研ぎ師人情始末シリーズ(完結)
- 裏店とんぼ
- 糸切れ凧
- うろこ雲
- うらぶれ侍
- 兄妹氷雨
- 迷い鳥
- おしどり夫婦
- 恋わずらい
- 江戸橋慕情
- 親子の絆
- 濡れぎぬ
- こおろぎ橋
- 父の形見
- 縁むすび
- 故郷がえり
直心影流の使い手・荒金菊之助は、かつて八王子千人同心であったが、今は浪人となり、貧乏長屋で研ぎ師をしている。ある日、知り合いの子供の父親が殺された。下手人として凶賊・八雲の千造一味が浮かぶ。菊之助は、従兄弟で南町奉行所の臨時廻り同心・横山秀蔵に協力を求め、賊を追いつめていく。迫力満点の剣戟描写と、人情味溢れる痛快時代活劇。(第一巻:「BOOK」データベースより)
市井に暮らす浪人の織りなす長編の人情時代小説です。
主人公は荒金菊之助という元武士で、従兄弟に臨時廻り同心が居ます。この同心が主人公に依頼したり、主人公が探索を助けてもらったりと、うまく話を盛り上げています。主人公のキャラ設定が面白く、物語もテンポ良く読めました。
どうして稲葉実という作家の他の作品には波長が合わないのか分かりませんが、このシリーズはそれなりに面白く読めました。
近頃読んだ本で田牧大和の女錠前師謎とき帖シリーズでは猫を上手く使ってありました。本書のように犬がそれなりの活躍を見せることはないのですが、場面の雰囲気づくりにとても効果的な描き方をしてあるのです。
また、動物と言えば赤川次郎の『三毛猫シリーズ』を忘れてはいけないでしょう。こちらでは、猫そのものが探偵ですから一枚上手をいっています。
しばらくこの作家の本を読んでいなかったら、本シリーズも15巻で完結していました。そのうちにこのシリーズも残りを読んでみたいと思います。