カズオ・イシグロ氏、ノーベル文学賞受賞 !

今やカズオ・イシグロ氏のノーベル文学賞受賞の話で持ちきりです。不幸なニュースが氾濫するこの世の中で、あまり無い明るい話題です。

カズオ・イシグロという名前はほとんど知りませんでした。ただ、2009年12月に友人から良い本だと借りて読んだ『夜想曲集 - 音楽と夕べをめぐる五つの物語』という作品を読んだことがあるばかりです。

この作品集はなんとも不思議な短編集で、殆どの物語は特に際立ったエピソードがあるわけでもなく、主人公である音楽家の日常に投じられた小さな非日常が淡々と描かれるだけの物語だと、当時の読書メモに書いています。

読者を楽しませることを主眼として書かれたエンターテインメント作品ばかりを読み続けている私にはよく理解できない小説だったようです。


ただ、「だからといって面白くないからもう二度と読みたくないというわけではない。」とも書いていて、高度に文学性の高い作品集であるために読み手である私の感性がついていけなかったのでしょう。

その時に、この作家が映画化もされた『日の名残り』という作品を書いた人だと知りました。

この『日の名残り』は第2次世界大戦後のイギリスの田園地帯にある邸宅を舞台にした作品で、「BOOK」データベースによりますと「失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。」だということです。

この映画のタイトルだけは知っていて、かなり良い映画だという認識はあったので、このカズオ・イシグロという名の作家に対する印象が良くなったと書いています。


カズオ・イシグロ氏についてネットで調べると、『わたしを離さないで』という作品が綾瀬はるかの主演でTBS系でドラマ化されていたという記事がありました。

私はほとんどドラマを見ないので、このドラマの存在すらも知らなかったのですが、視聴率はあまりよくなかったとのことです。

この作品は、「イギリスのある施設で育てられている子どもたちが、実は多くの人々を救うための重要な使命を担っていることがやがてわかる、悲しい物語」らしく、舞台を日本に置き換えてられていたこともあり、今なら高視聴率を期待できたろう、とも書いてありました。( Asagei plus : 参照 )

このカズオ・イシグロ氏は、現在はイギリス国籍を取得されていて、そういう法律的な意味では日本人とは言えないのかもしれませんが、それはそれとして、「日本」という国をそのルーツに持っておられる作家さんの受賞は素直にうれしいものだし、歓びたいものだと思います。