雨あがる [ DVD ]

山本周五郎の時代劇を元にした黒澤明監督の遺稿を、小泉堯史監督が寺尾聡と宮崎美子共演で映画化した感動時代劇。剣の達人ながら、なかなか出世できない浪人・伊兵衛と妻・たよの姿を描く。(「キネマ旬報社」データベースより)

何年か前にテレビで放映されたものを見たのですが、若干、期待とは異なった印象を持った記憶が・・・。

どですかでん

山本周五郎原作による小説「季節のない街」を黒澤明監督が映画化した作品。毎日電車のまねごとをして街中を練り歩く主人公・六ちゃんと、人々の触れ合いを描いたメルヘン・ムービー。(「Oricon」データベースより)

 

黒沢明が描く、山本周五郎の世界。彩り鮮やかなヒューマンドラマです。

 

社会の最下層で生きる人々の暮らす「街」を舞台に様々な人の生き様を描いています。但し、滑稽ではありますが、どちらかと言うと重い話です。もしかしたら現代ものとして一作取り上げるのなら「青べか物語」のほうが良いかもしれません。

個人的には、黒沢映画も後期作品はあまりついていけないのですが、本作品はその典型でもありました。原色の色づかいもなじめませんでしたね。

季節のない街

“風の吹溜まりに塵芥が集まるようにできた貧民街”で懸命に生きようとする庶民の人生。――そこではいつもぎりぎりの生活に追われているために、虚飾で人の眼をくらましたり自分を偽ったりする暇も金もなく、ありのままの自分をさらけだすしかない。そんな街の人びとにほんとうの人間らしさを感じた著者が、さまざまなエピソードの断面のなかに深い人生の実相を捉えた異色作。(「Amazon」紹介文より)

 

社会の最下層で生きる人々の暮らす「街」を舞台に、様々な人の生き様を描いています。

 

但し、滑稽ではありますが、どちらかと言うと重い話です。もしかしたら現代ものとして一作取り上げるのなら「青べか物語」のほうが良いかもしれません。

 

蛇足ですが、上記Amazonのリンクは1970年3月出版のものですが、楽天Booksは「季節のない街改版」として、おなじ新潮社版の2003年04月付の作品にリンクしています。

深川安楽亭

抜け荷(密貿易)の拠点、深川安楽亭にたむろする命知らずの無頼な若者たちが、恋人の身請金を盗み出して袋叩きにされたお店者に示す命がけの無償の善意を、不気味な雰囲気をたたえた文章のうちに描いた表題作。完成されたものとしては著者最後の作品となった「枡落し」。ほかに「内蔵允留守」「おかよ」「水の下の石」「百足ちがい」「あすなろう」「十八条乙」など全12編を収録する。(「Amazon」紹介文より)

短編集です。私が友人に勧められて最初に読んだのがこの本でした。山本周五郎の各年代の作品が収納されているので、入門用としても良いのではないでしょうか。

標題にもなっている「深川安楽亭」はいわゆる一場面ものです。決して明るい話ではないのですが、しずかに心に沁み入ってくる物語です。

赤ひげ

山本周五郎原作の小説を黒澤明監督が映画化した作品。江戸時代の医療施設・小石川養生所を舞台に、出世の野心に燃えるエリート医師が長屋で暮らす人々との触れ合いを通して成長していく姿を描く。出演は三船敏郎、加山雄三、山崎努ほか。(「Oricon」データベースより)

かなり昔に見たのですが、内容はあまり覚えていません。

また、2018年に船越英一郎の主演でNHKの土曜時代ドラマでドラマ化されました。

赤ひげ | NHK 土曜時代ドラマ : 参照

 

赤ひげ診療譚

幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長新出去定に呼び出され、医員見習い勤務を命ぜられる。貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は尽く赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く快作。

 

青年医師の眼を通して「赤ひげ」と呼ばれる一人の医師の姿を描き出す、長編の時代小説です。

この青年医師の成長譚という見方もできるかもしれません

 

この作品も映画化されています。主人公の赤ひげ医師を三船敏郎、赤ひげ医師に師事する青年医師を加山雄三が演じていました。

 

 

ちなみに、本作品は上掲の新潮文庫版以外に、角川春樹事務所の時代小説文庫からも出版されています。

 

樅ノ木は残った [DVD]

平和な世に突如起こった伊達藩のお家騒動。幕府・藩内に渦巻く人々の情念を描いたドラマ。

寛永11年、仙台藩に起きた伊達騒動を題材に、命をかけて伊達62万石のお家安泰をはかった家老・原田甲斐の苦悩と、孤独の中に信念を貫く姿を描く。主人公の相手役、吉永小百合と栗原小巻が男性ファンの人気を二分したことでも話題に。(商品の説明 より)

 

1970年の平幹二朗主演で放映されたNHK大河ドラマの総集編です。

私は未見です。

 

上記各リンクは、DVD二枚にまとめられた総集編です。

また、1990年に里美浩太朗、西郷輝彦らの出演で、日本テレビ系で放映された大型時代劇スペシャルのものもあります。

樅ノ木は残った 日テレ版』 : 参照

樅ノ木は残った

生誕100年。いま、この時代だから、山本周五郎の世界。必死に生きる私たちを静かに励ましてくれる……。
仙台藩主・伊達綱宗、幕府から不作法の儀により逼塞を申しつけられる。明くる夜、藩士四名が「上意討ち」を口にする者たちによって斬殺される。いわゆる「伊達騒動」の始まりである。その背後に存在する幕府老中・酒井雅楽頭と仙台藩主一族・伊達兵部とのあいだの六十二万石分与の密約。この密約にこめられた幕府の意図を見抜いた宿老・原田甲斐は、ただひとり、いかに闘い抜いたのか。(「内容紹介」より)

 

伊達騒動を主題に、それまで悪人との評価が定説だった原田甲斐を主人公として、武家社会の確執を描いた、長編の時代小説です。

 

この本を読むまで、伊達騒動の何たるやも知らず、従って原田甲斐が悪役であったことなど何も知らない私でした。NHKの大河ドラマで本書『樅ノ木は残った』を原作としたドラマが放映されたのが1970年ですので、このドラマを先に見たことになります。

平幹二朗が原田甲斐を演じていたことだけを覚えていて、ドラマ自体は途中でろくに見ていないのです。なにせ、私も高校生なのですから。

 

その後、山本周五郎という作家を知り、全作品を読破する中で本書も読んだのですが、主人公原田の生きざまに心打たれました。この思いは私だけではなく、全ての人に共通して心に迫り、だからこそ何度も映画化、ドラマ化がされているのでしょう。

山本周五郎文学の最高の一冊の一つだと思います。

 

ちなみに、本書は新潮文庫から全三冊として出版されているのですが、AmazonからKindle版として合本版が出ています。

 

さぶ

小舟町の芳古堂に奉公する栄二とさぶ。才気煥発な栄二と少し鈍いがまっすぐに生きるさぶ。ある日、栄二は身に覚えのない盗みを咎められ、芳古堂から放逐されてしまう。自棄になった栄二は身を持ち崩し人足寄場へ送られるが―。生きることは苦しみか、希望か。市井にあり、人間の本質を見つめ続けた作家の代表作。(「BOOK」データベースより)

 

人間の優しさについて深く考えさせられる、山本周五郎が描く長編の人情小説です。

 

書名は「さぶ」ですが、物語はさぶの親友である栄二を中心に進みます。

どんくさい「さぶ」を利発な「栄二」が助けながら、経師屋で修業している二人でした。しかし、ある日盗みの濡れ衣を着せられた栄二は、人足寄せ場に送られてしまいます。苦労の末に栄二を探し出したさぶをも追い返してしまうほどに、世をすねた目でしか見られなくなった栄二ですが、人足寄せ場でいろいろな人たちに出会うのです。

徹底したさぶの人の良さ、善意を主題とし、人はここまで優しくなれるものか、とどこか映画のコピーで使われそうな言葉がそのまま当てはまる物語です。その爽快な読後感は素晴らしいものがあります。

山本周五郎といえば新潮文庫だと思っていたのですが、2018年になり講談社文庫、角川文庫からも出版されていました。