夕ばえ作戦

日本SFの巨星・光瀬龍による、ライトノベルの源流となるSFジュブナイルの古典、NHK少年ドラマシリーズの一篇としても記憶に残る名作が、光瀬に私淑した押井守の脚色、龍神賞出身の新鋭・大野ツトムの作画によって現代によみがえる!!
空手部所属の高校生・砂塚茂は、友人の風間明夫に「面白いものが見れるから」と彼の自宅へ誘われる。明夫の自宅は由緒ありげな古くて大きな屋敷で、明夫は茂を敷地内にある不思議な形で向き合った三つの鳥居の前へと連れていく。夕暮れどき、鳥居の三本の影が重なると…そこに異界への入り口が現れた! 異界へと吸い込まれていく茂と明夫。やがて二人がたどりついたのは江戸時代、伊賀忍者と風魔忍者が命を奪い合う戦場の只中であった…。(Amazon紹介文より)

宇宙叙事詩

青春の夢を追い求め翡翠座イオへの探検に旅立った夫を追いかけて異星の地に赴いた妻、凍土の平原の広がる惑星ルシアナの廃虚で探検隊員の前に夜毎現われる謎の美少女、永遠の繁栄をつづけるオアシス都市に黒風とともに訪れ破壊をもたらす阿修羅王…大宇宙のさまざまな地で生と死の営みをつづける人間達の姿を、宇宙SFの第一人者・光瀬龍と少女コミック界の気鋭・萩尾望都が描いた日本SF史上に名を残す記念碑的作品。(「BOOK」データベースより)

アンドロメダ・ストーリーズ

アンドロメダ星雲の片隅に位置する惑星アストゥリアス。平和を謳歌していたコスモラリア帝国だが、外宇宙より到来した自律型コンピューターによる侵略を受け、人々は精神を乗っ取られてゆく。レジスタンスにより救われた王位継承者の王子ジムサと、双子の妹アフルは、互いの存在を知らされぬまま熾烈な戦いに身を投じていた。数奇な運命に翻弄されつつ二人は出会い、女戦士イルらと共に、機械との最終決戦の場へと向かうのだった…。少女漫画界の巨匠・竹宮惠子×SF界の重鎮・光瀬龍によって生み出された、美しく壮大なSF叙事詩が完全版で登場!(「内容紹介」より)

たそがれに還る

惑星経営機構調査局員シロウズは、辺境星区航路を目指していたが、急遽、異変のあった金星へ向かう。金星で局員たちは荒廃した未知の巨大な建造物の幻覚を体験、遙かな時空を越えた滅びの声をきいた……。一方、冥王星に多発する地震を調査中の局員たちは、巨大な宇宙船を発掘。それは、自らを宇宙船にサイボーグ化した異星の生命体だった……。膨大な時の流れのなかで、戦慄すべき人類の未来を詩情豊かに描いた壮大な叙事詩。日本SFの名作。( 内容紹介 : より )

 

金星で発見された古代の建造物。一方冥王星の地中深くからは異星人の宇宙船が発掘される。はるかな昔、二つの巨大文明の衝突があり、更にそれを超える存在が明らかとなり、人類の存亡をかけて主人公シロウズらは戦いの最前線へと赴く。

「無」の存在を示唆するこの物語は、光瀬龍作品の全体を貫く決して明るくはないトーンで語られます。

光瀬龍を語る上での必読書です。

胸躍るエンターテインメントとしての面白さとは若干異なるかもしれませんが、これぞ光瀬龍と言える本の一冊でしょう。

百億の昼と千億の夜

西方の辺境の村にて「アトランティス王国滅亡の原因はこの世の外にある」と知らされた哲学者プラトンは、いまだ一度も感じたことのなかった不思議な緊張と不安を覚えた…プラトン、悉達多、ナザレのイエス、そして阿修羅王は、世界が創世から滅亡へと向かう、万物の流転と悠久の時の流れの中でいかなる役割を果たしたのか?―壮大な時空間を舞台に、この宇宙を統べる「神」を追い求めた日本SFの金字塔。(「BOOK」データベースより)

 

日本SF作品のなかでも名作と言われている長編のSF小説です。

 

主人公がプラトン(アトランティス大陸の司政官オリオナエ)であり、また、シッタータ(釈迦)や仏教の守護神である阿修羅王、敵役として帝釈天やナザレのイエスがおり、更に弥勒や転輪王が絡んでくるという設定からして普通ではありません。

これらの主人公が、アトランティスの昔から西暦4000年、そして更なるる未来にわたりこの世界の存亡をかけて戦うのです。その戦いからして人間や神の「存在」そのものへの問いかけでもあるのですから、考え始めるときりがなく、とても面倒な小説になります。

しかし、その設定自体を楽しめる人にとってはこれほど魅力的な物語もまた無いでしょう。

小松左京の「果しなき流れの果に」と並ぶ名作と言われる作品であり、少しでもSFに関心のある人なら是非読むべき本の一冊です。

 

 

この作品は萩尾望都が漫画化していて、こちらもSFマンガの名作のひとつとして数えられています。