水上勉の同名小説を名匠・今井正監督が佐久間良子を主演に迎えて映画化したドラマ。雪深い北陸越後を舞台に、農閑期の出稼ぎに来ていたふたりの男・留吉と権助、そして留吉の妻・おしんを巡る愛憎劇を通して、人間の業の深さが描かれる。(「キネマ旬報社」データベースより)
著者: 水上 勉
飢餓海峡-全集- [DVD]
悪辣な犯罪を鋭く描いた水上勉の社会派推理小説を、映画界の巨匠たちがテレビドラマ化した作品をDVD化。昭和29年9月26日、青函連絡船の遭難事故と、同じ日に起こった事件の接点と謎…。貧苦のどん底から這い上がった食品工業社長の犯罪を鋭く描く。(「キネマ旬報社」データベースより)
1978年に、フジテレビ系列の「ゴールデンドラマシリーズ」で放映されたドラマです。
飢餓海峡 [ DVD ]
内田吐夢監督、三國連太郎主演のサスペンス。台風で青函連絡船が沈没。だが収容した遺体は乗客名簿より2名多く…。“<東映 ザ・定番>シリーズ”。(「キネマ旬報社」データベースより)
多分、テレビで放送されたものを見たのだと思います。三國連太郎の存在感は既に素晴らしく、喜劇役者としか知らなかった伴淳三郎の存在感は思いもかけず心に迫るものでした。また高倉健が出演していたことは後々まで知りませんでした。
飢餓海峡
青函連絡船転覆、そこには乗客以外の身元不明遺体が…。
樽見京一郎は京都の僻村に生まれた。父と早く死に別れて母と二人、
貧困のどん底であえぎながら必死で這い上がってきた男だ。
その彼が、食品会社の社長となり、教育委員まで務める社会的名士に成り上がるためには、
いくつかの残虐な殺人を犯さねばならなかった。そして、巧なり名を遂げたとき、
殺人犯犬飼多吉の時代に馴染んだ酌婦、杉戸八重との運命的な出会いが待っていた……。
青函連絡船洞爺丸沈没事故に想を得た、社会派ミステリーの傑作。(上巻 : 「内容紹介」より)
波濤荒れ狂う荒涼とした海峡で発生した殺人事件を執拗に追い続けた、函館署の弓坂吉太郎。そして十年の後、杉戸八重殺害犯の捜索にあたることになった舞鶴東署の味村時雄。両刑事の執念が実を結んだ時、謎の人物、犬飼多吉こと樽見京一郎の実像が浮かび上がる……。青函連絡船洞爺丸沈没の海難事故に想を得て、雄大な構想で人間の宿命を描き切った長編ミステリー小説。(下巻 : 「内容紹介」より)
1954年9月に青函連絡船「洞爺丸」が沈み多数の乗客が亡くなるという海難事故が起きました。この事件をモデルに、引き取り手の無い2体の亡骸(なきがら)が出るところから物語は始まります。
松本清張が推理小説での人間描写を深化させ、社会派と称されるようになりましたが、水上勉もまたその考えに同調したようで、人間を描くことに重きを置いています。
戦後の混乱期を舞台にしたこの物語は映画版の三國連太郎と伴淳三郎の存在感がすごくて、小説を読んだときにもこの二人のイメージが抜けないままに読みました。
是非一読の価値ありです。
越前竹人形 [ DVD ]
水上勉の同名小説を若尾文子主演で映画化。越前に暮らす竹細工師の喜助は、亡き父の娼妓だった玉枝と結婚するが、彼女を抱くことができなかった。そんなふたりにある日、悲劇が訪れる。“角川シネマコレクション 4月度”。(「キネマ旬報社」データベースより)
雁の寺 [ DVD ]
川島雄三監督が水上勉のベストセラー小説を若尾文子主演で映画化。襖絵師の妾・里子の官能的な肉体に惹かれた住職は、彼女を囲うことに。“日本映画DVD ¥2,940(税込)コレクション 大映70周年記念キャンペーン 名作シリーズ廉価版DVD 第四弾 ”。(「キネマ旬報社」データベースより)
雁の寺・越前竹人形
「雁の寺」
第45回(昭和36年度上半期)の直木賞受賞作品です。
禅寺の小坊主慈念の、自分が世話になっていた和尚や禅寺そのものの腐敗、退廃を目の当たりにしての怒りや孤独を描いています。
「越前竹人形」
福井県の山村で竹細工を営んで引き籠りがちに暮らしていた喜作のもとに遊女であった玉枝が嫁いできた。喜作の作る竹人形が評判を呼び、かつて玉枝の客であった問屋の番頭が商売のためにやって来た。玉枝はその番頭と通じ、妊娠してしまう。
この間の細かな表現は忘れてしまいましたが、喜作と玉枝の描写には心を打たれた記憶があります。
水上勉の本をどれか一冊と言われたらこの両作品が収められたこの本を挙げるでしょう。是非読んでみてください