する恋人ベンとともに極秘の調査を開始したレイチェルの前に、謎の追手が立ちふさがる。一方、エリックが手がけていたプロジェクト〈ワイルドカード〉の機密流出を恐れた防衛保安情報局の高官アンスン・シャープも二人に対する追跡を開始した。〈ワイルドカード〉とはいったい何なのか?エリックになにがおこったのか?日本でも人気集中、モダンホラーの鬼才クーンツが放つ、超大型サスペンス。( 上巻 : 「BOOK」データベースより)

不老不死を実現する野望に取りつかれた天才的遺伝子工学者、エリック・リーベンは自らに施した遺伝子工学的処置〈ワイルドカード〉によって死から蘇った。しかしその副作用は激烈だった。暴走する遺伝子は彼を怪物へと変容させた。額に角が盛り上がり、尻尾が生え、体に鱗が生じた。彼は地上に現れたこともない爬虫類の怪物へと変容していったのだ。だが、エリックは怪物と化しながらも、自分から離れていった妻への復讐の念に燃え、レイチェルを追う。また、情報局の高官シャープ、そして正義派の警官たちが三つ巴、四つ巴となって彼らを追いつづける。奸計により、指名手配されラスベカズへ向かって砂漠を移動するレイチェルに、もはや人間の姿をとどめなくなったエリックが襲いかかった―。鬼才クーンツがくりだすストーリーは最後まであなたを絶対に離さない。( 下巻 : 「BOOK」データベースより)

 

モダンホラーの代表的作家の一人であるクーンツの代表的な長編のホラー作品。

 

主要な登場人物の一人である遺伝子工学者エリックが早々に死んでしまい、その死体が消失するのですが、エリックと別居中の妻レイチェルには思い当たることがありました。

恋人のベンと調べていくうちに、防衛保安情報局や正体不明の追跡者が立ちふさがり、驚愕の事実に突き当たります。

 

この作者の『ファントム』同様に、圧倒的なスピード感の中物語は進みます。とにかく、これでもかという畳みかけです。勿論、敵役の異形の者も登場しますが、今回は正体はそれなりに判明しています。グロさが全くないとは言いませんが、許容範囲でしょう。

この作品も単純に乗っかって読み進めばすぐに読了してしまいます。

他でも書いたように理屈抜きで楽しめる本です。

ファントム

風光明媚な田舎町に異変が起こった。一夜にして全住民500人が死んだのだ!たまたま町を出ていて助かった二人の姉妹は、生者を捜してゴースト・タウンをさまよった。いったい何がこのような惨事を招来したのか?悪疫、放射能、有毒化学物質、それとも軍事用に開発された細菌兵器か?だが、見つかるのは胸のむかつく異様な死体ばかり。中には首や手を切断されオーブンに入れられた者や何かを恐れてバリケードを築き、拳銃を乱射している者まで発見された…。( 上巻 : 「BOOK」データベースより)

未曾有の大量殺人事件が発生した町へ通じる道路はすべて封鎖された。しかも、町には警察の他にも生物化学戦課防衛隊まで調査に乗り出している。だが、手がかりは浴室に残された文字―〈太古からの敵〉ただひとつ。やがて人々は、姿なき殺人鬼の前にひとり、またひとりといたずらに屍の山を築いていくが…。今や名実ともにスティーヴン・キングと肩を並べるベストセラー作家が、スピーディーなストーリィ展開と迫真の描写力で全米の読者を心底戦慄せしめた傑作。( 下巻 : 「BOOK」データベースより)

 

モダンホラーの代表的作家の一人であるクーンツの代表的な長編のホラー作品。

 

正体不明の謎の敵がラブクラフトの世界や、スティーブン・キングの「霧」「IT」の怪物にも通じています。この異形のものの取り扱い方が上手いのですね。

 

 

でも、何より物語のテンポがすごく、その世界に引き込まれます。勿論、登場人物や舞台設定が十分に書き込まれて居ればこそのスピード感でしょうけど。

このころのクーンツ作品にはこのエネルギーが満ち溢れていたように思えます。

単純にエンターテインメントとしての小説世界を楽しみたい、という人には絶対お勧めの一冊です。