抜け荷(密貿易)の拠点、深川安楽亭にたむろする命知らずの無頼な若者たちが、恋人の身請金を盗み出して袋叩きにされたお店者に示す命がけの無償の善意を、不気味な雰囲気をたたえた文章のうちに描いた表題作。完成されたものとしては著者最後の作品となった「枡落し」。ほかに「内蔵允留守」「おかよ」「水の下の石」「百足ちがい」「あすなろう」「十八条乙」など全12編を収録する。(「Amazon」紹介文より)
短編集です。私が友人に勧められて最初に読んだのがこの本でした。山本周五郎の各年代の作品が収納されているので、入門用としても良いのではないでしょうか。
標題にもなっている「深川安楽亭」はいわゆる一場面ものです。決して明るい話ではないのですが、しずかに心に沁み入ってくる物語です。