天下の直参、と言えば聞こえは良いが、勝小吉はお役に就くこともなく市井に生きる貧乏御家人。だが、人情に厚く腕も立つ小吉は、詐欺師や悪徳高利貸たちを懲らしめるため東奔西走し、町の人々に慕われている。そんな小吉の楽しみは、剣術と蘭学の修業に励む息子・麟太郎の成長だった。後の海舟の若き日を、貧しくとも鷹のように気高く清々しく生きる父子の物語として描いた傑作長編。( 上巻 : 「BOOK」データベースより)
私塾を開いて妻も娶った麟太郎。貧しい生活をつづけながらも、蘭学や砲術研究にますます磨きをかけ、その力量は諸大名や幕閣の目に留まるまでになった。息子の立身に目を細める小吉は、市井の人々と喜怒哀楽をともにする日々をおくっていたが、いつしか病を得るようになり…。幕末という時代のうねりと、たくましく生きる江戸ッ子たちの姿を生き生きと描いた畢生の歴史時代小説。( 下巻 : 「BOOK」データベースより)
父子鷹の続編であり、両方の本を合わせて小吉伝とでも言うべき作品になっています。
変わらずに勝小吉とその子勝海舟、いやこの作品の頃ですから勝麟太郎の親子の愛情にあふれた物語です。
暴れん坊の勝小吉も麟太郎が大人になり、幕府の役職に就くようになると息子に頭が上がりません。それでもやはりやんちゃばかりしているのです。
江戸末期の下町情緒豊かなこの物語を「父子鷹」とあわせて是非読んでみてください。
なお写真は新潮文庫版にリンクしていますが、他に講談社文庫新装版、嶋中文庫版もあります。ただ、殆ど古本になるようです。